「Orgasm」ベイビーガール ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Orgasm
CEOとインターン生のドロドロしたドラマという情報のみ携えて鑑賞。
これPG12だよな?と思うくらい初っ端からぶっ飛ばしていきますが、恥部はほぼ映してないのでPG12どまりだったのかなと思いました。
ちょっとしたライン超えをしてしまったがためにロミーが性欲に溺れていく様子はとても丁寧に描かれており、徐々にブレーキが踏めずにいけない事だと分かっていてもフルスロットルでペットになっていくという悍ましい様子も余す事なく写されていたのは絵面的にインパクト大でした。
旦那との性行為を断るところなんかは熟年夫婦だからこそいつまでもベタベタできない、という感じで落ち着くのかなと思いきや、あんたで気持ちよくなったことない!と見事なアッパーをかましてくるのでここは既婚者でもなんでもないですが、強烈にグサっときました。
サミュエルに何か策や理念なんかがあれば色々と考察しながら観れるんですが、初っ端からCEOであるロミーに馴れ馴れしくつっかかりますし、ポスターにあるように挑発的な態度を取ったりしますし、シンプルに目上の人にする行動では無いなというところに拒否感が生まれていました。
ただ、それ自体が今作のシステム的なものでもあり、偉い立場の人間でも若手の社員の告発なんかで一気に地獄へ落ちていくというバランスの悪さもしっかり描いており、そう考えるとある程度は偉い立場の人がしっかり意見してくれる方が助かるし、導いてくれるとなおありがたいなと改めて考えさせられました。
サミュエルの後日談で日本のカワサキに行ってもらったという終盤は、おいおいおいあのクソ野郎を日本に寄越したってのか?やめてくれよ…というなんとも言えない気持ちになりました。
ロミーがここからなんとか立ち直ってくれれば…という感じで終わっていくので、全編振り返ってみても想像以上に昂るシーンは弱かったかなと思いました。
ニコール・キッドマンはもう熱演も熱演で、全部脱いで暴れ散らかすほどのセクシー表現では無く、淡々とそれでいて悦に浸るような満足感を同時に顔と身体に出すという難しい役所をやり切っていたのでお見事でした。
ハリス・ディキンソンはこれまでの作品をうまいこと融合しつつ、そこからクズ野郎の成分をより濃くしたような演技で不快感マシマシだったのもパワーがあったなと思いました。
あと些細っちゃ些細な問題なのですが、クラブのシーンは割とチカチカするので、そういうのに弱い方はちょっと気をつけて観た方がいいかもです。
良くも悪くもA24らしいなんとも言えない味、それでいてあらすじやポスター以上の事が起きないという、やってる事は毒っけ満載だけど物足りなさが際立つ作品でした。
ポスターのひざまづいてるロミーが1番の見どころかもしれません。
鑑賞日 3/31
鑑賞時間 9:20〜11:15
座席 C-9