花嫁はどこへ?のレビュー・感想・評価
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花嫁は夜汽車にのって♫(はしだのりひことクライマックス)
取り違えられた二人の花嫁の話だが、間違えて連れられた女性、置き去りにされた女性、それぞれがどうなるの?と並行して物語を牽引していく展開がうまい。もともとヴェールで顔を覆う習慣に起因することから考えれば、ニカブやブルカを着用するイスラム圏の女性の方がもっと頻繁に起こりそうだ。ジャヤの挙動不審な行動も巧妙なミスディレクションになっている。
ダウリー(持参金)の問題も影を落とし、金額への不満から夫の家族に花嫁が焼き殺されるという悲劇もちらっと出てくる。持参金殺人は多い年で年間8000人に及ぶともいう(最近見た別のインド映画でも女性差別の片鱗が窺えた)。全体からすればコメディーのように見えるが、根底には女性の自立という骨太のテーマがある。
ボリウッド映画のルーティンの体裁ではないものの、相変わらず甘ったるい歌が唐突に入ってくるのには閉口する。昔の日本の歌謡映画みたいだ。
女優は二人とも知らない人だし、あまりキャリアもないようだが、インド映画を見ていると彼の国には超絶美人がごろごろしているらしい。
インドの農村は、まだこんな状態だったの?
向日葵の約束
インドの文化や価値観が分からないこともあり、飲み込みづらい部分はあったが、なかなか楽しめた。
取り違えに関しては、(あんなにみんな同じベール被るのかは不明ながら)自然な流れ。
靴は見えなかったが、夫側の顔やスーツも似通ってたし。
話はディーパク、ジャヤ、プール、警部補(署長じゃないのね)の視点で描かれる。
分かり易いクズであるジャヤ側の夫は一旦フェードアウトし、悪者ポジションと察する。
流れ自体はよいのですが、中盤がちょっと退屈。
挿入歌で心情を語りつつダイジェストを見せる演出は特にインド映画では定番ですが、サスガに多い。
一方は村の中、もう一方は駅の中がほとんどなので画的な変化にも乏しい。
コメディ部分もクスッとする場面は多いがやや弱かった。
ディーパクのちょっとした一言からプールが警察を嫌がったりなど、細部の構成は上手い。
ジャヤの秘密から夫婦の再会の流れは爽快。
警部補が急にいい人になりすぎだけど、賄賂はがっぽり懐に入れてるからギリ許容範囲かな。笑
煩くない程度に社会的なテーマが入ってるのも良い。
ジャヤの将来の旦那候補の匂わせも丁度いい。(通訳からの「お前も行け」は笑った)
視点が分散したぶん、関係性の掘り下げが浅めなのは残念。
特にディーパクとジャヤはもっと絡んでほしかったし、議員関連と足が無いフリをしてた男は不要では。
ただ、勧善懲悪かつその他のキャラが全方位ハッピーエンドな結末は後味よく素敵です。
歌って踊っては無いけど面白いっ❣️
歌って踊って大騒ぎの中に笑いあり涙あり感動ありってのがインド映画だと思ってたので、歌って踊ってが無いのは少し拍子抜け😅
でもストーリーは充分面白く、ちゃんとハッピーエンド…うん…こうゆうインド映画も良いかも🇮🇳✌️
気分スッキリ。
女性の自立と友情・連帯に感動してしまった
インドって国はカースト制度(現在表向きには禁止されているようだが)もあって、様々な差別が根強く残る国というイメージがある。当然女性も虐げられてきたイメージ。だから、ベールを被った花嫁を間違えて連れて帰ってくるという本作の予告編を見て、女性の自立が絡んだ物語であることは想像できた。
実際に本編中のセリフで色々と驚かされる。夫に支払われる持参財なる制度、妻は夫の名前を呼ばないという礼儀、子どもが産めないからと焼かれてしまった女性(あくまで疑惑だが)。女性を所有物、家事担当者として扱う男たちの姿が描かれる。そこに貧困が絡んでくるのもインドっぽいところ。
やはりメインは2人の花嫁。彼女たちが何を考え、どんな行動を取り、どう変化・成長していくのかがポイントだ。そして、そんな彼女たちに周りの人たちがどんなサポートをし、どんな影響を与えたのかも大きな見どころ。想像してはいたが、現実に対峙しそれぞれのやり方で自分を変えようとする姿に感動してしまった。女性の自立を描いた物語であることはわかっていたが、女性同士の友情や連帯がほんのりにじみ出ていて物語の深みを感じる。最後には彼女たちを応援している自分がいた。まんまと製作者の狙いにはまってしまったってことか。でも、本当にいい映画だった。
すべての女性の選択を
めちゃくちゃ良い映画!!
