劇場公開日 2025年1月10日

「頭を空っぽにして、笑いながら腹を空かせて観るべき作品」劇映画 孤独のグルメ Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5頭を空っぽにして、笑いながら腹を空かせて観るべき作品

2025年2月2日
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鑑賞方法:映画館

主人公の井之頭五郎が各地の食堂で美味しそうに食べる様を見せるテレビドラマ・シリーズ『孤独のグルメ』については、もはや説明は不要だろう。今回はその五郎が海外に飛び出して行った。

物語は依頼された絵画を届けるためにパリに向かう機内から始まる。しかし、届け先でその依頼主の老人から、子どもの頃に母親に作ってもらった「いっちゃん汁」なるものをもう一度飲みたいという依頼を受ける。五郎は、まず、老人の故郷の五島列島から食材探しの旅を始め、気づけば韓国。さらにスープの作り手を求めて旅は続くが……。

一言でいえば、「孤独のグルメ 新春2時間スペシャル 海外編」というところ。とはいえ、2時間食っているだけでは作品として持たないだろうという判断で「食材探しとスープ作りの旅」という柱のテーマが設定されたのだろうと推測する。実際に、テレビドラマを見たことのない人がこれだけを独立して鑑賞しても楽しめるような、完結したプロットして成功していると思う。ただ、個人的には、もっとあちこちの食堂で食べ歩く場面が多くてもよかったかな?とも感じた。

まぁ、ファン・サービスとスタッフへの感謝を込めて、メタ視点の善福寺六郎(エンドロールでその役名を知った🤣)なんかを登場させるとか、満足度向上に努めているのもとてもよく分かる。

そう言えば、自分の若かりし頃、正月映画の定番といえば「男はつらいよ」シリーズだった。ここでも冒険活劇的な場面があるとしたら、アヴァン・タイトルの夢の中くらいで、本編ではちょっとしたドタバタ程度のみ。それ以上を観客もそもそも期待していない。

一方、このテレビシリーズも、こんな時間に美味そうに食うのを見せられたら「飯テロだぁ〜!」とテレビの前で嘆くこと以上のことを誰も期待していないだろうし、そんなユルさが故に、ここまで人気を博し続けているのではないだろうか。

そう考えると、テレビの制作費を映画に回して、毎年、海外を食べ歩く恒例のお正月映画にしてしまってもいいのかも。まぁ、紹介された店がどこも「行列のできる店」になっているという国内の経済効果を考えたらやらないだろうけど…😅

Tofu