「傲慢と切実さと幻想」クィア QUEER はたはたさんの映画レビュー(感想・評価)
傲慢と切実さと幻想
なんとなく気になってふらっと見てみた1本
君の名前で僕を呼んで は画の美しさに見とれつつ眠ってしまったのだけど(ごめんなさい)こちらは宙に浮いた美しさを残しつつ刺激的で個人的にとっても面白かった!
序盤、綺麗な格好と裏腹に傲慢で老醜さすら感じるリーがものすごい清潔感と佇まいのユージーンに一目惚れするシーンでニルヴァーナのcome as you areが流れるのがアツい〜
ストレートに見えるユージーンが年の離れたリーの熱心な好意に若干距離を置きながら気まぐれに応える様子がまさに「冷たくて大きな魚」という感じで好きな表現だった。
とは言え年老いたゲイが美しい若者にハマる映画ってなんだか既視感があるなあ、、と思っていたら後半からどんどん予想外の展開になって目が離せなくなった😂
みっともないほど心身で繋がりたい気持ちが募ったリーが至ったドラッグを介したテレパシーという境地。
口数の少なくて冷ややかな時もあるユージーンの深部へ潜りたいにしてもそんな展開になるとは〜
前半のメキシコシティの街並み、中盤の南米の海辺の情緒ある風景、後半のがらっと変わった熱帯ジャングルの奥地、とそれぞれの景色に見応えがあって飽きずに見られました
トリップシーンもこれ薬やってないと撮れないでしょと思うような酩酊感で追体験をしているよう。この通常では意味の分からない時間を味わえただけですごい価値。
2人がまさに一体化したような濃厚な時間を過ごしながらも開いた扉に背を向けて帰ったのは、そういうことなんでしょう。
ユージーンのリーに対する気持ちも、束の間の旅も、精神体験も、一種の幻想であることは最初から分かっていたはず。
それでも心身の快楽と充足を求めた孤独なリーを見ていたら、幻想もそれ自体は夢ではあるけど事象として確かに在るものなのではないかと願ってしまった。
見る人は選ぶかもしれないけど、知らない心と時間と世界へトリップできた 見てよかった1本でした。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。