花嫁はどこへ?のレビュー・感想・評価
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インドの社会問題を描きながらも、ユーモアと暖かみが際立つ一作
新婚後の帰省中に妻と間違えて別の女性を連れ帰ってしまう……というなかなか考えにくい状況から始まる本作。人前では顔を隠さなければならない、という決まりを皮肉るコメディーなのかと思ったら、起きてしまった状況に対処する人々の奮闘ぶり、そして主人公のプール(ニターンシー・ゴーエル)と入れ替わってしまったジャヤ(プラティバー・ランター)の謎めいた行動に目が離せないドラマでした。
本作は登場時に観客が抱くであろう個々のキャラクター像を良い意味で裏切り続ける点でも巧みで、素朴な男女、プールとディーパク(スパルシュ・シュリーワースタウ)を中心に描いているにもかかわらず、かなり「油断のならない」映画でした。
中でもマノハル警部補を演じたラビ・キシャンの小憎らしさが印象的でしたが、なんといっても注目に値するのはジャヤを演じたランターで、見方によってはジャヤはインドにおける女性の人権の不条理な側面を体現しているキャラクターであるにも関わらず、ある時には良からぬ企みを巡らしているようにも見え、ある時には深い知性と思いやりの感情を発露させるなど、多様な側面を見事に演じ切っています。
これだけの演技力なのに、映画初主演とは驚きました。ある意味ジャヤのつかみどころのなさが、本作の「謎」に強い説得力を与え、それが物語全体の駆動力となっているように感じました。
暖かくて笑えてハラハラするのに「油断ならない」映画とはどういうことなのか、未見の方にはぜひ直接体験していただきたいです!
因果応報とはまさにこの映画。面白くてあっという間の2時間。
インド映画は最高!!
花嫁の取り違いなんて日本では絶対起こり得ないのに、インドでは起きる。
いいことをすれば報われ、悪いことをすれば災難にあう。まさに因果応報。
見ていてスッキリしました。
インド映画のいいところは、話が分かりやすくしっかりしているところ。昨今の映像の綺麗さに頼りきって中身のないもしくは変に難しく見せかけている映画とは違う。
映像の綺麗さは横に置いても、話がきっちりしていたら、どんどん感情移入していく。日本の映画も見習って欲しい。
今のパチンコ代と一緒。映像や演出にこだわり過ぎて中身が薄い。こだわらないといけない所が間違えている。昔のゲームも同じ。ファミコン時代は土台がしっかり作られていて、単純な映像でも充分に楽しめる。しかも何度でも繰り返し遊べる。
この映画、エンディングに向かってどんどん面白くなっていく。最後は映画館で拍手が起きるくらいによく出来た作品。
見終わって振り返ると、出てきた人全てと仲良くなりたいくらい温かい人たち。
いい映画だなー。
インドじゃなきゃ成立しない話
見失って見つけたもの
行きつけの劇場で1か月遅れの公開となった本作。レビュー評価も上々で、時間もあったので鑑賞してきました。インド映画にしては、ダンスも荒唐無稽なアクションもなく、歌は控えめで尺も普通でしたが、インドらしさを満喫でき、内容も素敵な良作でした。
ストーリーは、嫁ぎ先に向かうために列車に乗った花嫁プールは、一緒に乗った花婿ディーパクが偶然隣席に座ったもう一人の花嫁ジャヤと取り違えて二人で降りてしまっため、見知らぬ駅に一人取り残されるはめになり、間違われてしまったジャヤもディーパクの家で世話になることになり、二人の花嫁は予期せぬ生活を強いられる中で自分の生き方を見つめ直すというもの。
インドの結婚にまつわる慣習を全く知りませんでしたが、私財をなげうってでも娘に持参財を持たせ、それによって妻の価値が値踏みされ、しかもそれが夫側の財産となることに、前時代的なものを感じます。設定が20年以上前のようなので、今ではどうかわかりませんが、日本もかつてはこんな感じだったように思います。名古屋の嫁入りは愛知では有名で「娘三人あれば身代(しんだい)潰れる」と言われていました。私の地元でも、子どもの頃は紅白幕で覆われた嫁入り道具満載のトラックを何度も見かけましたし、近所に嫁入りがあればお菓子が配られました。
本作は、そんな古い結婚観に疑問を投げかけ、女性の自立と解放を鮮やかに描く痛快作品です。古い慣習やしきたりに従順に従い、そこに疑問を抱かないプール。逆に、自分の生き方を捻じ曲げられることに納得がいかないが、抗う術のないジャヤ。この二人が、それぞれの価値観に一石投じる人々との出会いを通して、自分の生き方を見つめ直す姿が眩しいです。
