ノーヴィスのレビュー・感想・評価
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全力を出し切る才能
高校時代にラグビーをしていたのだが、卒業した先輩が入った大学ラグビー部のことを聞いた時の話。先輩の同級生に、後に日本代表に入るような選手がいたが、その選手は毎日の練習で倒れるまで全力を出し切ると聞いた。そして翌日普通に最初から全開で練習を始めると。トップレベルに上りつめる人とはそんな努力ができる人なんだなと驚いたことを、この映画を観て思い出した。
ボート部に入ったアレックスの努力の過程を描く映画だが、スポーツの努力ができる人ではなく、すべてのことに自分なりのメソッドを取り入れ全力を注ぐ人の狂気を描いた物語だった。中盤までは、「努力が才能を凌駕する」という感覚(もちろん逆の感覚を感じる時もあるけど)を思い出させるものだったが、最後は行き過ぎ感が強く観ているこちらが少し引くという不思議な終わり方。
ボート競技のトレーニングで全力を出し切るアレックスが感じる恍惚感みたいなものはわからないでもないが、マラソンとかと同様に競技としてそこまでハマる魅力がわからなかったので共感度は低めだ。
それにしてもアレックスを演じたこのイザベル・ファーマン。エスターのあの少女だったとは!相変わらず印象に残る演技だった。
なぜボート競技。
なぜボート競技か明確でないからただ人生順位に固執した狂気の世界になってしまっている。まあ、その狂気が狙いかもしれないけど。つい先日みたがんばっていきまっしょい、のアニメ世界がそのまま実写に。が、こんなにも真逆な世界観にいろいろあるなー、と。
例え嫌いな相手であっても尊敬は出来なければならない
映画紹介で「奨学金がどうしても必要なジェイミーの画策によって、その座は奪われてしまう」とあるけど、そうか?
レギュラーを決めるレースで他のクルーに手を回して、イカサマをさせたと?
ダルとジェイミー以外はレギュラーなのだから条件は同じだ。
スポーツを知っているなら分かるけど、1流選手は大事なレースで手心を加え、勝負に影響を与えるようなことはしない。ダルの時もジェイミーの時も100%の力を出している。
チームスポーツでは、「あいつと一緒に戦うと100%以上が出せる」のだ。
それは普段の自分の行いがものを言うのですよ。
ダルはその大事さが分かってなかったのです。
茹で蛙ならぬ茹で蟹
大学に入りボート競技をはじめてのめり込んでいく女性の話。
どうやらなんでも1番になることに拘りがある様な感じの主人公が、奨学金目当てでトップを目指す同級生をライバルと定め練習に励んで行く展開…なんだけれど、ワンナイトとか物理のTAとの行は…(´・ω・`)
設定だけみると青春スポ根物語的な感じもするけれど、レース中の様子はほぼ無くて、レース後のやり取りで結果を述べるスタイルだし、ストイック過ぎて最早病んでるレベルの主人公が壊れて行くようなお話しで、切迫感とか悲壮感とかは良かったけれど、ある意味傍若無人でASDの気がありますね。
そしてそれを拗らせた訳だけれど、わかっていた筈の結末ってことですかね?
1軍との非公式レースやその少し後のコックスのねーさんとのやり取りは良かったんだけれどね…。
ボート競技に詳しくないと、何を言ってるのかさっぱりわからない専門用語がストーリーに関わるところで頻繁に出てくるし、何よりもなんだか少しはっきりしない終わり方にも感じられるしでイマイチ締まらなかった。
強烈!
イザベル・ファーマン、すごいですね。
なんかこう、名前からしてすごくないですか?
