「カケルの15年」ファーストキス 1ST KISS 豆之介さんの映画レビュー(感想・評価)
カケルの15年
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何度も何度も何度も何度も失敗を繰り返すカンナ。その度にカケルと「はじめまして状態」になるのは面白かった。
でももしその一回でも成功していたら。カンナが戻った時生きているカケルはやっぱり2本のペンが触れ合わず真っ直ぐに置かれた状態の、寝室を別にしてまともに話さない夫だったと思う。
失敗の中の失敗。付箋をカケルに見られる予想外のミス。でも、だから話も生まれた。15年離れているのにしっかり夫婦の会話になっているのには笑ってしまったが。
その後現在に戻ったカンナは幸せな15年を過ごした二人、という感情になっているのだろう。気になったのは将来を知ったカケルの方だった。冷たい関係になるまいと夫婦で生き、カンナも最初のカンナとは違った妻になったと思う。
でもカケルは自分の命日を知っていた。知りながら15年を過ごした。やはり一日一日とその日が迫るのは怖かったのでは。そこだけは少しかわいそう過ぎないかと思ってしまう。遺影の表情が全く変わっていたことにかろうじて救いがあるが、カケルが送った15年に重さを感じる。
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