「すげえ速い筆さばきに心の中で笑う」劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
すげえ速い筆さばきに心の中で笑う
色々なネタバレくうのが嫌で公開初日に来たが。
まあすごい人の多さ。映画館内の広告も全て鬼滅だし老若男女様々な人が来ている。終わったのが21:30ごろだったがまだまだめちゃくちゃ人がいた。日比谷はいつも客がいるとはいえ、ここまでの人口密度はさすがに普段はない。これが売れることなんだ、とまざまざと体感する。
当然、前の方の席まで埋まってるし。
映画の感想。
原作は途中まで読んだが終盤は見ていない。
面白かったがほぼ3時間はやっぱり長い。けれども、あれは確かにどこもカットできないし、早送りにもできないとは思った。
冒頭のシーンは悲鳴嶼が画面左に向かい歩いているのだがここが既にすごい。悲鳴嶼と漢字が一発変換できることもすごいのだが。
あんなにちゃんと歩く姿に枚数使ってる。ごまかすこともできるだろうに。
しかし、あの歩きの動きで彼の心情が伝わる。お館様が自身を犠牲にして無惨を倒そうとする計画を唯一知らされた身としての苦悩や決意のようなものが、あの歩き方に表れていた気がする。そう思わせるだけでもこの映画はすごい。
時間的に合うのがドルビーしかなかったのだがこれが正解だった。アクションシーンに結構電子音が流れてその電子音のブーン感をかなり体感できた気がする。ストリングスや管楽器の音も含めて。
アクションシーンはさすがだった。特にあの無限城の空間は上下左右に動きまくるので背景動かしつつ人物動かすのは大変だったろう。
例えば悲鳴嶼がらみのアクションで爆発が起きる場面があり爆風はしっかりCGだった。また無惨が身体を変形させてでかい気持ち悪い繭みたいのを作るのだがこれもCGだ。ここら辺のいかにもCGを頑張ってセルルックに合わせに行ってる描写は以前からこのシリーズにあり、このあたりの馴染ませはこれだけでかいシリーズであってもなおまだ難しいのだとは感じた。
だがそこを挑戦しているのはやはりすごいと思った。
面白かったのはお館様の息子が出てきて筆ですごい速さで無限城の図面を書いていた場面。いやそっくりな息子までいたんか!そこまで用意してたんかよ!という用意周到さに加えて。あの無限城をカラス複数飛ばしで視界共有の札みたいので何とか構造を把握し鬼舞辻無惨を見つけてやる!という発想、決意。そして紙を何枚もまとめていく隊士達含め、あの絵面が面白くて心の中でめちゃくちゃ笑った。
ここの場面はここまで鬼滅見てきた中でもトップクラスのオリジナリティだったと思う。
フィクションにおいて場所探知する能力がある人って、たいてい探知したら言葉で伝えるだけ。わざわざ紙に書いたりしない。
でも鬼滅は紙に筆で書いていく所にロマンがあるのよ。大正という時代も感じるし。何より「いやあの上下左右に広がる空間を紙に書いて表現するのは無理だろ?」という予想に反して「いや!この方法で絶対ラスボスを見つけてやるんだ!」という決意があのすごく速い筆さばきに表れているのよ。
アニメーターも頑張ってあの筆さばきのアニメーションを現代の筆であるタッチペンやらCGやらでひたすら手を動かして描いているわけで。たぶん現実のスタッフにもあの速さで描けるヤバい人がいる。でなきゃ、あのクオリティのアニメをこんな数年おきに出せないだろ。
そのジュニアを守るのが天元と煉獄パパなのも熱いだろ。
あと、この鬼滅の刃というシリーズはずっと「心情や状況を心の中の声でいちいち詳しく説明してくれる」という特徴があり、これがあるから分かりやすく人気になっている部分がある。
中でも今回は終盤で炭治郎の剣がすっぽ抜けて「まずい!まずい!まずい!」と焦った場面がめちゃくちゃ面白かった。しかもそのあと、咄嗟に出たパンチが猗窩座に当たり、その拳で猗窩座が過去を思い出し、自己を振り返り自分への攻撃につながる展開は見事だった。
これら原作の優れていたところをアニメスタッフが見事にアニメ化してくれている。
入場特典の原作絵イラストを見てあらためて思ったが、この監督、このスタッフ陣じゃなければあそこまでヒットしなかっただろう。もちろん原作に魅力はあるがやっぱり絵にクセがある。アニメ化する際の演出もやり方が下手だったらもっとしょぼくなりえたはず(首なし猗窩座とか)。
よくあそこまでハイスピードとスローを駆使して作ったよな。
ここまでのものを作ってくれたスタッフの皆様に拍手。
弁明発射記録さま、初めまして。
レビュー面白く読ませていただきました、ありがとうございました😙
>そのジュニアを守るのが天元と煉獄パパなのも熱いだろ。
個人的にココがツボだったので、1番笑えました🤭
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。