劇場公開日 2025年2月7日

「松たか子さんの魅力全開作品」ファーストキス 1ST KISS Moiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5松たか子さんの魅力全開作品

2025年2月11日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

感想

今や大御所の域にある脚本家の坂元裕二氏がお気に入りの俳優陣を選りすぐり、自身書き下ろし脚本を近年活躍著しい塚原あゆ子監督で映画化した。監督の作品はTVドラマ作品を何回か鑑賞した程度。映画作品は今回が初鑑賞である。

ストーリーは要約すると15年連れ沿って関係が希薄になった夫婦に不慮の劇的なハプニングが発生する。予測を超える様々な事態が次々に起きるが、その状況下で出会いと別れを繰り返す内に二人の間に互いに相手を思い遣る気持が再燃し絆を見直し確認し合っていく。最終的には避け難い人生の帰結を経るもののその絆は強く結ばれたまま変わることはなかった。というもの。

脚本・俳優・演出
坂元氏についてはTVの「東京ラブストーリー」に始まり、私の感覚では映画作品としては行定監督との共同脚本の「世界の中心で愛をさけぶ」と是枝監督作品「怪物」に於いてのカンヌ最優秀脚本賞受賞の偉業がすぐ浮かぶ。他に印象深いTVドラマ作品は覚えているだけでも、人間の尊厳とは何なのかを重く考えさせられた「それでも生きていく」、自己表現の過ぎる夫婦の絆を描いた「最高の離婚」、主人公達が各々の社会状況下で懸命に踠き苦しみながらも一つの目標に全員で立ち向おうとした「問題のあるレストラン」、個性的な楽器演奏家達の人生をライトな感覚でペーソス豊か且つコミカルに描いた「カルテット」、登場人物の細やかな小さな希望を丁寧に描いていた「いつ恋」。そしてスケッチショウ的な設定と洒落たBGMと笑い。登場人物それぞれの人生を折あるごとに垣間見させるストーリーと登場人物達の台詞が毎回素晴らしかった「大豆田とわ子と三人の元夫」。個性的なキャラクター設定とユニークな話の展開、独特の台詞回しと、さながらニール・サイモンの舞台作品のような感覚で興味深く観ていた。

坂元脚本作品の常連である松たか子さんの味のある演技力は確かであり、特に作品ごとに演じ分けてきた数々のユニークな役どころは何とも言えない自然な笑いが生まれてしまう感のある雰囲気を持って演じていて、本作でもその味が十二分に活きている演技で大女優さんに向かって失礼なのだがコメディエンヌとしても納得の演技であり、また変わらない可憐な容姿はいつまでも四月物語の頃の初々しい印象を保ち続けながらも素晴らしい大人の女優さんに成っているなと感心しあらためて惚れ惚れとした気持ちで鑑賞していた。

松村北斗さんは最近はアイドルより映画俳優の印象が強い。今回は音楽界でも映画界でも先達となる松さんとの共演で様々な更なるキャリアアップが出来たのではないだろうか。作品は互いに違うが私的に大好きな岩井俊二監督作品にも其々御出演されており、今回は実年齢よりも上の中年の役柄を抑揚の効いた演技で上手くこなし、さらに若年者の役柄としても揺れ動く繊細な心理を表現していてその演技力は素晴らしかった。関係者の間では既にお墨付きが得られている証拠となる本作の松さんの相手役である硯役であったと思う。

演出の塚原監督については圧倒的に自分の中では情報が不足しているがTVの枠を超えて活躍していただきたい監督の一人である事は間違いないと思う。本作の演出についてはテンポが良く会話を重視した演出で良いと感じた。主観としてはかんなと駈の会話中にはただ全景を俯瞰したカットの他にも話をしている人物の気持ちをより良く反映出来る人物の上半身ショットをカット割として入れ込むと観客は集中するようになり更に人物の揺れ動き変化する心理が強調出来たと思う。

⭐️3.5

Moi
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年2月20日

私も観ていて俯瞰からここで寄れ、と思ったら数秒後に寄りました。もっと早く寄れよ(笑)

Mr.C.B.2
LaLaさんのコメント
2025年2月16日

Moiさん
共感コメントをありがとうございました(^^ゞ
本当に 仰るとおりで
主演の二人の演技力に脱帽です。
脚本も素晴らしいですよね。

良い作品が見られて嬉しいです。
Moiさん、ステキなレビューを
ありがとうございます。

LaLa