「尖った物語構成の作品。だが、それこそがファンが求めていたもの。」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 ヘルシー太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
尖った物語構成の作品。だが、それこそがファンが求めていたもの。
原作に忠実かつ映画ならではの+αで完成された映画。尖った作品と評したのはやはり万人受けではなく賛否両論になるのは仕方ない内容構成だ。とにかく回想シーンが多く、アニメ映画にしては上映時間が長い。人によってはそれで物語の進行のテンポが悪くてダレることもあるかもしれない。アニメで制作した方がテンポが良かったかもしれないと思う人も多いだろう。しかし、映画というフォーマットで興行収入が見込めるからこそ、映像や音楽に力を入れれて迫力のある作品を完成させられたわけだし、そこを議論しても仕方無いことだろう。
自分は原作を知っているから回想シーンが多いことは承知で見に行き、それで原作に忠実でアニメならではの演出と音楽、音響に圧倒された。個人的には最近の映画の中では上位に位置する作品だと思った。155分の長さも最近の映画(例:ジョン・ウィック4、MI/ファイナル・レコニング、シン・エヴァンゲリヲン)では珍しく無く、トイレ対策も問題なかった。
とにかく戦闘パートと回想パートの極端さが自分にはハマった。受けない人は受けないし、受ける人にはとことん受ける内容だ。演出と言えば、主人公達が無限城に飛ばされて主題歌が流れたシーンはRPGで言えば、ラストダンジョンに突入したときの感動を思わせたし、上弦との戦いはラスボス前の中ボス戦を彷彿とさせた。戦闘でのアクションも良いが、それに併せて背景が縦横無尽に変化しているシーンはまさに圧巻の一言。特にサブタイトルにもなっている終盤の猗窩座との戦闘・回想パートは汗と涙と鼻水に塗れること間違い無し。
ただ、一つ残念なのはエンディングパートだ。スタッフロールを本編中には流してほしくなかった。映画ではなくただのアニメのエンディングの演出のように思えて、やや興ざめしてしまう。それに対して無限列車編のエンディングの演出は完璧だった。煉獄さんの回想シーンがスタッフロールと共に流れて涙を誘うシーンだったからだ。まあ、三部作だから、その演出は最後の第三章までお預けにしているかもしれないが。
尖った作品である本作に対して、特殊な環境下で公開され、起承転結がハッキリした無限列車編のような異次元の興行収入はおそらく難しいかもしれない。しかし、本作は間違い無く成功作であることは確信している。
ただ、第二章に対するハードルが上がってしまったなあ…。映画のサブタイトルにもなり、鬼滅の刃に登場する鬼で屈指の人気を誇る猗窩座の物語が終わってしまったからなあ…。
追記
見る人が多ければ、マナー違反や飲食物をこぼしたりする人が多くなる。ブームが少し過ぎ去って見る人が少なくなってから見た方がいい、とそう思う人も沢山いるかもしれないから、当分ブームが続きそうな気がするなぁ…。
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