花まんまのレビュー・感想・評価
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おっさんの流す涙は美しく無いのか
泣きたいために映画を観に行く、という人がかなり多くいるらしい、が私には分からなかった
恋愛もので、二人巡り会ったのにどちらかが余命いくばくも無いことが分かり、その中で永遠の愛を誓うとか、家族もので、ひたむきにその家族へ無償の愛を捧げるとか
それらに近しい実経験も無いし。悲劇といわれる分野の芝居や文学などは、おそらく人の何十倍も観たり読んだりしてきたが、涙を流すことは無かった、今日までは・・・
この作品も、原作者の小説を何作か読んでいたことや、今月内で切れる映画チケットがあり、この作品の上映タイミングが空き時間にたまたま合致しただけ、で観たはずだったのだが・・・
泣きました。この作品。なんでしょうね。鈴木亮平や有村架純の演技はもちろん良かったし、ファーストサマーウイカやオール阪神・巨人、酒匂芳さんとかとかどの演者もしみじみと思いが滲み出ていて、決してあからさまに泣かせにくる演技でも無いのに途中から熱いものが込み上げてきて
おっさんは人生でいろんなことがあっても泣いたりは出来ないのです。女性はほんと泣きもウソ泣きも嗜みの中にあるらしいけど、男、特におっさんは社会的にも歴史的にも泣くことは許されていないのです
スポーツ選手がヒーローインタビューで泣くのは、ヒーローだけに許される特権なのです。負けたり失敗して泣くのは、ナイーブ(悪い意味の方)なのです
映画館で、しかも平日の昼で混みいってない暗がりの中だけで人知れず、おっさんの目から流れるものを手ぬぐいで拭いながら、時期はずれの夏日?猛暑日?で汗を拭いているんだろうくらいに思われながら
世界で最も不幸せといわれる日本のおっさんたち、映画という虚構の中で涙を流してカタルシスを得る、そんな幸せをぜひこの作で
一年分の涙を流した気がする(長文感想)
タイトルにも記しているようにもう中盤から最後まで涙がこれまでかという程溢れ出した
よく「THE 御涙頂戴もの」と言われる作品がこれまで溢れる程世に出てきたがまぁ、そんなものに釣られることは少なく、言ってしまえばこの作品も御涙頂戴ものにあたるだろう。まぁ見てみたいなと思ったきっかけは鈴木亮平が演じる俊樹の関西弁と予告で見る限り何か愛しく感じることだった。そして有村架純との兄弟役を演じることが些細なきっかけだった。
大方の予想通りに俊樹というキャラクターはコテコテな関西人であり、何かとツッコミを入れないと死んでしまうのか?と言わんばかりの性格であり、そしてフミ子の結婚報告も最初は頑なに認めず次第に結婚相手の太朗と共に結婚をめでたく認めていく。そんな頑固であり、本当に熱い「昭和の人」を見ているかのような感覚だった。
そして何よりもどの登場人物もが本当に優しく作品を暖かくしていく魅力があり、主軸の兄弟たちを支えていくキャラクターたちだった。結婚相手の太朗は俊樹が常にツッコミを入れてしまうコミカルな役どころを演じ、鈴鹿央士はこれまで何かと爽やかなイメージがあった為に見る前に結婚相手と知ると「いつも通りかな」と思っていたが、事あるどころにこっちもツッコミを入れたくなる程笑いをかっさらうようなキャラクター。ファーストサマーウイカ演じる駒子も大阪という舞台にこれまでかという程の大阪人であるものの常に俊樹との掛け合いで笑いを呼びつつ、大きく支えていくキャラクターだった。(こんなにもウイカの演技がハマるとは思わずこの作中で1番魅力のあったキャラクターかもしれない)
そして酒向芳演じる繁田仁、酒向さんは最近のドラマや映画においてひっきりなしに見るようになる程怖いヤクザのような役柄を演じる事もあれば優しいほおらかな役柄を演じ分ける好きな俳優さんだが、ここまでキャラクターに感情移入が止まらなくなったのは初めてかもしれない。シーンに映っている瞬間にも同じように涙が溢れてしまい、回想や声だけのシーンも含めて涙が溢れていき、フミ子に大きく関わっていく役どころを担っていったなど改めて酒向芳という俳優のとてつもなさを感じた。
