「面白い文学を映画にするのは難しい」クィア QUEER ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
面白い文学を映画にするのは難しい
前作『チャレンジャーズ』が思いの外面白かったので期待していた一作。バロウズ原作、トレント・レズナー音楽ということで先にサントラ聴いていたくらい。おまけに予告編は良さげでお金も掛かってそうだし。しかし評判が聞こえてこない。で、観てなるほど、と。
ファンタジーに寄せて外堀はミニチュアルックに作り込まれた南米パラダイス。いろんなものの中毒おっさんが不意に現れた男に惚れてからの一緒になりたい願望の果ての彷徨。全編ドラッグに彩られて、、とかと思うとそんなにドラッグ臭はしない。綺麗なのだ。
第2章の旅はまるごとドラッグネタなのだけど、ここらも面白いルックや表現もあるのだけれど、その辺はクロネンバーグを欲してしまう感じ。クロネンバーグやホドロフスキーやらの本物の変態に変態負けしてるというか。チャゼルの映画もそうだけど、やはりクレバーな監督は本物のヤバい奴らには敵わない。
で、この映画はとてもオシャレには出来ている。出会い、接近、接触、結合、旅、願望へのトリップ、章ごとの進み方はわかるにしても各章が盛り上がらない。かつて同じ映画館で観たキュアロンの『天国の口、楽園の終わり』にあるロードムービーの牽引力のかけらもないというか、おそらく原作をまとめていくとこうなるのかもしれないが、やっぱり原作などに依っていると映画なんか面白くならないよね、と思う。おまけに時代ものの箱庭感で進めているのでもちろん旅にでても開放感あるわけでもなく別の箱庭になり、恋の対立関係は薄くもなっている。
ドラッグ文学はおそらく文章そのものや文体の飛び方などそれは個人の頭の中の面白さなのでドラマにするのは別のロジックで作らないと面白くなりようがない。
グァダニーノ、原作好きなればこそのミスをおかしてるような気がする
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