「アンソニー・パーキンスも」ロングレッグス 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
アンソニー・パーキンスも
〈洗脳、催眠のような謎の意志が伝播していく〉
〈それに憑依されそうなFBI捜査官〉
〈奇妙な文章が現場に残され〉
〈どうやらブードゥーでも黒魔術でもないようだ〉
〈米国特有の奇妙なコミュニティでもなく、田舎の農場でサタン崇拝〉
〈被害者の身体や皮膚〉
〈人形作成〉
〈銀の球を操るあしながおじさん〉
〈志村うしろー!〉
等々既視感のある間テクスト的設定だ。
謎の伝播、写真の眼が光る『ミッドウィッチ村のカッコウ』
(カーペンターの「光る眼」の原作)
机上のシリアルは『シリアル・ママ』
銀球の『ファンタズム』等は無理があるにしても、
これだけで類似作は10作品以上はあるだろう。
しかし、
本作は単なる類似作ではなく、
スタイルを持った作品なので、
美しいオマージュ作品とも解釈できるが、
ホラーでもサスペンスでもスリラーでもなく、
オズ・パーキンススタイルの主張なのかもしれない。
さて、そのスタイルとは。
それは、視覚的な技法におけるなかなかの巧妙さだ。
広角レンズを巧みに使用し、人物を手前から奥、
奥から手前と自在に動かすシーンを多用、
各キャストの芝居も説得力があり、
広角レンズで、
ゆがんだ上手から、何か出てくるのか、
パースの違和感がなんとなく気持ち悪い等、
観客に独特の不安感をもたらす。
さらに、広角のまま90度パンする技法も、
恐怖を騙し絵絵画的に引き立てる役割を果たしており、
その視覚的な手法はそれなりに高いレベルで完成されている。
ライティングも、
仄暗い空間造成の部屋の壁に、
マーク・ボランと、
ルー・リードの、
ポスターではなく写真、
そしてニコラスくんの白。
音楽も監督の好みの音楽を掛けてる感じ、
T-REXやヴェルヴェット・アンダーグランドの歌詞を追う気にはなれない。
アンソニー・パーキンスの監督作品も、記憶はあいまいだが、
シリアルキラーをポップなテイストで、撮ってなかったか、、、。