このように改めて作品のポスターに載っている「涙が幾度も溢れ出す」というサブタイトルであり、明らかな御涙頂戴ものであっても「いつ以来だろう」と振り返るほど涙がこれまでかというほど流れていき、かつ所々に声が出るほどの笑いを巻き起こし最高な映画だったと振り返る。
もしかしたら他の人が見たら「ただの家族の映画じゃん」と思うかもしれないし、一回限りで十分な映画でもある。しかしながらその一回限りにおいてシリーズものでもなく、序盤からストーリーの面白さに吸い込まれていき笑いそして中盤から終盤にかけて涙が止まらない程
完璧な「家族愛」を映画だと思う。
最後にこないだまで上映していた「ファーストキス」では松たか子と松村北斗の掛け合いから坂本裕二にしか描けない作品の面白さなど2回見るほどに素晴らしく上映前後でも今年TOPの映画だと確信した作品をもっても個人的にはこの「花まんま」という作品を超えることはなく、私がこの後見ていく映画を含めても年間映画1位とこの時点で決めてもおかしくない映画だったと最後に振り返る
役者さんが良いよなぁ
地元がロケ地というだけで、ほぼ予備知識なく映画館へ。
良かった、想像以上に良かった!
ストーリーとしては珍しくない感じではあるけれど、これは役者さんの演技力が物を言う作品だなぁと感じました。(いや、ストーリーもとても良かったけど!!)
鈴木亮平、有村架純、素敵でした。
繁田のお父さんのバージンロードのあの表情、ダメです、泣きます、泣きました。
兄やんの不器用だけど真っ直ぐな姿、スピーチ、刺さります。ふみこの高砂での涙、ため息出るほど美しく、もう!有村架純の演技大好きなの!!
拍手!て感じです(語彙力)
オール阪神巨人の御二方も、ファッサマも演技上手くて楽しかったなぁ。
登場人物みんな優しくて心が温まる作品で映画館で観れて良かったです。
泣けたけど…う〜ん…???
フミ子の人格や記憶と喜代美の記憶は共存していたのに、結婚式を境に、喜代美の記憶に加えて、その周辺の記憶までごっそりなくなってしまったのは何故なんだろう。
といった設定面での疑問を踏まえた上で…
繁田家の家族は、フミ子とはじめて出会った時から、フミ子が喜代美とは別の人物、人格であり、フミ子としての人生を歩んでいくことを充分に理解していたと思う。
そのうえで、フミ子と、フミ子の中の喜代美とを大切にし、時に自分たちが生きる寄す処としていたのだろう。
フミ子からの結婚式の招待を断り、温泉旅行に出掛けようとしていたのは、おそらくフミ子とのつながりが終わることを予想して、別れの寂しさを紛らわすためだったのでは?
そして、そんな繁田家の家族の思いを理解していたからこそフミ子は、「(喜代美とともに在った自分を)覚えていて欲しい」から、これまで送った自分の写真を「繁田家で持っていて欲しい」と言ったのだ。
それなのに、「兄ちゃんからの大きなプレゼントだ」と言って、静かな別れを選んだ家族を結婚式に連れてきてしまった俊樹…。
披露宴のお見送りのシーンで、繁田家のことを忘れてしまったフミ子に「どちらからいらしたのですか?」と尋ねられた時の、繁田家の家族の表情…俊樹はあのあと、後悔の念に苛まれたりしなかっただろうか、と心配になってしまった。
原作を読んだら、私が感じたのとは違う心理描写があって、別の感想を抱いたのかなあ。
他にも、ウェディングドレスを選ぶ日程、ギリギリ過ぎじゃない?とか、いきなり3人も列席者が増えて、披露宴の食事、足りたのかな?とか、CGが安っぽかったりとか、過去パートの描写(通行人とか小道具とか)の時代設定が甘いとか、突っ込みどころも満載。
ともあれ、役者さんの演技はすばらしかったです(誓いのキスを見るまいと目を逸らした鈴木亮平さん、心の動きを表情で見事に表現していた坂向芳さん、さすがです!)
