DEADMAN 消された男

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DEADMAN 消された男

解説

会社を運営するために必要な名義だけを貸し出し、実際の経営には参加しない「名義貸し」の取引犯罪を描いた韓国製クライムサスペンス。

自分の名前を売り、「名義貸し」の雇われ社長としてその界隈では名を馳せていたイ・マンジェは、ある日、1000億ウォンもの巨額横領の濡れ衣を着せられ、中国の私設刑務所に閉じ込められてしまう。表向きは死亡扱いとなった彼は、政治コンサルタントのシム女史に救い出され、事件によって失ってしまった自身の人生を取り戻すために復讐を誓う。シムは、そんなマンジェを利用してある計画を企てていた。そして、マンジェのせいで父を死に追いやられた女性コン・ヒジュも現れ、横領事件をきっかけに結ばれた3人はそれぞれの目的のために事件の黒幕を探る。

「お嬢さん」「毒戦 BELIEVER」のチョ・ジヌンが主人公マンジェ役を、「夫婦の世界」のキム・ヒエがシム役をそれぞれ演じる。監督は「グエムル 漢江の怪物」でポン・ジュノとともに脚本を共同執筆したハ・ジュンウォン。

2024年製作/108分/G/韓国
原題または英題:Dead Man
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年10月18日

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映画レビュー

3.5脚本に難あり

2024年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

2006年の「グエムル 漢江の怪物」でポン・ジュノ監督とともに脚本を共同執筆したハ・ジュンウォンの商業映画監督デビュー作だそう。この監督さん、写真では40代くらいの外見だが、「グエムル」のほかはキャリアに関する情報がほぼ見当たらない。あるインタビューで「名義貸し」を取引に悪用する犯罪について5年近くリサーチしたと語っているので、自身が手がけた脚本に実際の手口をある程度は反映させたものと考えられる。とはいえ、主人公の名義が使われた会社を経由した不正な金が有力政治家の資金になっている流れがざっと描かれるのみで、実録と呼べるくらいに犯罪の詳細を説明するわけではなく、経済犯罪の手口に興味をそそられるほどの具体性もない。

それ以外にも、脚本にいくつか難点がある。主人公イ・マンジェは巨額横領の濡れ衣を着せられ、有力政治家を陰で支える裏組織の力で中国の私設刑務所に送られ死んだことにされるのだが、そもそもそんなに大きな力を持つ組織が秘密を知るイ・マンジェを生かしておく必然性がない。近い将来大統領職を狙う政治家と彼を支える組織にとって、横領事件の真相がばれるリスクを最小限にするには、時間と金をかけて私設刑務所に閉じ込めておくよりさっさと口封じで殺すほうがいいはず。死んだことにされた男(デッドマン)が絶望的な状況から舞い戻ってきてリベンジする筋のためのご都合で、まず序盤の前提から説得力に欠けるのだ。

そのほか、イ・マンジェはさして苦労することなく、政治コンサルタントのシム女史、横領事件のせいで父親を亡くした娘コン・ヒジュといった仲間を得るのも、都合よくお膳立てされている感じでいただけない。それにコン・ヒジュの父親の死に方も中途半端で、どうせなら意図して自殺するか、あるいは裏組織に消されるかしたほうが、復讐を誓う娘への観客の共感も高まったのでは。

そんなわけで、さして没入も共感もできないまま、イ・マンジェたちによるリベンジプロジェクトが都合よく進んでいくのを傍観する感じ。サスペンスやアクションの演出は悪くないと思うので、ハ・ジュンウォン監督にもし次回作があるなら、脚本は別の人に頼むか、せめて共同脚本にしたらよいのではないか。

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高森 郁哉

3.0なんだろう? 脚本のせい? リメイクしたらもっと良くなる気がする ...

2024年11月1日
iPhoneアプリから投稿

なんだろう?

脚本のせい?

リメイクしたらもっと良くなる気がする

キャスティングはこのままでも良い、きっと

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jung

2.0こんなハズレもある

2024年10月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

巨額の横領事件を起こした社長にでっち上げられた主人公が、中国の私設刑務所で拷問を受け殺されるところを間一髪で助かるという始まり方。自分を陥れた人間に復讐するために立ち上がるって話なんだけど、今一つピンとこない。そもそも「名前貸し」って言ってるけど、名前だけじゃないじゃん!ちゃんと出社していい思いしてるのがアホらしく感じる。
その後、仲間を得ていったり、いろんなトラブルに遭遇するのだが、それらもあまり面白くない。というか、話が入ってこない。
最後に本当の敵は誰か?なんて盛り上がるべきシーンも、はぁそうでしたかなんて冷静に受け止めてしまった。好きなタイプの映画だと思っていたけど、何がダメだったんだろう。韓国でこの手の映画を作りすぎたのか、脚本を色々と複雑にしていた気がする。こんなハズレもあるという教訓にはなった。

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kenshuchu

4.0この映画の趣旨を理解できる観客はいるのか…?