そんな二人の姿に触れ、自分の固定観念を改める周囲の人物の描き方もなかなかのものです。中でも、嫌味な悪徳警官のマノハル警部補の鮮やかな逆襲に溜飲が下がります。ラストで、少し逞しくなったプールと、晴れて自分らしく生きる道を選んだジャヤが交わした、「あなたのおかげで見つけてもらえた」「あなたのおかげで自分を見つけた」という言葉が、とても印象的です。
主演は、ニターンシー・ゴーエルとプラティバー・ランターで、どちらも役柄ピッタリの演技に魅了されます。脇を固めるのは、スパルシュ・シュリーワースタウ、ラビ・キシャン、チャヤ・カダムら。
最高の鑑賞後感&多幸感
久しぶりのインド映画鑑賞でした。
ダンス&歌唱がなく、すべて挿入歌で物語るところが
インド映画としては珍しいし、だから短くまとまったの
だろうと思います。
まず、花嫁がどこへ?のどこへ行ったのかわからなくなる
仕掛けがうまいなと思いましたが、
そんなことってある?とも。
いくらベールで顔を覆っているとは言え、
間違えないだろ!と。
迷子になる二人の花嫁ですが、
夫の住所のみならず実家の住所もよくわからないのが
わからないというか、インドの田舎ではこれが普通?
ちょっと理解に苦しみましたね。
警察の腐敗感も実際どうなの?と。
という疑問は軽く感じながらも、
プールのかわいさ、一途さ、まじめさ、
ジャヤの志、芯の強さ、それてミステリアスさ、
ディーパクの純朴さ、
駅の出店のおばちゃんの優しさなど、
観ていて気持ちが良かったし、
それらの人々がみんな報われるかのような
ラストのマノハル警部補の大岡裁きならぬマノハル裁きが
実に爽快で、胸のすく思いでしたね。
一方、いまだに女性蔑視的な扱いを受ける女性がいる
ことも、インドという国の社会問題なのでしょう。
大きく成長している国とは言え、まだまだ発展途上なの
でしょうね。
それにしてもこんな鑑賞後感が気持ちの良い作品は
久しぶりです。
劇場が笑顔に溢れる素晴らしい作品でした。
※本作鑑賞日は、宮崎映画祭を開催しており、
ロビーで芋生悠さんと遭遇できて嬉しかったです。
インドと女性
それぞれの人生の旅
二人の花嫁が自分の人生を切り開いていく姿を描いた素晴らしいインド映画でした。
聡明で行動力があり自ら前に進み通す花嫁と、無知ながらも出会う人に恵まれて世の中を知り自分の人生と向き合う花嫁。対照的な二人のキャラクターが魅力的で、それぞれの成長がしっかりと描かれています。
物語を通じて、彼女たちは人生に訪れたチャンスをしっかり掴み、未来へと踏み出します。
お互いの別れのシーンは涙無しには見れません。
映画館でも多くの人が泣いていました。
最後にレジからお守りが出てくるシーンはみんなとの再会を意味しており、なんとも感動的です。
「マヌケは恥ずかしくない、マヌケを誇る事が恥ずかしい」などの名言も印象的で、心に響くセリフが多くありましたね。
あの悪者かと思われた警官のラストも爽快です。
相棒の警官のラストのセリフも面白すぎる。笑
人生の機会を自分で掴みにいく事や、人との出会いがいかに重要かを教えてくれる作品で、最後まで笑えて泣けて幸せになれる本当に素晴らしい映画でした。
久しぶりに良いインド映画に出会えた
そんなインドの代表に叱られちゃったことがある(多分)日本のジェンダーギャップってどうなんでしょうね
たしか北京の女性会議でお叱りを受けたことがあるような記憶。
最近も、女性差別撤廃条約批准して以降ウン十年以上ほぼ放置されてる件がやっと動き出す……かのように思われてた日本は総選挙になって結局また棚上げ(?)だとか。
日本のジェンダーギャップのどこがどうマズイか、というとサヨク系メディアや活動家のイメージがあってなぜか叩かれがちだ。
が、それはどちらかと言うとJ事務所の、日本人ならみんなが知ってた性加害が外国メディアによって白日の下にさらされたときの国際企業の対応の方が近いものがある。
人権に疎い商売は国際通商の場で許されない。まぁライバル企業を蹴落とすための道具って側面もあるのかもしれず、踏み絵みたいなもんで、各々の伝統とか歴史とかあんまし関係ないんだろう。
例えばこの映画にあったような、インドでは夫の名前を口にしてはいけない、って外から見れば「はぁ?」だが気が付かないだけそんな風習は日本にもいっぱいありそうだ。
インドだってせめて女が自分ですることしないことを選択できるようにしておかないと国際社会の場での発言権が縮小していく(もちろん日本も)。
とは言え、インドの現在の現実がこの映画の結末みたいならまだいい。聞こえてくるニュースは著しい人権侵害やら暴力やら。
「人権」なんてどっかから借りてきた言葉がなくても健康と幸福が保証された世界であれば世話はない。
この映画はつまりはファンタジーなんでしょう。カーストどこ行った?
