「タイムリープへの論理的整合性」ファーストキス 1ST KISS La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
タイムリープへの論理的整合性
線路に落ちた子供を助けようとして自らは命を落としてしまった夫を、時間を遡って助けようとする妻のお話です。公開直後から絶賛コメントが溢れているのに、こんな事言うと「つまらぬ事に拘って」と言われそうですが。タイムリープ物語は、過去を変えたらその後の世界はどうなるのかというタイム・パラドックス問題をどう片付けるのかと言うのが大きなテーマとなります。近頃では、無数の世界が並行して存在していると言うマルチバース世界観が大はやりですが、これを用いればどんな展開でも「あり」となり、死者すら生き返る事も可能となるので、映画では禁じ手であるべきだと僕は思います。
一方本作では、タイムリープ世界の論理的整合性への配慮がが余りにいい加減で、突っ込み所の乱れ打ちとなり気持ちが萎えてしまいました。作者は、ストーリー展開の都合の為だけに時間をいじくっている様に見えます。
更に、夫の判断に対して、「人助けか自分の家族か」という二項対立の立て方にも違和感を覚えました。「怪物」に続いて坂元裕二作品に異議ありです。
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