「もう一度みたい」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 のうひん村さんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度みたい
本誌やコミックで何度も読み、先の展開を知っていたはずなのに、それでも胸が高鳴りっぱなしの時間でした。キャラクターたちの生き様が、動きでより鮮明に表現され声が加わることで感情がさらに深まる――改めて声優さんの凄さを実感しました。不評と言われることもある回想パートも、個人的にはとても楽しめました。むしろ少しカットされてしまった部分(義勇さんのくだり?)があったのが惜しいほどです
冒頭、お墓のシーンの美しさにまず驚かされ、その後の無限城編の描写は圧巻の一言。酔うかもと不安でしたがそんなことは全くなく、ただ落ちて走っているだけの場面でさえ全員がとにかくかっこよく、開始直後からテンションは最高潮。伊黒さんと蜜璃ちゃんの手つなぎには、キュンキュンしながらも先を思うと涙が出てしまう。
しのぶ&童磨、獪岳&善逸、猗窩座&義勇・炭治郎の戦闘が絶妙なテンポで交互に描かれ、今回メインの戦いがない柱や隊士たち。輝利哉様達や鎹鴉・隠などキャラ達のそれぞれの戦闘・思いも差し込まれ、息をつく暇もなく引き込まれていきます。皆が「無惨を絶対に倒す」という決意を胸に挑む姿は、悲痛さと同時に力強さを感じさせました。
しのぶさんの戦闘は、カナエさんの演技をしていた彼女ではなく本来の彼女の素顔――怒りや弱さ、覚悟があらわになる重要な場面。最初の羽織に覚えはないかの問い。舌打ちや弱音、肺がゴロゴロといって苦しい中で技を放とうとする姿、「ずーーっと怒ってますよ」の台詞まで、声優さんの演技が圧倒的で、彼女本来の人間味と激情が鮮烈に伝わってきました。百足蛇腹の迫力は鳥肌もの。童磨の始終しのぶさんを小馬鹿にした態度が本当に憎たらしいけれど、魅力的な悪役であることも否めません。彼女の思いを受け継ぐカナヲと伊之助の戦いが今から楽しみです。
獪岳戦はスピード感抜群で、覚悟が決まってる善逸は本当にただただかっこいい。兄貴!と叫ぶシーン、火雷神はしのぶさんの技と同じく鳥肌が立つほど格好良かったです。獪岳も羽織を受け取った時の一瞬の嬉しそうな顔から、彼もまた誰かに特別に見てほしかったのだと感じ、ただの悪役ではない鬼滅キャラらしい奥行きを思いました。
そして心待ちにしていた恋雪ちゃんと猗窩座(狛治)の過去エピソード。猗窩座は名やキャラデザ、技や言動すべてが彼の思い出や・後悔・懺悔・罪で丁寧に造形されていてとても魅力的なキャラだと改めて思います。
狛治さんが恋雪ちゃんに当たり前に未来を語り泣かれて困ってしまうシーンや、病人の方が辛いのになんであやまるんだ?等狛治さんの当たり前の優しさが見えるシーン。師範が道場を継いでほしいといったときの狛治さんと恋雪ちゃんの二人の顔が赤くなるシーンににやけつつも、この二人に幸せな未来がないことを知っているからこそ胸が締め付けられました。師範は始終笑みを絶やしませんが「守るものがいないとダメなんだろうなぁ」といった台詞や恋雪ちゃんが諦めてるといったセリフの端々や声優さんの演技から、彼もまた奥さんを失った時点で限界だったことが滲み3人は出会えて本当によかったなぁと。お手玉のアニオリ演出は素晴らしく、三人が家族になっていく・家族のような時間が描かれていて、未来を見始めた矢先のあの結末がより一層辛く感じられました。猗窩座の最期はわかっていてもとても綺麗で泣いてしまいました。
義勇さん・炭治郎の猗窩座戦は迫力満点で、いい歳でありながら呼吸を真似したくなるような子供心を揺さぶる戦いで。義勇さんの圧倒的な強さを改めて感じ、何度でも観たくなります。炭治郎の正々堂々の戦いっぷりに猗窩座も救われたんだなぁと。
村田さんの薄い…水車も見れました。健闘ぶりにほっこりしつつ義勇さんの立派な水車との対比に思わず笑ってしまいました。
あと猗窩座を頑張って説得するも恋雪ちゃんに普通に負ける無惨様。最後元気いっぱいマイクパフォーマンスする無惨様…何故か面白く感じてしまう。最終戦においてことごとく上手くいかない無惨様は愛され系のラスボスで大好きです。
全編を通して、何度観ても鳥肌が立つ熱量と迫力。トイレを我慢してでも、もう一度劇場で体感したい――そう思わせてくれる作品でした。早く次が見たくなってしまうのだけが難点!
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