「肩肘張らず楽しめるアトラクション的快作」トラップ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
肩肘張らず楽しめるアトラクション的快作
世の中にはあらすじを読んで俄然興味が募る映画も多いが、これはオープニングのジョシュ・ハートネットの善良そうな父親像を微笑ましく眺めるところから見どころが始まっている気もするので、できれば「シャマラン作品」という情報だけキャッチして一か八かで劇場に足を運ぶのが良いのかも。音楽活動を続ける娘を歌姫役に据えるなど、シャマランの家族ぐるみの映画制作はなお一層、強固となっている感があるが、そこさえ許容すれば、本作は意外と楽しめる。ヒッチコック的な主題で遊びつつ、ライブ会場というある一定のルールに則った「限定領域」を存分に活かし、その個と状況との対峙においてミステリーを紡ぐシャマラン節は健在だ。主観を用いた語り口も相変わらずだが、通常なら「んなわけないだろ!」と突っ込みたくなる展開でも、ハートネットの存在感がハマっているので、それすらも楽しい。肩肘張らず、軽い気持ちで体感できるアトラクション的な快作。
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