ジャナタ・ガレージ
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ハイデラバードの自動車修理工場兼自警組織「ジャナタ・ガレージ」と深い関わりのある環境活動家、アーナンドの使命と闘いが描かれるヴァイオレンス・アクション。
『RRR』(2022)によって日本でも知られる存在になったインド映画界のスター、N.T.ラーマ・ラオ・Jr.が主演。
流石スターだけあって、オープニングクレジットで“ヤング・タイガーNTR“の文字が、まるで映画会社のロゴのようにデカデカ派手派手と映し出される。二つ名が“ヤング・タイガー“だなんて、カッチョ良すぎるっ!🐅✨
映画の中のNTRも、“ヤング・タイガー“の名に恥じぬ八面六臂の大活躍!
彼が演じる主人公のアーナンドは、真面目すぎる環境活動家というちょっぴりめんどくさい人格と、ほとんど災害レベルの戦闘能力を有する規格外のモンスターである。こんなんが「お前らの採掘は環境破壊だ!今すぐ辞めろ!!」なんて怒鳴り込んで来たらオシッコちびるで…🥶
そういえば、実力を行使してくるグレタさんみたいなキャラクターをヒーローとして描くというのは珍しいような気がする。それだけインドでも環境汚染というのが逼迫した問題になっているのだろう。なんにせよ、地震や津波に準えた攻撃は少年マンガみたいでカッチョいいのだ!
…にしても、誰か「他人のビニール袋については注意するのに、自分はめっちゃ燃費の悪そうな単車に乗ってんのかよ!チャリにしろチャリに!」と突っ込む奴はいなかったのだろうか。まぁそんなん言ったら脅威の自然パワーで消し潰されるかもしれんが。
能天気に進む前半のムンバイパートに対し、後半のハイデラバードパートは割と本格派のヤクザもの。容赦のない暴力とその報復の物語となる。
NTRが家族やヒロインと縁を切る展開では、「どうせ後で復縁するんやろ(°σω°)ホジホジ」なんて思いながら観てたから本当に絶縁して割とビックリした。ヒロインを演じたサマンタさんはハエに転生した男を主人公にした傑作アクションコメディ『マッキー』(2012)にも出演していた絶世の美女。彼女と天秤にかけるほどの価値があのヤクザ稼業にあるのか…?
注目したいのはジャナタ・ガレージがめちゃくちゃ家族経営であるという点。ヤクザ映画だと血の盃とかで擬似家族関係を結ぶが、本作はホンモノの家族間で骨肉の争いが繰り広げられるため、主人公とその宿敵が同じ屋根の下で暮らしていたりする。まさに大家族を形成するインド社会ならではという感じがして、このカルチャーギャップはなかなかに興味深く面白い。
…いやしかし、この映画は本当に身内の人間しか出てこないな。ヒロインすらいとこという徹底ぶり。いとことイチャラブするというのは結構ヤバみを感じるが、インドでは良くある事なのだろうか…。
後半のハードなアウトロー展開も楽しめたのだが、前半との噛み合わせが上手く言っているとは思えない。環境活動家というアーナンドの属性が掻き消されてしまっているからである。環境を守りたいというアーナンドの信念と、虐げられる弱者を守りたいというガレージの信念は似て非なるものなのではないだろうか?
そもそも、車の修理工場というのは環境活動家の就労場所として相応しくないような。バイクの件もそうだが、アーナンドは二酸化炭素の排出には無関心なのだ。武力行使も辞さない男なのに中途半端だなぁ。
車も人も、さらにはパキスタンとの緊張関係すら修理するジャナタ・ガレージの設定はユニーク。NTRのダンスも相変わらずキレッキレで、それを見られるというだけでも本作を鑑賞する価値はある。
ルックの華やかさに対して物語がシリアスすぎる気がするし、正直このランタイムならもう少しバトルシーンを描いても罰は当たらないと思うが、インド映画の特盛感を味わいたい人にはお勧めしたい。