本心のレビュー・感想・評価
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個人的な第三の見方
今年402本目(合計1,493本目/今月(2024年11月度)8本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
今週、結構作品の数は多いのですが、解釈や採点が荒れそうな気が(この点後述)します。
基本的なストーリーとしてはいわゆる自由意志による死(日本でいうと、安楽死がやや近いが、法制度化されておらず抑止的に運用されている)を扱う内容であったり、あるいは特に若者の経済格差問題、あるいは個人事業主(であろう)「この映画が扱う職業」についての問題提起等多々いろいろわたります。
逆に多くにわたりすぎていて「一つの筋に絞りにくい」ところがあり、色々な解釈ができてしまうのでは…といったところです(この点で解釈が色々取れる点でフランス映画にありがちな展開に近いストーリー)。
とはいえ、色々な見方・考察ができますし、以下は「想定されているかいないかは別だが、ありうる解釈」としては後述しますが、「そのような視点」もあるのかな、といったところです。
採点に関しては(←重要。後述)、以下のようにしています。
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(減点0.3/「自由意志の死の「認可」」表現)
「認可」というのは、私人間の契約に対して行政が立ち入って契約を完全なものとして完成させることを言う、学問(学問上の「行政法」)上の用語です。代表例として公共料金の値上げ等に対して行政が割り込んでくる(極端な値上げを抑止する)といったものがその代表例にあたります(つまり、契約自由の原則の例外にあたるケース)。
映画内の描写は正しくは学問上(講学上)は「許可」とされるべきものです。
このあたりは資格持ちはごまかせませんので…。
(減点0.2/心裡留保の対抗要件の解釈ミス)
心裡留保は善意無過失の相手方に対抗できません(93条1項)。善意の第三者についても同じです(同2項)。
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(減点なし/参考/この映画の「第三の見方」について/評価サイトの「評価」について)
主人公が選んだ仕事(というかアルバイトか)は、今の日本でいえばデリバリーサービス等にあたり、そのサービスについて評価するシステムは常にあるし、また、広く言えば、食事や、ひいてはこのサイトのように映画であったりと多々わたります。
映画内で「汗が臭い」ということで0.1の評価をつけられるシーンがありますが、こうした仕事のスタッフの評価はこれらの平均値等で評価されるのが普通であり、そうであるなら、全体的な基準(5段階評価として1がどのような程度のものか)が全体として定まっていないと、不当に高く評価されたり低く評価されたりといった状況が起きます。このとき、評価者に悪意(日本語としての通常の意味)がなくても、「評価基準がないから」というところにつくのであって、その「汗くさい」ということも0.1であったり1.0であったり2.0であったり、「低め」ではあっても個人によって評価は違います。結局「評価基準」が定まっていないために起きる問題であり、これによってスタッフにより不当に高く評価されたり低く評価される状況が発生します。
(※) このように「不当に低い評価を受けた」(いたずら、嫌がらせと言いうるレベルのもの)ことをもって、各スタッフ(従業員)が個人の(二度目以降の)再配達を拒否できるかというと微妙でしょうし(ただし、各スタッフに対して嫌がらせをするような場合、そのデリバリーサービスの会社側が利用を拒否することはあり得ます)、またそもそも、同じようなシステムが存在する「病院/診療所」や「弁護士事務所」(行政書士・司法書士事務所も同様)(←Google Mapを念頭においているが、そうしたサイト、アプリも存在する?)については、そうしたことを理由に診療等を拒否はできません(個別法で正当な理由なく断れないようになっている)
。
この映画でもそのことについて何度か出てくるシーンがあり、「デリバリーサービスやタクシーアプリ、あるいは例えばこのサイトのように「評価」がつくようなもの」について「適正な評価がされないことにより発生する被害」について「こっそり」問題提起されているのではなかろうか、というのが個人的な見方です。
(※) 私自身はどのサイトにせよ一貫性のある評価をするので、点数計算に関しても(サイトによって文字数の許す範囲かつ常識的な長さで)個々内訳を示すようにしていますが、当然、そのことを私が第三者に強要することはできません(したがって、評価がどうであれ見に行きたい映画は行くし、行きたくない映画は行かないし(レストランにせよ書籍にせよ同じ)、というところです)。