初めてのインド映画でした。
予告を何となく見てヒロインの花嫁二人が伝統衣装も相まってとっても可愛くて、華やかで…花嫁を取り違えてしまうという導入も面白そうだったので観に行きました!
かねてよりインド映画は歌って踊ると聞き及んでいたのですが、今作はそこまでの演出はありませんでしたのでインド映画の中ではかなりマイルドな作品だと思います。
でも所々で入る音楽やジョーク?のノリで十分インド映画の空気を感じることが出来たので初インド映画としては私はこれくらいでちょうど良かったなと思います。
とにかく花嫁のプールちゃんが可愛いー!!声の清涼感が女神。前人未踏の深い森に佇む澄み切った泉の声してる笑
まさに名前の通り花のような可憐な少女。
もう一人のジャヤさんの声もハスキーでこう…芯のあるしっかりした女性なのが表れてる凛とした良い声!!私のお姉ちゃんになってくれ。
ジャヤさんと仲良くなる似顔絵上手い女の子の声も可愛かった!
声フェチなので彼女たちが喋るだけで耳が幸せでした笑
ジャヤさんは最初から何か訳ありで行動しているのが分かるし目的があって行動出来るしっかりした女性に見て取れるので種明かしを楽しみに見てられるのですがプールちゃんの頼りなさときたら…!もう〜〜〜お母さんみたいな気持ちになってしまう!笑
良い人たちに巡り会えて良かった…。
いや本当にプールちゃんが頑張ってる姿見て泣いちゃったよおばちゃん泣
きゅんきゅんする場面もあって、プールちゃんサイドについてはひたすら頑張れ…!頑張れ…!って応援しまくってました笑
ストーリー展開も起承転結が分かりやすく見やすかったし観終わった後は清々しい気分になれました。
この映画はフィクションですけど、未だインドに残る男尊女卑や男女格差の現実が少なからず(大いに)描かれていて、それらの問題について観客に考える機会を与えるだけでなく、ちゃんと一本の映画作品として満足感ある仕上がりに昇華させていることが素晴らしいと思います。
文化というのはその土地に根付いているものなのでそれを変えようと思うと相当時間もかかれば何かしら、それなりの犠牲を伴うものだとは思います。
でもいつかそれぞれが、それぞれの望む道を自由に選択し歩んで行ける世の中になると良いなと…無責任かもしれませんがそう願わずにはいられない映画でした。
それにしても屋台のおばちゃん一味良い人たちすぎる…私もお手伝いさせて下さい…!
ダンスの無い、ハートフルなインド映画
素朴で優しい人々が、不安で一杯の花嫁、花婿を助けてくれる。コメディパートを担う警察署がいい味を出し、心温まるテイストに仕上がっている。時代設定は古いが、古臭い感じがしないのは、カースト制度の国で、貧富の差や、女性の役割生き方が極端に決められてしまっていた時代に、それでも人々が幸せを求めて自分なりに生きている姿が、自然に描かれていたからか。素直に面白かったと言いたい作品。
花嫁取り違えた!
