劇場公開日 2002年3月30日

「現代の戦争映画を確立した」ブラックホーク・ダウン N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0現代の戦争映画を確立した

2021年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

公開当時、劇場鑑賞に加えて再鑑賞。

これまでの戦争映画といえば、第二次世界大戦やベトナム戦争と
時代にやや古さを感じるものが多かったが、
本作は公開当時でも数年前に起きた、まさに現代の戦争を映像化したものである。
また完全な市街地戦という描写も当時から斬新で
そのスタイルやリアリティある映像は、
後発の戦争映画に多大な影響を与えていると感じて止まない。

また今、見てもどうやって撮影したんだろう、と思わざるを得ない大掛かりなシーンも多い。
(視覚効果程度、味付けはあったとしてフルCGはない、もしくはかなり少ないと思うのだが)
リドリー・スコットの映像美ともあいまれば、凄惨なのだが、ソリッド、スタイリッシュ。
映像のクールさにはシビれるばかりだ。

物語は世紀の大失態と言われたソマリアでの急襲作戦で、
ひたすら突入から帰還までをノンストップで追ったもの。
ゆえに二時間近く乱れ飛ぶ弾丸と、吹き上がる土砂。
肉が飛び、血がしたたる。
味方もどんどん負傷してゆき、手加減ない相手の残酷さはとんでもなく、
たみかけてくる緊迫と絶望の展開で埋め尽くされている。
正直、女子供に向かない度、200%だ。

ただ、イーストウッドの「アメリカンスナイパー」もそうだが、
とにかくアメリカという大国の病理の一端を感じ取るに、
これほど過不足ない作品もないだろう。
後の戦争映画の道筋を作ったとさえ思しきエポックメイキングな本作。
気合を入れてから是非とも見てもらいたいと、時を越えても感じた。

N.river