近未来の話
自由死した
母の本心を知りたいと
息子(朔也)が大金を支払いAI技術で
母と仮想空間で話せるようになり
徐々に自分が知らない母の隠された事実が…
近未来になっても
不器用な人、差別する人、貧しい人
意地悪?一言多い人
その言葉に振り回され
生きづらさを感じる人がいて
技術や文明が進化しても
人の気持ちや、弱い部分は
変わらない。
強くなんてなれない
アバターになり話せる事ができても
本心かどうかはわからない。
最後の場面の
手の温もりがすべてを語っている
気がしました。
是非映画館で観てください
タイトルなし
池松君への評価かな。平野はあまり好きではない。いじけてて、石井さんの抜ける力がこの原作からは出てこない。脚本少し変わったのかな。アイデアは面白いし、アバターが手足のように奴隷になり、点数化されるとか最低。こんなに暗いストーリーを思いつく暗さ。臆病さ。池松くんは臆病さをやらせると本当にうまいけど、芯の強さがいつもある。この原作にはない。ただひたすら暗い。あっちがわの人間とこっちがわの人間という線引きも古い、くだらない。母親の話があまりに突飛で、リアリティがない。田中祐子はもう少しリアルな演技をすればよかったのに、頭でしか役をやってないからだ。妻夫木もこういう暗い役にピッタリなのだ。
太賀も暗い。朝ドラの優しい夫もできる人だけど、徹子の部屋で天真爛漫になれない自意識過剰さが嫌だった。だからこういう役がはまってしまうと思う。
石井さんにこんな映画撮らせないでよ、池松くん。
「お母さん!」池松荘亮と三吉彩花の熱演が光る傑作
原作は読んでいませんが、やはり平野啓一郎は、非凡な才能の持ち主であると感じました。
個人的な感想です。
ポイントは主人公の朔也が前科持ちで、就職や結婚に障壁があったことだと思います。この状況から秋子が朔也に望む本心は、普遍的なものに帰着していたのでしょう。ラストは涙なしでは見ることができませんでした。
池松さんのセリフの一言一言が強烈に心に残り、三吉さんの演技も次第に引き込まれていきました。
本作はVF(ヴァーチャル・フィギュア)やリアル・アバター以外にも自由死の制度にも触れており、2025年問題が迫っている今、タイムリーで注目すべき映画だと思います。
『意匠』がさ…
未読のため原作由来なのかどうか不明ながら、ちょっとデフォルメ・戯画化しすぎな印象。
なんというか、「あっち側」「こっち側」とか過剰に風刺的な言葉遣いがわざとらしく感じる。そういう『意匠』の部分を取り除けば「自分が知っていると思っている親しい相手を本当に理解することは出来るのか?」という普遍的な問いに辿り着けるのかもしれないと思うが。
でもVRのシーンでノイズを乗せたりする『意匠』が邪魔するのよ〜
三吉彩花に「みよしあやか」って役をやらせるのも気が散るからやめて欲しい。池松ともども良い芝居してたのに…
見ごたえあり
VRとAIがもう少し進化した、極めて近い未来の日本が舞台。
予告編からは、死んだ母のVF(ヴァーチャル・フィギュア)と主人公の関りから、人が誰しも心に秘めている「本心」がテーマかと想像していた。
しかしそれに加え、いまより拡大した格差社会とそこで生きねばならない若者たちを、創造したリアル・アバターという職業で表象しつつ描きだし、現実味があって惹き込まれた。
池松壮亮、田中裕子、妻夫木聡などの演技はさすがで、見ごたえ十分だが、いまひとつスッキリしない後味は残念。
質は高い作品でした
今の時代を反映させたような、一生懸命考えました!っていうような─。だから質は高かったし、気合い入れた感じもありましたけど、正直、あんまり・・・といった感じでした。
そもそも世界観はこの現代を背景にしたものなんでしょうけど、なーんか全部ウソっぽくて、リアルな感じがせず・・・そもそもの設定がアバターをメインに据えたものだからウソっぽく見えるのは当然なんでしょうけど、リアルなんとかっていうものとか犯罪とか生活感に至るまで、全くリアルなものを感じることができず・・・全て虚構の物語を見ました、という率直な感想です。現実の近未来見越したかのような物語でしたが、絶対こうはならないだろうなぁと思ったりも─。
演出も・・・、どうなんだろう、名優が独自の個性を生かした誠実な演技をこなしていたとは思えましたけど、個々のパフォーマンスにしか見えず、全く感情移入できず・・・。悲哀に満ちていて、何度も涙を見せられましたが全く悲しむことなどできず・・・そもそも、ゴーグルつけてあんだけ涙を流すと、物理的な支障が生じるような気がするのですが・・・まぁ眼鏡を日常的に使用している者にとっては、グラスでのバーチャルリアリティなど全くリアルには思えませんので。
とってつけたような悪の道へ誘う知り合いっていうのも、なんかなぁー、痛すぎるなぁー、っていう・・・
品質の良い映画をという気持ちは最高なんですけど、内容があまりにも・・・ってな感じです。
あなたの本心は?
