「矛盾を超えてくるのが名画ならば、これは名画でも映画でもなく、ただのファン感謝祭だ」劇映画 孤独のグルメ ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
矛盾を超えてくるのが名画ならば、これは名画でも映画でもなく、ただのファン感謝祭だ
TVドラマ版をほとんど鑑賞せず、映画版を観るパターンとして、
「ドクターX」が良く見えた成功体験を経て、こちらもチャレンジ。
自分の当初の予想ほどは、ハマらなかった印象。
仕事の過程で、何か派手な事が起こるわけではない物語で、
素朴な日常の朝昼晩の食事に、
スポットライトを当てた世界観のお話なのに、
主人公が「豪華な映画版」ゆえに、超人化するストーリーは、
これが通常モードなのか、特別モードなのかで、戸惑う。
嵐の出来事で、死なない設定もそうだったが、
五島列島~韓国(仮に済州島として)の、物理的距離の案件で、
超人的主人公だとしても、
出来の悪いフィクションだな、と思ってしまった。
そこは船で救出させるパターンじゃ、アカンかったのかなとも。
「親しき中にも礼儀あり」ではないけれど、
「緩い作風の中にもルールあり」は、
映画が名画になる上で、必須条件だと思うのだ。
で、この作品のルールはどこぞやと、考えてしまったりする。
もしかして監督の前提が「フィクションだからルールは最初から無い」だとすれば、
ドラマを映画化する理由も無くなってくる。スペシャルドラマでいいじゃんと。
とするとこれは、映画ではなく、最近映画館でよくある、
「ライブビューイングの、ファン感謝祭的なイベント」なのかとも。
それは、映画が映画である事を自己否定する事になると思うのだ。
ルールはやっぱり必要で、
同時に「辻褄が合わない矛盾を、超えてくるのが名画」でもある。
たとえば、SFモノで「なんで酸素が無いのに呼吸できるの?」を、
「スターウォーズ」では感じない。
スターウォーズには、整合性を超えてくる何かがあり、
孤独のグルメには、それが無かったのかなぁ、と思ってしまった。
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