予想以上に良かった。笑いあり涙あり。
予告編を観て気になっていた作品。あまり期待せずに気楽に観たが、予想以上に良かった。ストーリー展開は分かりやすいし、次の展開が読めてしまったが、以外と重いテーマだし胸にジーンときた。また、作品全体の重い雰囲気をオール阪神巨人のユーモアと明るい雰囲気、鈴鹿央士のカラスの鳴き真似演技がホッとさせてくれた。鈴木亮平、有村架純はさすが。題名の意味は作品を観て納得できた。終盤は結構ウルッときた。オール阪神、巨人、鈴鹿央士の明るくユニークな演技に0.5点おまけ。
大阪版 寅さん&さくら
スピーチがとても素敵でした
出演者と予告で気になってた映画で鑑賞しました!
大阪の下町で暮らす二人きりの兄妹・俊樹とフミ子。
死んだ父との約束を胸に、兄として妹のフミ子を守り続けてきた俊樹は、フミ子の結婚が決まり、やっと肩の荷が下りるはずだった。
ところが、遠い昔に封印したはずの、フミ子の〈秘密〉が今になって蘇り……。
フミ子には幼少から別の女性の記憶があった。
「生まれ変わり」のようだがフミ子の存在は確固としてある。
フミ子が生まれたときに、若くして事件に巻き込まれ亡くなった女性の心が移っていたのだ。
それから22年―、結婚式の前日、フミ子が隠し続けてきた事実が発覚する――
というのがあらすじ!
この映画は予告ぐらいしか情報なくて観に行きました!
そしたらまさかカラスと会話する人が出てくるとは…笑
ちょっと笑えて面白かったです!笑
感情がちょっとグラグラしましたけど笑
伏線やタイトル回収もよかったです!
名刺がまさか役に立つとは思わなかった〜
結婚式向かう途中に荷物で道塞がれるわホテルを間違うし!
フミ子の言う通り間違えましたね笑
あと花まんまは花でお弁当作ってるからそう言うんですね
お花のお弁当は綺麗だと思いました…
最後も花まんまが渡されてましたしそこで感動しましたね
結婚式では有村架純さんがとてもお綺麗でした😊
そしてスピーチが良かったですね!
朝の情報番組で確か監督とアドリブで作ってるっておっしゃってた気がします…
だからか気持ちがかなり伝わってきましたね☺️
ここでもかなり感動しました…
最後はフミ子はもう喜代美の記憶が無くなっててまさか繁田家まで忘れるとは…
てっきり喜代美さんの記憶だけ無くなって繁田家のことは覚えてるものだと思ってました
でも名前も家も思い出せなくなってるって言ってたからそうなる運命だったのかもしれませんね🤔
前世?の記憶というか違う人の記憶があるみたいなことはテレビで観たぐらいでそんなことほんとにあるのか疑問なんですけどどんな感じなんでしょうか?
実際にそんな人がいるのか見てみたいです
この映画はとてもよかったと思います!
ファンタジーのシーンは笑えましたしその他ではとても感動しました!
そして登場人物がみんな温かくて素敵でした…
感動するいい映画をありがとうございました😊
令和最悪(今のところ)の涙腺崩壊劇
転生娘との再会とか披露宴のスピーチとか、泣かせどころやオチがわかりきっていてもやっぱり泣いてしまう。全編コテコテの関西弁、そしてそれを演じきれる役者さんじゃなければ逆に白けきっていたかもしれない傑作でした。
死生観云々言う人も多いですが、一番のテーマは「子を失った親」と「親を亡くし家族を背負う子」、本来相対することのない対照的な二つの心情が「転生」という非現実によって衝突し葛藤することだと思います。そこは死者ではなくて、不幸の中で現実を生きる人間の生々しい姿があくまで主役だと思います。
その子供の頃の衝突が、軸となる娘=妹の結婚というイベントによって再度ぶつかり合い、それが主人公たちの親離れ・子離れのストーリーとして織り合い止揚していく様が強く胸を打つのでしょう。
死生観云々言ってる人は、フィアンセがなぜ「カラス」の研究科でありカラスと対話できるのか、なぜカラスは最後に役に立たなかったのか、それくらい掘り下げて欲しかった。