自由死で亡くなった母とVF(バーチャルフィギュア)で再会することになる溶接工勤務の石川朔也の話。
生前母から最後の電話で「大切な話をしたい」と言われた夜、氾濫する川に身投げした母、…を助けようとした朔也だったが、気づいたら1年後の病院のベッドの上だったが…。
1年昏睡状態、目が覚めたら変わり果てた世界で、母の死は自由死?認可?自由死を選択し国から出る手当て?と変わった世界観のなかで進むストーリーで。
リアルアバターとかウーバーの更に進化版!?の様な要素も少し感じつつ、で、三吉彩花さんは1字違いで何でそのままの名前?何て思いながらも横からのサービスショットはありがとう♡とてもキレイな…。
生前では母との会話を忙しいとか、面倒でスルーしてたものの、VF母に想いを伝えられたラストには少し涙で、変わった世界観で進むストーリーで飽きずに観れた。
原作は案ですが本質はキープ
本心の原作は読んでおり、映画化されること、海のはじまりで演技力を見せつけられた池松壮亮主演とのことで鑑賞。
やはり演技力、細かい感情の変化が上手い。ストーリーは原作は案にしたのかなというくらい結構違います。映画にするにはやむを得ないかな。でも原作の本質はキープしているのはすごいです。
仲野太賀や綾野剛、妻夫木聡の登場はかなり少なかったですし、窪田正孝は気づかず…。好きな俳優さんたちなので少し残念。
不愉快になりたければどうぞ
2年後の荒廃した日本を描く作品。
隅田川(?)沿いには高層マンションが立ち並び生気の無い若者たちがたむろしている。
主人公はVF(バーチャルフィギュア)で自殺した母を復活させて自分はリアルアバターとして客から要求された通りの事をする仕事をしている。
老衰した男性客からの依頼でお寺さんや夕日のきれいな海岸線を見に行く辺りまでは良かった。
しかし若い男(連中)からの依頼で病院見舞いをするためにスーツを着て見舞い品をコロコロ替えられて走り回らせてるのを見ていて気分が悪くなった。
別のリアルアバターが人が死ぬのを見たいからとバットで仲間を殴り殺すシーンもあった。超高級レストランで紳士淑女の中で従業員からも白い目で見られてステーキや最高級の赤ワインを飲まされるのもつらいだろう。
高校時分に好きだった女の子に似た女性が母の友人で台風被害で避難所暮らししてるので自分の家に呼び生活を共にする。
暮らしていくうちにお互いを知り好意をもつのだが主人公は…
パッとしない映画が平気な人以外にはおすすめできない作品。
池松壮亮は相変わらずの大根。
妻夫木聡の演技は素晴らしい。何をやらせてもその役になりきるのはさすが。
誰の本心か
AIで作ったVFの母親が話すことは誰の本心なのか。
本心を知るということは知りたくなかったことも知るということ。
果たして、自分自身は本心をさらけ出すことなどできているのだろうか。
近未来の話。今以上に世代間、経済格差での分断は進んでいる。
別にV F世界の母親との話ではない。
リアル世界の人間関係の話。
池松壮亮始め、俳優陣の安定した演技、映像も良かった。
そして平野啓一郎の原作、改めて良かった。
ラストの解釈は色々分かれそうだが、見たいように見るのも正しい見方なのかもしれません
2024.11.8 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(122分、G)
原作は平野啓一郎の同名小説
AIによって自死した母を蘇らせようとする青年を描いたヒューマンミステリー&恋愛映画
監督&脚本は石井裕也
物語の舞台は、都内某所
母・秋子(田中裕子)と二人で暮らしている朔也(池松壮亮)は、幼馴染の岸谷(水上恒司)と一緒に工場で働いていた
ロボットアームの出現などで仕事が無くなる時代が近づいていたが、朔也はそんな時代の変化を気にせずに生きてきた
ある日のこと、母から「大切な話がある」と言われた朔也は、岸谷との飲み会を優先してしまう
そして、その帰り道に、増水した川岸で母親を見つけた
危ないと思って駆け寄っても間に合わず、母の姿はどこにもなかった
さらに自身も車に轢かれてしまい、昏睡状態に陥ってしまうのであった
