キング・クリムゾンの世界

解説

「Peter Barakan's Music Film Festival 2024」(2024年9月6~19日=東京・角川シネマ有楽町)上映作品。

2022年製作/86分/イギリス
原題または英題:In the Court of the Crimson King: King Crimson at 50

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
トービー・エイミス
製作
トービー・エイミス
デビッド・シングルトン
製作総指揮
カット・マンスール
デビッド・シングルトン
撮影
トービー・エイミス
編集
オリー・ハドルストン
音楽
キング・クリムゾン
  • ロバート・フィリップ

  • ビル・リーフリン

  • ビル・ブルーフォード

  • イアン・マクドナルド

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映画レビュー

4.0◇人生、ディシプリン

2024年10月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 ロバート・フリップは1946年5月16日 生まれ、2024年時点78歳。どんな時でも毎日4〜5時間のギター練習を欠かさないと。朝起きて冷水を浴びる習慣は自らの身体を戒めるためだと。

 私が彼のファンになったのは高校時代からでしょうか。その謎めいた存在感と超絶技巧と難解な音楽理論が入り口。ただ、何よりもハマったのは、彼にしか出せない独特な歪んだ音色と長〜〜く引き伸ばされるギターとは思われないようなフレーズです。

 1969年にデビューしたキングクリムゾンは、構築的で大仰な曲の構成と抽象的で思索的な歌詞、高度な演奏技術とインプロビゼーション(即興演奏)を特徴とする#プログレ (Progressive rock)の代名詞的バンドです。その中心に位置するのがロバート・フリップ。(演奏を安定させる為にライブでは必ず椅子に座っています。)

 この作品では、彼の音楽についての思想「身体の内部の静寂を感じ取る手段」を聞き取るパート。そのヘンコツで意地悪な語り口。彼の完璧主義ゆえに生じたバンド内の確執によって去っていったメンバーたちへインタビュー。黙々と職人的に仕事をこなすコンサートスタッフたちの語り。コアなファンたち(オスロの修道尼などなど)のクリムゾンへの強い思い入れ。

 特に、印象深いのはこの映画の制作時にツアーメンバーであったビル・リーフリンの軽妙な語り口。やがて、末期癌で余命幾許もないことを知らされつつも、シンプルに語られる音楽観、ロバート・フリップの難解な語りとの対比も興味深いです。

  今回の上映は#ピーターバラカン Music Film Festivalの一部。映画館の重厚な音響で聴くクリムゾンのサウンドを楽しめるだけでも価値あるひと時を得られました。

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私の右手は左利き