劇場公開日 2025年2月7日

「パンの味が変わらないのは、やっぱり山パンだからか?」ファーストキス 1ST KISS Lhowonさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0パンの味が変わらないのは、やっぱり山パンだからか?

2025年2月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

こういった、邦画の恋愛モノはわざわざ選んで見に行くことはないのだけど、町山ツイート(ポスト)の影響は強いですね。

監督や脚本の業績を見ても、「テレビ関連の人か」と思ってしまいましたが、大変良くできておりました。失礼しました。もっと若い主人公で、キャスト先行で、何だか不治の病とか、訳ありの生い立ちとかで、最後は感度するとか、どうでもいいもの。松たか子は空耳アワーに呼ばれるほど「こっち側」の人間だけと、「おばさん」の恋愛ドラマを見に来るのは一部の層だろうさ。松村さんについては良く知らないのだけれど、レイトショーではファンとおぼしき方々でいっぱいではありませんでした。

さて、タイムリープものですが、お題をどう料理するかで評価が変わります。「やり直し」のときには前回の記憶がないと話が成立しないのだが、論理矛盾を起こさないようには眠ってしまったり、一回死んで元に戻ること多いわけです。今作は、一定の条件で「行って」「戻って」来るのは任意だし、改ざんされた未来の記憶は分かっていたり、書き換えられたりしているわけで、ご都合主義にも見えます。ところが、松たか子の見事な演技でそんなことはまったく気になりません。松たか子のそれなりに老化しているし、若作りはいろんな技術を投入しているのだと思うけど、この役は松たか子でないと成立しなかっただろうな。「おばさん」でも構わないと思える説得力があるし、何なら「おばさん」呼ばわりする若い子よりよっぽど可愛いもの。松村さんはそれが演技なのか、そもそも大根だからか存じませんが、あの感じのセリフ回しがちょうどよく、妙に感動をよばないし、理論的なことは気にならなくしている効果があります。劇伴もまったく覚えていないほど控えていて良かったです。

舞台となっているホテルは、偶然にも昨秋に宿泊しました。周りに目ぼしい観光スポットがないのに、むりくり税金を投入しているような公園に併設された、(たぶん)高級ホテルです。わざわざここを目指す人は多くないのではと思いますが、すごくまともなフランス料理が頂けるし、それなりの料金をとられます。聖地巡礼したい方にはおすすめです。

最近のこの規模のどらまは、台湾映画やタイ映画で良いものが沢山あります。日本のラブコメ(?)はぱっとしないものがしばしば有りますが、このくらいちゃんとできていれば、アジア圏の皆さんにも見ていただきたいと思いました。

追記 Tシャツ👕のデザインは大島依提亜さんでした。

Lhowon