劇場公開日 2024年10月18日

「3人それぞれの閉塞感から共感へ」国境ナイトクルージング ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.53人それぞれの閉塞感から共感へ

2024年11月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

チョウ・ドンユイ出演とあっては、観ないわけにはいかない本作。
チョウ・ドンユイは『少年の君』、『ソウルメイト 七月と安生』で私の推しになりました。

3人それぞれの閉塞感がしんどい。
・ハオフォン(リウ・ハオラン)は、母親からのプレッシャー、香港の金融関係の仕事も日々”追われている“。
結局逃れられないため、彼は死をも想像するわけです。高いところから飛び降りたいと。

・ナナ(チョウ・ドンユイ)は、かつてフィギュアスケートでの活躍を期待されるほどのギフトを持った人だったが
怪我で断念。それ以来自暴自棄に(見える)。

・シャオ(チュー・チューシャオ)は、両親が亡くなり叔母の食堂で働くも、弟ともども叔母からのプレッシャーがハンパない。

そんな3人が出会い、お互い共感し、国境をクルージングするわけですが、
その行動を通して、3人それぞれが前を向いて自分の人生を歩み出す。一歩を前に踏み出していく。

説明なし、起承転結ではない作品なので、いろいろな想像をしながら鑑賞するのがとても楽しかったですね。
余韻もたなびく良作です。

とにかくチョウ・ドンユイの演技が自然すぎて素晴らしいです。
バスガイドの役ですが、本当にいそうですもん。そのくらいリアルで自然。
特に涙を流すといった感情表現にはグッときますね。
ずっと演技を見続けていたい、そんな俳優さんですから、今後も追っていきたいと思います。

たくさんの人に観てもらいたいけれど、興行収入はとても厳しい気がしますね。
こういう映画にスポットがあたるその日を信じて、自分としては劇場で鑑賞することで応援していきます。

ひでちゃぴん