外からどう見られるかが相当意識されてる映画のように見受けられ、これ、インド国内での興行はどうなんだろう。
可愛らしい映画だけれど、カラフルな装いの裏がこんなもんで済むわきゃないんだろうな、とも想像できるのだ。
とにかくプールがかわいくて~♡
花嫁が入れ替わるなんて、なんとも奇想天外な事件だけど、
ベールで顔を覆う風習のあるインドなら、もしかしてあり得るかも?!
と、ハラハラドキドキ、たまにムカッとしつつ、
ラストは、ホッとして、ニッコリな作品でした。
屋台女主人や警察署長や、花婿などなど、
花嫁の周りの登場人物たちが、どのキャラクターも濃くて魅力的だし、
プールとジャヤ、女性の自立がテーマだが、それぞれが違う方向性で、
でも互いに上手く絡んでいくストーリーは、素晴らしかったです。
いやぁ~、それと、とにかくプールがかわいくて~♡
とくに声!
耳に心地良くて、ずっと聞いていたくなってしまう。
彼女を観ていると、とても優しい気分になれて、ずっと、笑顔で観ていられました~。
心底、間に合ってよかった
今週公開の作品がいずれも(個人的な印象として)微妙なラインナップ。それならと、見逃している作品から高い評判を聞くこちらの作品を、行きやすい劇場で都合のいい時間帯の条件にあった本日日曜の午前中、ヒューマントラストシネマ有楽町にて会員割引で鑑賞です。公開4週目ですがまぁまぁな客入りで、確かに評判の高さがうかがえます。
インド映画は久々な私。嫌いなわけではありませんが、無意識にどれを観るかの選考から外しがちなのは確かで、この作品についても今週、数週遅れで聴いたラジオのポッドキャストで町山さんが取り上げていたことで気づき、その数日後に今度は宇多丸さんが、ラジオのコーナーの課題作品候補の一つであった本作を「宇垣さんが良いと言っていた」と紹介しているのを聴いて、ようやく調べて今日の鑑賞に至りました。
で、観終わっての感想は「心底、間に合ってよかった」。終盤はもう泣くのを堪えるので必死なほど感情を揺さぶられました。実にシンプルな展開で大枠では「こうなるのだろう」と判るのですが、見せ方はしっかり不安さや怪しさを感じさせてくれるため全く飽きないどころか、その丁寧な描き方に感嘆します。
古くからの慣習や既成概念の内にある「差別的」で「時代遅れ」な考え方を、単に「悪」として扱いそれに反発するのではなく、どの立場にも納得の合理性で「この方が良いよね」とポジティブに浸透させていきます。その結果、始めは知らない者同士で訝しがって見ていても、いつしか笑い合い、更には打ち解け合えるる間柄となっていて、観ている側にもその幸福感が伝わってきます。勿論、その要因はジャシャ(プラティバー・ランター)とプール(ニターンシー・ゴーエル)という「とあるきっかけ」で入れ替わった二人の花嫁、いやさ「女性」たち。育ちも性格も異なる二人ですが、女性ならではの「高いコミュニケーション能力」で相手の信頼を得、居場所を得るばかりか、周りにどんどんといい影響を与えていきます。一方、どうしても「システム」の中で考え、生きてしまいがちな男性陣。女性の言い分など聞く機会すら作ろうとせず、時に無言のうちに存在すら否定することも。この点、程度の違いこそあれ決してインドと言う「お国柄」の話ではなく、我々も気を付けていかなければなりません。感動してるだけじゃいけませんな。
いやはや、本当に素敵な作品でした。間に合わなかった方は配信でも悪くはありません。でも、もし間に合うようなら是非劇場で。絶対観て損はありませんよ。
ナイス警部補
自分のハンドルは自分で握るのさ