もう1人の花嫁と取り違えなかったことは神様の配慮だったのかもしれません
2024.10.7 字幕 MOVIX京都
2024年のインド映画(124分、G)
花嫁取り違え騒動を描く社会派ヒューマンコメディ映画
監督はキラン・ラオ
脚本はスネハ・デサイ
原題は『Laapataa Ladies』で「失われた女性たち」という意味
物語の舞台は、インドのニルマル・プラデーシュにあるとある村(架空)
結婚式を終えたディーパク(スパルシュ・シュリワーススタウ)とその妻プール(ニターンシー・ゴーエル)は、妻の家から夫の家へと向かっていた
カタリヤ行きの列車に乗った2人はスーラジム村へと向かうはずだったが、ディーパクが駅で降ろした妻は別人だった
彼女はプシュパ(プラティンパー・ランター)と名乗り、警察に捜索を依頼するものの、電話番号は別の人に繋がり、彼女が告げる夫はどこにもいなかった
一方その頃、ムルティ駅に着いたプールは途方に暮れ、駅に住んでいる少年チョトゥ(サテンドラ・ソニ)の助けを借りて、駅の茶屋の主人・マンジュ(チャヤ・カダム)を頼ることになった
警察は怖いところだと聞かされていたプールは届出を出すことを嫌がり、夫が自分を見つけてくれるのを待とうと考えていた
映画は、プシュパの動向に不審なものを感じ取ったマノハル警部補(ラビ・キシャン)が捜査を進めていく中で、スラージムにあるトリブバン警部(Kishore Soni)と連携を取りながら、プシュパの正体を追うと言う流れになっている
妻を取り違えたことで意気消沈するディーパクも友人・グンジャン(Daood Hussain)たちと必死に探すものの、全くと言って良いほどに情報が集まらずに困惑してしまう
そんな中、プシュパはある目的のために行動を開始し、ディーパクの義理の妹のプナム(Racha Gupta)やその息子バブルー(Abeer Sandeep Jain)たちと交流を深めていくと言う内容になっていた
プシュパは実はジャヤと言う名前で、金持ちのプラディープ(Bhaskar Jha)と結婚させられそうになっていた
一度は運命を受け入れたものの、ディーパクの勘違いを光だと感じ、自分の人生のために1週間を使おうと考えていた
彼女は有機農業に興味を持っていて、大学に進学したいと考えていたが、夫がそれを許すはずもない
そこで、自分の人生を歩むために決心をするのだが、妻を間違えて悲嘆に暮れるディーパクを見て、彼らの絆をもとに戻そうと計画を中断して秘密裏に奔走することになった
だが、その決断が裏目に出て正体がバレてしまい、捕まってしまうのである
物語は、ジャヤの訴えによって「裁き」を下すマノハルが描かれていて、悪徳警官だと思われていた彼が、まさかの大岡裁きをする様子が描かれていく
このシーンはとても感動的で、失った女性たちが必要なものを取り戻すためのキーシークエンスになっていた
映画は最後までエモーショナルで、勧善懲悪的な部分があるので、大人から子どもまで安心して観られる内容になっていると思う
いずれにせよ、ハートフルな内容で、妻を取り違えていく過程もとてもスムーズで無理のない流れになっていた
さすがに全く同じ衣装を着た花嫁が同じ席列に3人いると言う状況はファンタジーだが、慣習と流行りなどを考慮すればバッティングすることもあるのかな、と思う
ともかく色んな意味で面白みが充満している作品で、インドの諸事情だけに留まらないテーマがあるので、誰にでも勧められる映画だと思った
なんて素敵な大逆転
予告編を見た時は「取り違えられた2人の花嫁」と言われても「なんじょそりゃ」という感じだったが、本編を観たら「たしかにこれなら入れ替わってもしょうがないかも」と思わせる説得力があり、ちょっと滑稽で面白かった。
個人的には昔、テレビでよく観た「シャッフルカップ」という手品の人間版に思えた。
2001年のインドが舞台で男性優位社会ではあるが、2人出てくる夫のうち、一方は失踪した妻を必死に探す夫、もう一方は妻が身につけていた貴金属のことしか頭にない夫と、男が多様的に描かれていたのは好印象。
花嫁の一人・プールが見知らぬ駅で出会う売店のおばさんが『天空の城ラプュタ』のドーラにしか見えなかった。
「40秒で支度しな」って言っても違和感無いと思う。
世間知らずのお嬢さんが一人きりになったところをドーラっぽい人の世話になり、料理の腕前で仕事を手助けする展開もラプュタっぽい。
もう一人の花嫁・ジャヤが、秘密を知られた子供を口止めをするためにとった行動、香川県議会が観たら激怒しそう。
女の友情が芽生えたことを示す演出として、家父長制のアホみたいな慣習を逆に利用していて上手いと思った。
ずっと家事しかしてこなかった人の、妻としては必要のない秘められていた才能が、問題解決に役立つ展開も良かった。
この映画では「盗難より警察の方が怖い」というセリフが何度か出てくるが、それも納得せざるを得ないほど、この映画に出てくる警察は悪徳すぎる。
警察が出てきて何かするたびに胸糞悪かった。
そんな人間にとって、終盤は衝撃の展開。
あまりの素晴らしさに落涙してしまった。
窮地に陥った人が、悪党に向かって涙ながらに救いを求めたところで、その気持ちが踏みにじられて終わり、そんな映画しか無いと思い込んでしまっていた。
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