原作では結婚式までは描写していないですが、映画ではエピソードまで描写しており、わかりきったコテコテの展開でしたが映画のアンカーとして見事にトドメを刺されたようで無事涙腺崩壊?放解しました。
良い映画でした。一生のお願いだからみんな観るといいよー。
痛ましい事件の被害者として若くして亡くなった女性の記憶が、主人公の妹の中に幼い頃から存在し、その記憶に惹かれるまま、幼い時分に兄妹は亡くなった女性の家族と出会った。
末っ子の娘を亡くして悲嘆に暮れる父とその家族たちは、娘の記憶も持った幼い少女の存在に驚愕するも、再び愛娘に出逢えたことで生きる希望を見出していく。
しかし兄は、本来の自分の家族を蔑ろにされたと感じて、以後、その家族たちが妹と交流することを禁じて、そして時は流れる。
妹の結婚を機に、ある意味、兄として封印していたこの出来事と正面から向き合う必要が出てきて…。
とあらすじを書いてみたが、この「すこし・ふしぎな」世界設定をしっかり書くと大変なので、以下省略。
本作はとにかく脚本、演出、演技、カメラワーク、センス、どの要素も素晴らしい出来映えで心から楽しめる作品でした! 登場人物の人間像が過不足なく描写されて、耳心地の良い関西弁が人情味に溢れており、家族愛に富む素敵な物語を満喫できました。
冒頭から丁寧な作りだなと実感したのは、仏壇のお水を取り替える際に水の入った器を持っていくだけだったり(持っていくだけで、水を捨てる、水を汲むといった行動を省いてるのが良い)、妹が自転車の鍵を忘れるところなど、細部に渡って登場人物たちの生きている様が感じられる脚本になっているんです。
またカラスと喋れる要素は、本作の設定として突き詰めると重くなりがちな「愛」の描写に対して、からりと気持ちのよい場面展開に使われており、各シーンでのカラス要素の差し込み方が見事でした。
本作は「すこし・ふしぎな」世界設定を入れることで「物語」としていますが、根底にあるのは普遍的な家族が生きていく営みそのものが家族愛、人間愛に満ちた素晴らしい「物語」なんだと思います。終盤、結婚式の兄のスピーチは、「すこし・ふしぎな」世界設定とは関係なく、普遍的なものだからこそ大いに心揺さぶられますから。
本当に良い映画でした。一生のお願いだからみんな観るといいよー。
アルバムはどうなった?
予告編だと有村架純演じる妹の二重人格ミステリー部分に焦点を当てていて、ミスリードというかそこに興味を惹こうという作戦だと思うのだが、そんなことは割とどーでも良くて純粋に父代わりとして頑張ったお兄ちゃん(鈴木亮平)と妹とのちょっとキュンとして泣かせる系のドラマである。我々の頃で言えば今井正監督で草刈正雄と秋吉久美子が演じた「あにいもうと」を想起させられる。舞台が大阪下町で主要なキャストが関西出身でオール阪神巨人もうまい役どころなのだけれど、京橋出身のファーストサマーウイカのこてこての漫才トークに対して同級生で幼なじみのはずの鈴木亮平の会話のテンポがどうしてもついてゆけず(西宮とミッド大阪ではやはり違和感が生じるのだ)そこがちょっと残念。前田哲は古き良き松竹系的人情喜劇の雰囲気を出せる希少な監督で好きである。オープニングから鈴木亮平が妹の婚約者について語る鉄工所の下りまできっちりしたカット割りとカメラワークで安心して見せてくれるし鈴木亮平も「孤狼の血LEVEL2」以降はもう普通の役はできないんじゃないかと心配したけれど「下剋上球児」で過去のある熱血監督が上手くはまってすんなり現生にカムバックできて嬉しい(真っ白から真っ黒まで演じられる役者はめったにいない)。かぐや姫ではないけれど苦労して「育てた」妹を送り出す結婚式でのスピーチは感動的で無いはずがなくそれをそのまんま聞かせてそのまんま泣かせようという身も蓋もない映画。大学でカラスを研究する新郎もうまくストーリーにからんで良かった。うちのご近所にもカラスと仲良しのオヤジがいてあながち無理な設定ではないなと感じた次第。
感情の置き場に困った…
心を軽くしてくれるコメディタッチの感動作
本作は、ファンタジー要素少々のコメディタッチヒューマンドラマ といったところでしょうか。
