「泣いた、ただ無限列車は越えられない」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 ルーザーさんの映画レビュー(感想・評価)
泣いた、ただ無限列車は越えられない
『鬼滅の刃 無限城編』を観て――
映像クオリティは間違いなく最高峰。アクションの迫力、映像美、グロテスクさや不気味さの表現に至るまで、やはりufotableの実力は圧巻でした。冨岡義勇 vs 猗窩座 の戦闘は、バトルも演出も完璧で、猗窩座の過去回想も重みがあり、人間としての背景が深掘りされたことで
まさに映画の見せ場として100点の仕上がりでした。
しかし一方で、全体構成としてはかなりバランスが悪い印象を受けました。特に残念だったのが、しのぶさんと童磨のパートです。しのぶの覚悟、胡蝶の死、毒の策略…ここぞ、深く丁寧に描いてほしかったのに、物語の中ではさらっと流された印象で、カナヲによる決着までが描かれなかったことに強い物足りなさを感じました。
個人的に残念だったのは、冨岡義勇との関係性もあまりに軽く処理されていたこと。
アニメでは繊細な距離感ややり取りが積み重ねられてきたからこそ、
彼女の死に対する“義勇の思い“には大きな期待と覚悟がありました。
この関係性を簡単に受け流して次へ進むには、あまりにもあっさりしすぎていて、心の置き所が見つかりませんでした。
しのぶもまた、鬼殺隊の柱であり、鬼滅の刃という物語を支える重要な主人公の一人です。
これはCPとして好きという私情もありますが、それ以上に、“彼女の死”物語にとってどれほど重要な出来事かを思うと、あまりにも軽く処理されてしまったのは、本当に惜しかったです。
【 回想シーン 】
さらに気になったのは、その他のキャラクターたちの回想シーンがとにかく多く、長く、結果的に全体がごちゃごちゃしてしまったことです。ひとつひとつのエピソードが悪いわけではないのですが、エピソードを無理やり1本の映画に詰め込んだことでテンポが悪くなり、感情移入しきれない場面もありました。
原作を知っているからこそ、もっと感動したかったし、もっと泣けるはずのシーンが多かった。でも、焦点が散っていて、ピークがどこなのか見えにくい。その結果、映画としての完成度はどうしても無限列車編には及ばなかったと感じました。
個々のシーンのクオリティは申し分ない。でも映画としてひとつにまとめたとき、やや雑然としてしまったことが本当に惜しい――そんな感想です。
…などと色々言いましたが、それでもあと5回は映画館で観たいです。特に猗窩座と恋雪のシーンは、何度でも堪能したいと思わせてくれるほど美しかったです。
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