「11人をちゃんと識別できるところが凄い!」ゼンブ・オブ・トーキョー tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
11人をちゃんと識別できるところが凄い!
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出だしは、パラレルワールドやマルチバースをネタにしたファンタジーなのかと思ったが、蓋を開けてみれば、5つのグループに別れた11人が東京で過ごす1日を描く群像劇だった。
11人と言えば、結構な人数だが、各グループのエピソードが整理されている上に、登場人物の全員に見せ場が用意されていて、それぞれのキャラがちゃんと立っているところは、良く出来ていると思う。
物語としても、憧れの男子にフラれたり、オタクだったことがバレたりといった予想通りの展開だけでなく、クレーンゲームでお目当てのTシャツか取れなかったり、オーディションに間に合わなかったりといった予想を裏切る展開も、青春のほろ苦さが感じられて良かった。
出演者達の演技の拙さも「御愛嬌」で、30歳近くの俳優が高校生を演じることも珍しくないご時世で、この年代の少女にしか醸し出せない雰囲気をドキュメンタリーのように切り取っているところには、かえって好感が持てる。
ラストで、せっかく11人全員が集結したのに、先生からスマホを奪還する作戦に、実質5人しか参加していなかったのは残念としか言いようがないが、「旅で大切なのは、どこへ行くかではなく、誰と行き、何をするかだ」というメッセージは、シンプルながら心に響いた。
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