2024年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年382本目(合計1,474本目/今月(2024年10月度)33本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

 今週末(厳密には木曜日まで)のシネマートさんで新作といえる本作ですが、極端にマニアックというか、もう閉館が決まってから「趣旨のよくわからない作品」が増えたのかな…という気がします(閉館が決まっている前提で、あれこれチョイスする意味がないため)。
この映画もここの採点が物語っている気がします。

 内容としては「名前貸し」という、一見ありそうでなさそうな、でもありそうなそんな内容です。ここから発展するトラブルを描いた映画です。この点はまぁ盲点というか、「そういう着眼点もあったか」という「気づけそうで気が付けない」ところに着眼点を置いた点はまぁ良いかなと思います。

 問題点は2つで、1つは多くの方が書かれている通り、話が飛び飛びに過ぎる上に、野球協会がどうだの中国の私営刑務所(って設置できるの?)がどうこうというヘンテコな話に飛びまくる点で、話の飛び具合がすごいのでついてくのが大変です(ちなみに韓国にも「野球」はあり球団もリーグもあります)。

 2つめは、法律系資格持ちの感想というところになりますね。
この映画、裁判所が2回出てくるのですが(詳細については採点欄ほか)、その部分の説明がまったくない上にこの理解はかなり難しいです。前者はある程度韓国映画を見ていれば「日本との違い」で触れられることもあるので知っている方も多いと思いますが、後者は何がどうなってるんだろう??レベルで、ここで詰まる方が続出するんじゃないか…といったところです。

 さらに、いわゆる「名義貸し(名前貸し)」を扱ういわゆる「空会社」を扱うために、日本でいうところの商法会社法/商業登記法のような展開になりそれを想定できる字幕も「ある程度」でるのですが、なぜか法務局(日本相当)は出てこず相手はずっと市役所か何か…。このあたり、日韓で制度が違うんでしょうか…(登記を行う専門職は司法書士という専門家の方です。行政書士の資格持ちはある程度理解できるにとどまる)。

 ちょっと、うーん。どうでしょうか…。
シネマートの最終週を飾る「新作」の扱いとしては、作品がヘンテコすぎる(チョイス基準も謎…)というのが本当に残念です(映画もわかりにくし、チョイスしたシネマートもよくわからない…)。

 採点は以下まで考慮しています。

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 (減点0.5/2回出てくる「裁判所」の意味が分かりづらい)

 この点については、行政書士の資格持ちは見抜いてくるし理解はできたので後述はしますが、かなりの方は特に「後者」(2回出てくるうちの2つめ)のほうで理解が詰まると思います。

 (減点0.3/ストーリーが雑で理解が困難)

 このことは他の方(PROレビューアの方含め)も書かれているので、程度の差はあっても理解しきるのはかなり困難かなぁ…といったところです。ただ、上記の「裁判ネタがわかりづらい」点とは分離されている(裁判所ネタは最初と最後にしか出ない為)ので、「わかりにくい」点が「裁判所ネタではない」点がまたネックで(そこが理由なら、その説明不足ですよに吸収できるが、できない)、VOD等で何度か見るのがもはや前提のような気がします。
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 (減点なし/参考/韓国の裁判制度・その1・離婚熟慮期間)

 韓国では協議離婚においては家庭裁判所が必ず入るようになっており、そこで2人の言い分を聞いた後、1か月~2か月(子どもの有無、財産等で異なる)ののち、再度当事者の話をきいて「考えは変わっていないか?」という点を確認して最終的に許可する制度になっています。本来は婚姻離婚は身分行為で裁判所がかかわるべきかという問題もありましょうが、どの国でも(日本も含め)一時の感情のもつれからいきなり離婚する類型はどの国でも存在しますから、このような制度があること「それ自体」は一つの国の政策として理解はできます。

 ただこの点は字幕も何もないので(せめて「熟慮期間」や「家庭裁判所」という字幕は欲しかった。韓国語が読み取れるか聞き取れるなら何とかなるが…)といったところです(一方で、この「熟慮期間」を扱った韓国映画はいくつかありますので(2024年でもほか何作かありました)、知っている方は知っているのではと思います)。

 (減点なし/参考/韓国の裁判制度・その2・行政法院)

 ラストに出てくる、主人公が「ある裁判」を受けるシーンです。
日本は日本国憲法の定めるところで最高裁を頂点とした一つの体系しか持ちませんが、日本が帝国憲法を定めるときに参考にしたドイツ・フランスのうち、特にフランスでは「民法裁判所」「商法裁判所」「行政裁判所」…と特に細かいです。特に「憲法裁判所」といって自国の憲法の合憲違憲のみを争う裁判所だけを別に用意している国も多いです。

 韓国は日本とフランスの「ややフランスより」で、「一般の裁判所」「行政法院(行政裁判所)」「憲法裁判所」の3類型があります。ただ、この映画の展開としてなぜ主人公が行政法院(行政裁判所)に赴かなければならないのかは理解が難しいです。

 この点、韓国は「裁判制度」いう観点ではフランス式を取り入れましたが、学問形態としての「行政法」は日本の研究の傾向をかなり受けたので(そして同じように、日本と同じように韓国にも「行政書士」という資格はあります)、この映画内で登場する「行政法院」は、日本でいう「行政事件訴訟法」専門の裁判所と言え、実際の運用もそのようになっています(隣国でもあり、法体系も似るので、隣国とはいえ制度紹介や判例紹介等も各都道府県の行政書士会のサイトなどで見ることができる)。

 その理解でいくと、映画内の字幕は完全にぬけぬけなのですが、おそらく「取消訴訟に義務付け訴訟を併合提起したのか」と思われるところ(詳細ネタバレ回避)、この部分の説明が本当にないんですよね…(ただ資格持ちは解釈上、色々な消去法でそうとらえるしかない。併合提起である点も映画の展開からもわかる。なお、明らかに原告適格や訴えの利益の問題はクリアされている(=論点ではない))。韓国にも行政書士の資格があることは前述しましたが、韓国の中高では行政事件訴訟法(日本相当)の初歩等を学習するんでしょうか…(韓国国内でも理解しがたいのでは?)。
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yukispica