「彼女たちの青春の輝きが眩しい」ゼンブ・オブ・トーキョー しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女たちの青春の輝きが眩しい
TC PREMIUM THEATERで鑑賞(初日舞台挨拶)。
日向坂46の四期生たちが、それぞれ個性的な女子高生を演じる青春映画。彼女たちのかわいさが目一杯詰まった王道アイドルムービーだ。
しかしこの「王道」が、熊切和嘉監督にしてはかなり意外な直球路線であり、フィルモグラフィー的には異彩を放つ作品となっている。
彼女たちの巻き起こす騒動は、自分が学生の頃の修学旅行を思い出したりしてとても懐かしく、そしてとても甘酸っぱい気持ちになった。
東京の様々な表情が映し出され、観光映画としての魅力が満載である。東京と云う街がもうひとりの主役と言ったところであろう。物語が進んでいくと「東京」が眺めている彼女たちの様子を見せられているかのような感覚になるのが面白い。
アイドル映画と言えば、主演するアイドルの演技が気になるものだと思うが、驚いたことに誰も下手と感じなかった。アテ書きされた役柄だからこその自然体な演技が、時に笑いを、時に切なさを齎し、眩しいほどに青春の輝きを放つ。
若さ故の爆発力と言えば良いのか、もしくは瞬発力みたいなものがエネルギーとなり、それが眩しさに繋がっている。その眩しさは「アイドル」と云う決して永遠ではない、かけがえのない瞬間が放つ閃光に重なり、さらに輝きを増す。
彼女たちの持つ魅力と、それを引き出した熊切監督の巧みな演出が見事な化学反応を起こした末に生まれた、今年のダークホース的傑作だと思う。
[余談]
日向坂46では正源司陽子推しなので、今回の舞台挨拶はお得でしかなかった。何せ、2200円で生のよーこを見られるのである。なんて素晴らしい機会なのだろうとウキウキで足を運んだ。
最高に面白い舞台挨拶だった。よーこってめちゃくちゃかわいくて、ついでにヘンな子なんだなと、より好きになった。きっとファンは兵衛向陽閣の金泉・銀泉有馬六湯めぐりを買うんだろうなぁ⋯
[追記(2024/11/09)]
副音声上映を堪能した。映画を観ながらの四期生や監督の話す撮影秘話が賑やかで楽しく、終始ふむふむ、にやにやしてしまった。まるで、仲間たちが修学旅行の動画を観ながらわちゃわちゃと想い出を語り合っているみたいだった。四期生の仲の良さが伝わるコメンタリーで、なんとも耳福である。
[鑑賞記録]
2024/10/25:TOHOシネマズ梅田
2024/11/09:TOHOシネマズ西宮OS(副音声上映)
2025/11/09:Blu-ray(オーディオ・コメンタリー)
*修正(2025/11/09)

