「豪華絢爛な映像が素晴らしい」ウィキッド ふたりの魔女 ありのさんの映画レビュー(感想・評価)
豪華絢爛な映像が素晴らしい
西の魔女エルファバが死んだという所から始まり、グリンダの回想で綴られる物語は終始軽快に進み飽きさせない。
ただ、正直な所、ドラマとしてはかなり食い足りなかった。そもそも本作は前後編の前編である。舞台版未見、原作小説未読の自分にとって、今回の物語はまだ序章にすぎないという感じがした。
また、序盤からラストに至るまで、終始先の読める展開が続くのも物足りない。ミュージカルはどうしても歌唱やダンスシーンが中心でドラマが希薄になりがちだが、それを鑑みても展開にもう少し捻りが欲しい所である。
テーマはルッキズム、偏見に対する批判といったことになろうか。これについては生まれながらに緑色の肌をしたエルファバの苦悩によく表れていると思った。
また、彼女と固い友情で結ばれていくグリンダがアイドルのような見た目というのも対比が利いていて、テーマをより鮮明にしている。
ただ、ここではグリンダの身勝手な部分が結構フィーチャーされており、そのせいで彼女の印象が大分悪くなってしまった感は否めない。この辺りが後編でどう変化するのか、気になる所である。
一方で、見所となるミュージカルシーンはいずれも素晴らしかった。
ポップでカラフルな映像、エネルギッシュな群舞、エルファバを演じるシンシア・エリヴォとグリンダ演じるアリアナ・グランデの見事なパフォーマンスは感動モノである。
特に、後半のエメラルドシティのミュージカルシーンは圧巻である。美術、衣装、撮影、編集、音楽。全てにおいてクオリティが高く引き込まれた。
また、図書室のダンスシーンも印象に残る。凝りに凝ったプロダクションデザインと超絶技巧なカメラワークが斬新な映像を作り出している。
今回はアリアナ・グランデの歌唱シーンが多いが、ラストはシンシア・エリヴァがしっかりと締め、続編の期待を持たせる内容になっている。この配分も中々巧妙に思えた。
Wヒロイン以外にも魅力的なキャラクターが登場してくる。生まれつき足が不自由なエルファバの妹ネッサローズ、ハンサムでやんちゃ気質な王子フィエロ、グリンダに淡い恋心を寄せるボック。彼らが織りなす複雑な恋愛模様も一つの見所となっている。この辺りもどうなるのか後編に期待したい。
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