タイトルなし(ネタバレ)
21世紀に入った頃のインド。大安吉日に
結婚式を終えた新郎ディーパク(スパーシュ・スリヴァスタヴァ)と新婦プール(ニターンシー・ゴーエル)。
国民的祝祭日とあって、ディーパクの村に向かう列車は、同じような新婚カップルで超満員。
花嫁は、みな同じような装束で、同じようなベールを被っている。
夜遅く最寄り駅に着いたが、うかうかして列車は発車間際。
ディーパクは、花嫁の手を取って急いで列車を降り、友人たちの迎えで実家に到着。
ベールを取った花嫁は、プールとは別の女性(プラティバー・ランター )だった・・・
というところからはじまる物語。
花嫁取り違えというベタネタは、日本や欧米では成立しないネタだろう。
そこへ「花嫁詐欺」のミステリ&コメディのミスリード味を加えて、おもしろおかしく描いていきます。
が、ふたりの花嫁の言動から、随所に女性の人権問題などが滲み出、おもしろおかしい中に、考えさせられます。
村の警察署長がコメディ部分を担ってい、ちょっとのんびりした笑いだなぁと思っていると、クライマックスでは機転を利かせた活躍で、うまくいく着地点へと導きます。
社会問題要素をはらんだインド映画といえば、00年代のマニラトラム監督作品を思い出すところですが、あちらはやや鋭利な感じ。
本作は、やんわりと包んでの王道娯楽作品。
アーミル・カーン製作らしい、楽しく真摯な作品でした。
時代設定の妙❕
インドの国内情勢、特に男女間や家族の力関係や学業、就労についてどうなっているのか全く分からないのですが、本作の舞台は2001年ですから、2024年のインドよりは古い価値観が支配しているのだろうということは推察できます。
その時代であっても、おかしなことには声を上げる存在であった二人の花嫁、そしてそれに巻き込まれながらも力を貸していく周囲の人々、全てが胸を打ちました!
あの警部補ですら、胸クソキャラだと思わせつつのラストの爽快感ですからねぇ~。
なんだか登場するほとんどの人たちが善人で、この手の作品は観終えた後に心がじんわり温かくなるのが最高です。
日本だってまだまだプライバシーに頓着せず人の身上に土足で踏み込む人や古い価値観に凝り固まる人が少なからずいるのですから、身分制度などが根強い国はもっと生きづらいのだとは思いますが、それでも変わりつつあることを示してくれた素敵な作品でした。
それと、ストーリーとは関係ないのですが、作品中お母さんのことを「アンマー(アンマ?)」と呼んでいたと思うのですが、沖縄の方言でもお母さんは「あんまー」と呼ぶので、意外なつながりにビックリでした。
面白かったねぇ!
インド映画にハズレを引いた試し無し!の私
「マダム・イン・ニューヨーク」
「めぐり逢わせのお弁当」
「ダンガル」
「パッドマン」
そして超が付くほど好きな
「バジュランギおじさんと、小さな迷子」
どれも最高の映画だった
で、今回の作品は・・・面白かったねぇ、やっぱり面白いよね~
二人の花嫁は、どちらが主役なのかわからないほど二人とも最高の主役でしたねぇ
駅で商売してるおかみさんやジャヤさんに微かな恋心を抱く友達の描き方もいいねぇ
で、この映画の本当の主役は警察署長さんというのも大好きだゎ
ちょっと~!そんな正義感、あなた賄賂もらいながらもまだ隠し持ってたんだぁと
おとぼけ部下との的外れな会話をニヤニヤしながら突っ込んでいました
いや~、インド映画ってホント、ハズレませんなぁ
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