あれ、昔そういう有名な女優いなかったっけ?って思わせるような響き。
名優になるのが運命づけられているかのような。
もちろん子供時代にあのエスターの名演があって、実際にその時点で既にすごい女優でもあったわけなのですが。
そんな彼女の面目躍如というか、才能を思う存分乗せて演じることのできる強烈なキャラクターが本作の主人公です。
彼女の実力にはこのくらい凄まじいのがちょうどいいのかもしれない(笑)。
水を得た魚、どころじゃなく、水の中に入れた途端ものすごい勢いで泳ぎ出して、どこまでも行ってしまう感じでビビります(笑)。
なんとなくあらすじからは、最初フワッとなんの気なしに入った部活で、コーチやらライバルやら状況やらに煽られて、いつの間にか狂気にハマっていく、みたいなの想像するじゃないですか。
この主人公は全然、何の説明もなしに、最初から狂気の中にいますから。
そこからもう、圧が強めの緊張感あるシーンが鶴瓶打ちです。
前菜なしでいきなりメインが来てしまって、あれ?ってメニューを確認する間もなく、その後も次々皿が運ばれてきて、目の前に大きな音立てて置かれていく感じというか。
しかもよく見るとどの皿も、ドチャッといい加減に盛り付けられてるわけでなく、細部まで神経が行き届いててなんか怖いっていう(笑)。
ちょっと待って!て言うのも怖いのでこっちもどんどん食いまくるしかないみたいな(笑)。
実際物理的にもカットが異様に細かく割ってあったりして、時間的には100分切る映画なんですけど、ずっと情報量多いまま押し切ってくるので、見終わった後にようやくホッと一息つける感じでした。
でも見終わってぐったり疲れるというのではなく、逆に力が漲ってくるというか、映画のパワーに当てられて自分のエンジンも強制的に起動させられるような、極めて健全な影響をもらった気がしました。
あの狂気がうつって一時的にハイになってるなら、健全かどうか怪しい気もしますが(笑)。
イザベル・ファーマンの演技は、もちろんキャラクターとしては到底まともとは言えない異様なテンションなのですが、どこか余裕があるというか、完全に役を自分のものにしていて、危うさ全開で躍動する様がなんというか、すごく似合っていました。
まるで画面全体、いや映画館の空間全体が彼女の表情に吸い寄せられるような、恐ろしい魅力に満ちていて、その表情を見るだけでも十分に価値のある映画だと思います。
途中、恋仲になった女教師に長台詞で自分の思いをぶちまけるシーンが圧巻です。
動き、表情、言葉、彼女の演技そのものが、まるで一流のスポーツのようにそれ単体で強烈な魅力があって、文字通り息を飲んで見入ってしまいました。
それは情熱なのか狂気なのか
全編を貫くテーマ音楽の強烈なリズムが印象的でした。
観念的と思えるストーリーを理解できた気がしないのですが
何事においてもトップを目指さないと気が済まない主人公。
ライバル役の要領の良い美女との対比で、空回りし続けるように見える主人公。
けれど観客の憐れみなど受けてたまるかとばかりに荒れ狂う様に圧倒されます。
なぜボートだったのか。
彼女の最終的なゴールはどこにあるのか?
主人公の熱狂に疑問は置き去りにされたまま物語は進んでゆきます。
しかし、ボート競技の世界を初めて覗き見ましたが凄まじいですね。
ちゃっかりしているように見えるライバルでさえ血を吐くような努力を積み
恐ろしい上級生たちの人生はボートに支配されているかのように見える。
主人公の迫力に圧倒されて最初は気づきませんでしたが、ちょっと怖すぎる体育会系女子映画。
とにかく大迫力!
なんだか刺激が足りないと感じている方には、強烈なカンフル剤となるかもしれません。
65~70点ぐらい。スリラー色が強いスポ根?
『エスター』のイザベル・ファーマンですよ!
知ってるわ!と、お思いでしょうが、現在27歳の彼女がボート競技に打ち込む女性を演じてます。
この映画を観てて小柄だな…と思って調べたら、162cmだそうです。
そんな彼女は、この映画の為、
撮影前の6週間、毎朝4時半に起き、1日6時間の水上トレーニングを行った。
その数か月前には、LAからラスベガスまで6人のランナーで340マイル (547,177km) を走るリレーレースにも出場。
その時の経験が本作での撮影にも生かされている。
だそうです。
ボート競技+スリラー映画と認識して観て、スリラーの部分を期待したんだけど、
スリラーってより、ボート競技の部分が大きい。
映像は暗く陰りを帯びてるし、ホラーっぽいスリラーっぽい演出を使ってるので、まあスリラーっぽいんですが…
ボートには全く興味ないので熱くなれませんでした。
イザベル・ファーマンは、いい演技してます。
もっと、いろんな映画で、いろんな役の、彼女が観たい。
PS.この作品も昨今の風潮に毒されていて残念…(苦笑)
予習しとけば…
ボート競技について無知のまま観てしまった。
マイナーなものがテーマの時に台詞で説明するみたいなよくあるダルい設定はなく、ひたすらシビアでストイックな主人公の心理に添った演出は見事。
冒頭に出てくる造形物を制作会社のロゴデザインかしらと思ってしまったのは不覚だった。
ボートがこんなにも美しいものだったとは。
狂気の闘争心
めちゃくちゃ面白かったのだが。
音楽も映像もカッコ良すぎた。
サントラ聴きたい。
主人公の自分との戦い方が強烈。
最初誰と闘ってるのか全然わからなくて、何に対しての闘志なのかわからないくらいずっと何に対してもメラメラメラメラ燃えている。
狂気の闘争心!
自身の追い詰め方にゾッとする反面どこまで行くのか、段々ちょっと興味を持ってしまった自分もいた。何しろ勝つことへの執着が凄すぎて目が離せず。
正直ここまで面白いと思わずに観たので、なかなかの衝撃だった。
ラストシーンは彼女の性格からしたら、私は割と納得してしまった。笑
想像を越えて面白かったので是非ともおすすめ。
意外な作品です
2024年10月20日
映画 #ノーヴィス (2021年)鑑賞
大学の女子ボート部に入った主人公が、ボート競技へ異常なまでにのめり込んでいく
女子大生の青春ものかと思ったら、ホラー的であり、サイコパス的であって、しかも結末も想定外で異色の作品です
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
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