「劇場版ではなく劇映画というタイトルの意味」劇映画 孤独のグルメ ヤマッチさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場版ではなく劇映画というタイトルの意味
テレビでは、一話完結で、井之頭五郎五郎が顧客との商談中、もしくは商談を終えた後に空腹を感じ、その空腹を満たすべく付近で店探し入店、食事中および店を出た後に感想を独白し、その場を立ち去る。というパターンで、店及び料理は全て実在しており、その店にまつわる内容も取材により再現している構成となっています。深夜番組でありながらもコアなファンによりテレビ東京看板番組となりました。そしてそれを映画化となりました。
映画となれば、作品として長く残るものです。
テレビシリーズと同じ構成で実在の店を登場した場合、その店が何事もなく営業し続ければ良いのですが、なにかトラブル等あれば上映禁止となってしまいます。
そこで劇映画と銘打っての製作とは、かなりの知恵を絞ったと思います。劇映画ということは全てはフィクションとなるのでいかようなことも可能となりました。
そして物語は、個人の想い出の味「けんちゃん汁」探しの旅を展開していきます。劇映画という自由を得て、スタンドアップパドルボードで島を渡り、遭難して韓国へ流されるという展開、韓国にあるとある島の人々達等かなりの展開を広げていきます。
あくまでも孤独のグルメという立ち位置は残しつつ、登場人物のエピソードを絡めた物語は見ごたえあります。
そして、つぶれかけのラーメン屋が立ち直るというエピソードで店名が「タンポポ」はあの作品へのオマージュというにくい展開もありました。
観終わった後、腹が減ったというよりほっこりしたというのが感想でした。
肝心の「ケンちゃん汁」ですが、説明では汁物でした。しかし、ラーメンの出汁に変わっていました。落ちとしてはこれは「これは違う。うますぎる」となりますが、出汁ベースに何味なのかという解明が無かったのは残念です。