劇場公開日 2024年8月30日

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「政治ドラマとして楽しむ」掟 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0政治ドラマとして楽しむ

2024年9月5日
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鑑賞方法:映画館

石丸伸二前安芸高田市長の動画はたまに見ていた。議会で繰り広げられる議論の噛み合わなさと市議たちのレベルの低さが面白かったから。だから本作で起きる3つの問題(居眠り、副市長、無印)は結果として知ってはいた。
改めて物語として観た感想は想像以上に酷かったということ。市長のやることなすことがとにかく気に入らないという市議たちの姿勢。もちろんフィクションとして演出されている部分はあるとわかっている。わかっていても、断片的に見ていた動画で話す市議たちの話していたことと重なってしまう。無印の計画をつぶした市議たちは、市民、そして市の未来を考えているとは思えなかった。彼らは彼らで、市議たちの恩恵を受けようとする支持者のために動いているという大義名分があるのだろう。地方政治は難しい。他の地方都市も似たようなものなんじゃないかと考えると暗い気持ちになる。
でも、市長側に全く問題がなかったとも言えないのではないか。4年という任期の中で、昔ながらの政治手法を根底から覆すのは難しい。大事なのは政策をどれだけ実現できるかということ。そういう意味で歩み寄りという「調整」をやれなかったのか。謝らなくても、控室に言って、これこれこうなりますと伝えるだけでも(それこそ事後であったとしても)できなかったのだろうか。
石丸氏は今後どうするのだろう。国政に挑戦するのか、エンタメとしてコメンテーターしていくのか、それとも他の自治体で首長をめざすのか。注目してしまう自分がいる。
映画としては全体的に安っぽい作り。予算がないのだからそれは仕方ない。それなりに面白く観ることができたのはそもそもの題材の面白さと言える。劇団の方たち?が演じた市議たちのクセの強さも面白かった。たまにはこんな映画もいい。

kenshuchu