お腹にいる赤ちゃんと消え行く命がすれ違っただけで、記憶が乗り移るとは受け入れ難い設定。(前世の記憶がある、と言うのならまだしも)
それでもファンタジー過ぎず、コメディ感も強いので、次第にスッと馴染んでしまう。
鈴木亮平さんの演じる俊樹が、愛すべく熱血単純の昭和キャラで、少し大袈裟に言えば釣りバカのハマちゃんみたいな感じ。
そして芯が強くしっかりもので、大人びた妹の有森さんとの相性ぴったり。
すごくハマり役だった馬場園さん、ウイカさん。馴染み過ぎてて気づかないほどのオール阪神巨人。
繁田家の存在を強く印象付けた緑子さん、六角さん。
この配役が良くて、ユニークな世界観となったのでしょう。
極めつけはカラスとの鈴鹿さん。
後ろのおばさまが、カラスとの絡みで必ず我慢した笑い声を響かせるものだから、自分も会場全体もつられて笑ってしまって。
頑張って生きてきた辛さ、逞しさ、思いの深さに感動し、兄貴の結婚式スピーチで号泣。と、まさに忙しく泣き笑いの2時間でした。
原作を読んだり下調べせずに鑑賞したのは、かえって、固定観念がなく良かったと思う。
ひとつ、最後まで気になり続けたのが設定年代。
子供時代が昭和30~40年代初っぽいですよね。
髪型やバッファローズのキャップや、宝の缶とか。
(貯金箱のお札は伊藤博文じゃなかった)
スマホが上の年代まで浸透している背景から、結婚式が2015年頃としても、30年前ってまだ昭和60年代なんですが…。
心が温まる「不思議な世界」。
映画のクライマックスであるフミ子の結婚式がとにかく感動的である。その要因としては、映画の冒頭から色々仕組まれてきた伏線が、ここですべて納得できる解決がされていると感じるからだろう。そして登場人物が、今まで抱えてきた心の苦しさから解放されて「心の浄化」や「救い」みたいなものが演出されているので、そのことに観客は満足を得るだろう。
話の構成で言えば、本来何の関係もなく交わる事のないはずの2つの家族を、不思議な縁で結んで心が洗われるドラマに仕立てた手際の見事さに感心する。生まれてきたばかりのフミ子に、死んでいく喜代美の心が乗り移るという一種のファンタジーである。この不思議な想像の世界が、単なるヒューマンコメディを超えた魅力になっている。フミ子は自分の心の中に生きている喜代美を大切にして、この現実を素直に受け入れて向き合っている。他人に心を乗っ取られたりしたら、普通なら拒絶したり迷惑がる所であるが、フミ子は違う。喜代美の父仁と手紙のやり取りを続け、自分の写真を送り成長の報告までしている。フミ子が父を知らないから喜代美の父を慕っていることになっているが、それでもこんな心根の優しい人はいない。兄俊樹は父から妹を託されて、自分が守らなければいけないとの責任感が強すぎて、とにかく妹のために頑張ってきた。「兄貴は損な役割だ」というのが何度も強調されている。そんな妹が、知らない女性のために知らない家族に心を寄せていると知って、裏切られた気になるのも理解はできる。一方の繁田家はフミ子が喜代美であることを素直に受け入れてフミ子の成長を見守っている。これも現実にはあり得ないことであるが、コメディ的でとても面白い。父仁は娘の幸せを見届けられなかったことが大きな心残りで、フミ子に叶わなかった自分の思いを託している。
俊樹が繁田家の人々を結婚式に連れてきたことは、今までの態度から考えると本当に大きな心の変化である。自分を犠牲にしてまで妹を守ってきたという苦しさから解放されて、フミ子の気持ちを受け入れ、全面的に結婚を祝うことができた。喜代美の父仁は、娘が果たせなかった結婚をフミ子が替わりに実現する場に立ち会えたことで、今までの苦しさから解放された。
登場人物がすべて心の優しい気持ちの良い人ばかりである。見終わって心が温まる。そして鈴木亮平、有村架純、酒匂芳の素晴らしい演技に感謝したい。
圧巻!!鈴木亮平
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