「観てから、しばらくしてじゅわんとくる映画」本心 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
観てから、しばらくしてじゅわんとくる映画
普通に特に不満もなく生きてきているが、心の中で恐れているのは大切な人を失うことである。思いがけないタイミングで不幸が訪れたなら、私もヴァーチャル・フィギュア(VF)を300万円払って購入するかもしれない。
原作は未読だが、主演の池松壮亮がこの小説を読み面白さに圧倒され石井裕也監督に映画にすべきと進言したとのことである。
予告を見る限りは母である田中裕子のがVFとして登場することが中心のファンタジーなSFドラマと認識していたが、池松壮亮がリアルアバターとして働くなかでみた不条理な世の中の現実(今も実は同じ不条理の世界である)や過去のトラウマとの葛藤、セックスワーカーだった三吉彩花のコンプレックスを抱えながらも懸命に生きている姿などヒューマンドラマとしての要素の方に強く惹かれる映画でした。
田中泯はワンカットだけで凄い存在感だし、妻夫木聡や綾野剛、仲野太賀らを脇役で使う贅沢さで映画を骨太にしていってる感じでした。
とにかく、ラストシーンに掲げた手に寄り添う手が彼女であることを祈ってます。
ここ数年だけでも「茜色に焼かれる」「月」「愛にイナズマ」等傑作映画を量産する石井裕也監督の実験的作品。後年に評価が高まるのではと思ってます。又池松壮亮はこの「本心」に加え「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」「ぼくのお日さま」の3本で今年の最優秀主演&助演男優賞は決定です!
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