「贋作と巨匠の看板に惑わされた」海の沈黙 しんさんさんの映画レビュー(感想・評価)
贋作と巨匠の看板に惑わされた
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贋作絵師を本木雅弘さん、元恋人を小泉今日子さんが熱演。脚本は倉本聰さんオリジナル。
この布陣なら傑作に間違いないと勇んで観に行ったけど、どこかで見たことがあるような贋作事件の設定と、誰にも共感できないキャラ設定で、いまいちでした。
贋作を見抜けなかった美術館職員(萩原聖人さん)が自殺するのだけど、本作のテーマの真贋
とは? からすると、贋作を贋作と気づかずに3億円を捻出して手に入れた美術館職員こそが、本物を見る視を持っていたとも言える。
そう考えると、贋作絵師じゃなくて、贋作を掴まされた職員の苦悩を描いた方が、僕には共感できた気がする。地方の美術館が3億捻出するって大変だろうし、苦労して手に入れた絵画が贋作だった時の落胆や苦しみなどを、すぐ自殺で片づけることなく、じっくりと描いて欲しかった。
一方で、贋作絵師が女性の背中をキャンバスにして入れ墨を彫る話は蛇足だし、本筋とは何の関係もなく尺稼ぎにしか思えなかったし、贋作絵師が肺癌末期で吐血しながら最期の作品に命を賭けるって、手垢がつきすぎの設定でベタすぎる。
本当に倉本聰さんの脚本? と、疑ってしまった。
感動のヒューマンドラマを期待していると、落涙することなくエンドロールになります。
なお、役者陣の演技は素晴らしかったです。
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