本日公休

劇場公開日:2024年9月20日

本日公休

解説・あらすじ

作家やミュージックビデオ監督としても活躍する台湾の俊英フー・ティエンユー監督が、自身の母親をモデルに執筆した脚本をもとに、実家の理髪店で撮影を敢行して完成させたヒューマンドラマ。

台中にある昔ながらの理髪店。店主アールイは40年にわたってこの店に立ち続け、常連客を相手にハサミの音を響かせている。彼女がひとりで育て上げた3人の子どもたちは既に独立しており、頼りになるのは近所で自動車修理店を営む次女の元夫チュアンだけ。ある日、離れた町から通い続けてくれる常連客の“先生”が病に倒れたことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、古びた愛車に乗り込んで先生のもとへ向かう。

「客途秋恨」で知られる名優ルー・シャオフェンが24年ぶりにスクリーン復帰して主人公アールイを演じ、2023年・第25回台北電影奨で主演女優賞、第18回大阪アジアン映画祭で薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。チュアン役で「返校 言葉が消えた日」のフー・モンボーが共演し、「藍色夏恋」のチェン・ボーリン、「僕と幽霊が家族になった件」のリン・ボーホンが特別出演。

2023年製作/106分/G/台湾
原題または英題:本日公休 Day Off
配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ
劇場公開日:2024年9月20日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9

(C)2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved

映画レビュー

3.5 理髪店という陽だまりの空間にて

2024年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

このヒロインは生涯のうち一体どれほどの常連客たちの後ろ姿をじっと見つめてきたことだろう。それぞれの背中や襟足には人生が香る。そこにチョキチョキと心地よくも絶え間ない音が鼓動の如く響く。自身の母親をモデルに描いた本作の監督にとって、この日常がいかに大切な原風景であるかが温もりをもって伝わってくる。まさにその実家の理髪店でロケを敢行したというのも納得。いささか年季の入った店の窓から注ぎ込む穏やかな日差し、色あせた床、さりげない備品の数々は、ノスタルジーという言葉を超えた懐かしさと、自分も常連客になったかのような居心地の良さをもたらしてやまない。全編を通じて何かしら大事件が起きるわけではないが、変わらぬ風景、ずっとそのままでいて欲しい空気感を、丁寧に紡ぎゆくこの語り口が味わい深い。いわゆる「反復とずれ」の描写で、絶え間なく続いてきた日々にふと気づきと変化がもたらされる様子も静かに胸を締め付ける。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
牛津厚信

4.0 昭和ノスタルジーを喚起する理髪店のおばちゃんと家族の情景

2024年9月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

幸せ

今年は台湾映画の当たり年かも(日本公開年ベースではあるが)。5月の日台合作「青春18×2 君へと続く道」、6月の「オールド・フォックス 11歳の選択」、7月の「流麻溝十五号」、そしてこの「本日公休」。タイプや時代背景は異なれどそれぞれに魅力があり、台湾の歴史や昨今の社会事情、人々の価値観や人柄などを映画を通じてうかがい知れるのもいい。

本作で初めて知ったフー・ティエンユー監督は、1973年9月13日台中生まれ。母親が理容師で、主人公アールイのモデルになったほか、撮影に使ったのも実家の理髪店だという。2015年製作のオムニバス映画「恋する都市 5つの物語」では第4話「日本・小樽編」の監督・脚本を務めたそうで、こちらもいつか観てみたい。

何よりもまずアールイのキャラクターがいい。女手ひとつで育てた娘2人と息子1人はすでに家を出て、店舗の奥の住居でひとり暮らしながら理髪店を営んでいる。常連の名前と髪型の好みはもちろん、接客時の会話から相手の家族の事情まで把握していて、しばらく来店していない客には電話をかけて家族の話題をとっかかりにしつつ、家族の行事の前に散髪にいらっしゃいと巧みな営業トーク。頭の形を見ると似合う髪型がわかる、頭の後ろ側にも“もう1つの顔”がある、といった台詞には、自分の仕事に誇りを持った職人ならでは言葉だなあと思うと同時に、プロからはそんな風に見えるのかと少しどきっとした。

3人の子らはあまり実家に帰らずやや親不孝なのだが、近所で自動車修理店を営む次女の別れた夫チュアンが優しくて善い男で、元義母を何かと気にかけている。チュアンのキャラクターもまたいい味を出していて、互いを思いやるアールイとチュアンの会話に温かい気持ちになったり、切なくなったり。

スマートフォンが使われているので比較的最近の時代設定だけれど、昔ながらの人と人とのつながり、得意客を大切にする心、家族の距離感などそこかしこに、日本の昭和の頃に通じるノスタルジーを感じる。台北などは東京と一緒でもちろん大都会だが、台中の下町あたりではまだ人情味あふれる個人商店などが残っているんだろうなと思わされる。

個人旅行で台中か台南で民泊を利用したが、家主のおばちゃんが本当に人懐っこくて親切だったのが良い思い出。アールイが友達と干潟のような場所ではしゃいでいる数秒のシーンがあるが、あれはおそらく台湾のウユニ塩湖と名高い「高美湿地」だと思う。台中の中心地から半日くらいで他の観光地とあわせて巡るバスツアーがあって、天気の良い夕方に訪れるのがおすすめです。

コメントする (0件)
共感した! 15件)
高森郁哉

3.0 おばあさんの床屋

2025年9月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

 小さな理髪店を営むアールイ。彼女の三人の子供は独立し、近所のチュアンは次女の元夫だったが頼りになっていた。そんな時、アールイは子どもたちに知らせず店を留守にし、遠方に越した常連客の出張散髪に向かう。
 おばあさんのロードムービー的な展開を期待しましたが、その点は物足りなさを感じました。
 自分には40年以上通っている床屋さんがあります。当初は夫婦でやっていたが、今は同様におばあさんひとりで切り盛りしています。このご時世でも、全く値上げしません。いつまでも続けてほしいと願う気持ちが湧いてきました。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
sironabe

3.5 渋いしみじみ系。でもちょっと単調か。

2025年8月30日
PCから投稿

「人には頭があり、食いっぱぐれない」
「男性は理髪の担当を変えない。単調だから」

なるほどねえ。

1人の理髪師として、そして3人の子を持つ母親として。
背筋が伸びる生き方がいい。

多田ちょっと単調なので眠気が・・・.

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ゆき@おうちの中の人