映画は、その1年後に朔也が目覚めるところから動き出す
警察から母は自由死を選んだと言われ、さらに時代はあっという間に進んでいて、VRが当たり前の世の中になっていた
工場は閉鎖され、いつの間にか解雇されていた朔也は、岸谷の誘いにてリアルアバターをすることになった
そして、その仕事が軌道に乗った頃、朔也は岸谷からある人物を紹介される
それがVFを開発している野崎(妻夫木聡)だったのである
映画は、前半はSFミステリーっぽさで「AIは本当に人の心を作れるのか」という流れになっていたが、後半は一転して朔也が彩花に本心を見せるかというラブロマンスになっていた
映画の主題が「本心」なので、その流れになるのは理解できるが、映画の予告編だと後半の流れは読みにくい
母親の本心を探るうちに、本心を探られる側になっていく面白さはあるものの、それに早めに気づけないとあまりノレない感じになっていた
鑑賞後に振り返ると物語の構造が見えてくるものの、初見直後は何の話だったのかよくわからない感じになっていた
AIが学習した人の心というのは、対人から紡ぎ出したもので、それを本心とは呼ばない
逆に本心を知ろうとすればするほどにその正体が見えなくなっていくもので、他人に見せている360度が浮き彫りになるだけなのだと思う
結局のところ、相手の本心とは周囲の人が見たいように見ているものであり、そこに映っている自分が本物かどうかを本人は気にしない
むしろ、自分自身の装飾がうまくいっているかの確認作業のようなもので、見られたい自分を演じられているかの確認作業になっている
それは全ての対人において為されているので、多くの対人情報を集めたところで、当人の本心はますます深みに隠れていってしまうのである
面白い設定ではあるものの、それが有効に生かされているのかは何とも言えない部分があった
個人的には、昏睡している間に見ている朔也の夢もしくは、そこで死んでしまった朔也を母親がAIとして蘇らせようと考えていた、という2段階のオチがあると思っていた
それは、リアルアバターをする前の段階にて、車に轢かれたネズミが変化していなかったからであり、あの時の朔也はゴーグルをしていなかった
と考えると、朔也を俯瞰している人物がいることになり、それは母親である可能性が非常に高いと言える
母親は自由死を選んだのではなく、野良猫を探しにきたことがわかるのだが、母親が死んだと聞かされただけで、実際の死の瞬間が映っていなかった
母親が言いたかったことを聞かせる前に先に朔也が死んでしまい、それをVFの世界の中で達成しようと考えていて、そして青春期の事件の起因となった由紀(宮下咲)への想いが消えていないことも知ることになった
由紀の情報は岸谷から拾い上げた情報で、それらを組み合わせたものが映画全体となっているとなれば、ある程度の辻褄は合うのかな、と感じた
いずれにせよ、ラストには朔也の手を取る彩花の腕が映っていて、彩花が去った映像は何らかのフェイクであることがわかる
その意図がいまいち不明瞭だが、打ち明けたのが本心でないことに気づいた彩花が戻ってきたのかもしれない
この辺りは想像の範囲になると思うのだが、彩花としては、朔也の過去が全て完結した状態で新たな人生を歩みたいと考えたのではないだろうか
朔也が母から「大切な話」を聞くことで終わりになると言えるので、その瞬間が来るように、彩花はあえて姿を消し、そして全てが終わった段階で、再び彼の元を訪れたのだと感じた
最初から面白かった
最終の技術って凄いねー。VF使ってみたくなった、ファンタジーのようだけどこれはリアルミステリー映画です。
池松さんに田中裕子さん、暗くて面白い映画の代表格、やっぱり当たりでした。
お母さんの本心は結局なんだったんでしょう。
あの真実は自由死ではなかったんだろうか。
それにしても自由死なんてものも最新ですね。
あったらいいような、でも絶対あっちゃダメなような。
難しい話しです。
面白かった。
余談
何度見ても池松さんは大竹しのぶさんに見える。
私だけだろうか。
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