劇場公開日 2025年2月7日

「“夫婦”について共感と学び」ファーストキス 1ST KISS 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5“夫婦”について共感と学び

2025年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

幸せ

松たか子は“推し”ではないけど、好感は持っているのと、予告編に興味が湧いて観賞。

【物語】
偶然の出会ったカンナ(松たか子)と駈(松村北斗)は忽ち熱い恋に落ち、出会ってからわずか1か月婚約し、結婚する。しかし、2人の距離は様々なすれ違いから徐々に大きくなり、15年後には離婚を目前にしていた。そんなある日、駈は駅のホームで他人を救うために危険を冒し、亡くなってしまう。

呆然自失となったカンナだったが、新たな人生を歩み出そうとしていた矢先、深夜に仕事で呼び出され、車を走らせているとトンネルの中で異常な感覚に襲われ、トンネルを抜けると15年前の駈と出会った場所に居た。

そこで若き日の駈と再会し、15年前の思いが蘇る。 その後現代と15年前を行き来する方法を知ったカンナは、未来を変えて駈の事故を回避しようと考えるが、思うようには変わらず、何度も15年前に足を運ぶ。

【感想】
最初に書いておくが、本作はタイムスリップものだが、SF色は極めて薄い。一応、設定は考えられてはいるものの、scientificとは言い難く、fantasyのみ。つまりはおとぎ話。そこ(理屈)はどうでもよいものとして扱われているので、そこを突っ込んではいけない(笑)

結婚して30年以上経った俺には刺さるラブストーリーだった。
事故前には冷え切った夫婦仲だったにも拘わらず、必死に駈の命を救おうとするカンナ。もしかすると、未婚の若い人は不可解に思うかも知れないが、夫婦ってそういうものかなと思った。

一緒に暮らせばお互い嫌なところも目に付くようになり、長く暮らせばそれが繰り返されるから、婚約当時の関係とは違って来る。それでも、日々積み重ねられるものはあって、突然共に暮らしている相手を失ったら、「ああ、清清した」とは決してならないと思う。少なくとも俺はそうだ(妻も同じと信じたいが、自信はない(笑))。

終盤カンナが15年間の不満を駈にブチまけるシーンも身につまされるものがあった。身に覚え、“ありあり”だ。そこから結末への展開も良かった。「なるほど、そう来たか」と、じんわりと温かい思いが込み上げて来た。

役者について言うと、
松たか子ならではのちょっとお茶目なカンナが魅力的。 “ラストレター”でも見せたこのお茶目さは松たか子の真骨頂だと思う。「駈を死なせない」ために奮闘するわけだが、そこに悲壮感は皆無で、作品全般をとても楽しい気分で観られる。
また、20代を演じるシーンがあるのだけど、無理を感じなかった。メイクやライティング等々撮影技術もあるのだろうけど、実年齢47歳の彼女の若々しさにも感心した。

松村北斗はアイドル・グループのメンバーなんですよね。そちらの活動を見たことが無いし、ここ数年ドラマ、映画で度々見かけるので、俺の中では“俳優”。今回も悪くないと思う。決して演技が上手いとも思わないけど、こういう熱くもなく、冷たくもない、ニュートラルな感じを出せるところに特徴があると思う。この作品でもちょっと煩いカンナの対比として上手くフィットしている。

本作は20代から高年齢層まで幅広い層の方が楽しめると思うけど、やはり夫婦生活を長く経験している中高年層に響き易い作品のように思う。「最近冷めかけてる」夫婦に一番ピッタリかも(笑)

泣き虫オヤジ
みかずきさんのコメント
2025年3月9日

はじめまして、みかずきです

私もカミさんとは結婚して何十年も経つので、倦怠期だった夫が事故死した時のカンナの気持ちは分かります。倦怠期であっても人生を共に歩んできた絆みたいなものがあり、相手が事故死してせいせいしたなんて感じにはならないでしょう。むしろ喪失感を強いと思います。

本作を観て、夫婦関係に限らず人間関係におけるコミュニケーションの大切さを感じました。冒頭の倦怠期での二人の会話のない冷たい雰囲気の対して、タイムトラベル中の二人の旺盛な会話が対照的でした。

そうは言っても、長年連れ添っていれば、どうしても惰性、マンネリになることは避けられません。夫婦間に刺激が必要です。ということで私は数年前から料理を始めました。

みかずき
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