ヒューマン・ポジションのレビュー・感想・評価
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【”そして、私達は人間らしく椅子に座って、心を癒し生きる。”ノルウエーの美しい小さな港町を舞台にしたヒーリングムービー。】
■地元の新聞記者のアスタ(アマリエ・イプセン・ジェンセン)は、久しぶりに仕事に復帰し、難民強制送還問題や、地域の環境問題の取材をする。 そして、アスタは、一緒に暮らすパートナーである家具職人(と思われる)ライブ(マリア・アマグロ)に徐々に取材の際のフラストレーションを解消してもらうのである。 ◆感想<Caution!内容に触れています。> ・静かな映画である。二人が住む部屋には猫が居て、チョコチョコ動き回るが、劇伴が流れる訳でもなく、淡々と進む。 ・二人は、小津安二郎の「お茶漬けの味」(声だけ流れて来る。)を見たり、柔道着を着てルールの分からない碁を打ったりしている。 ■途中、アスタのお腹の横に引かれた傷が映される。 ライブは”大分良くなったね。”と言っている。 日本好きなので、”仕事に息づまり、切腹の真似をしたのか?”などと思ってしまうが、それ以上の言及はない。 <そして、アスタはライブが作った椅子に腰掛けている。その前の二人の会話”椅子に座るのって、人間だけだよね。”という言葉を思い出す。 きっと、アスタには新聞記者の仕事をしている中で、屈託が有ったのだろう。それをパートナーであるライブと暮らす事で徐々に癒しで、人間らしさを取り戻したのだろう、と私は勝手に思いながら、劇場を後にした。> <2024年11月3日 刈谷日劇にて鑑賞>
Chill Chill
久々に冒頭から「あ、これ相性悪いやつだ」と察してしまい、そのまま本編中ずっと乗り切れずに終わってしまいました。 波のない映画が苦手なのは重々承知しているんですが尺の短さ的にゆるっとしつつもしっかり物語は進めてくれるはずと思っていただけにそこ予想は裏切ってくれずでした。 同じ景色を映しながら数十秒経ってやっと登場人物が出てくる感じからして、あー監督の世界観がガッツリ出てるタイプだなと身構えていたらその後も長回しの連続でガールフレンドとのイチャコラや仕事の模様がスローで映されるばかりで映画的な展開はほとんどなく、盛り上がらずじまいで猫ちゃんが出てくるシーンだけが癒しでした。 普段見ないだけあって改めて相性の悪さを体感しました。 でも上映時間の短さにはどうしても惹かれてしまうのでまた繰り返してしまいそうです。御免被ります。 鑑賞日 10/29 鑑賞時間 9:55〜11:20 座席 D-1
猫かわいい
固定カメラの長回しを基本にした紙芝居みたいなところに壁や扉で縦線入れて画面のかなりの部分を遮蔽し、隠れているところにあるモノを鑑賞者に想像させるのがお洒落。描かれる日常の様々な事物に対する偏愛が小津安二郎っぽい(あの日本映画は小津作品だと思うけど違うかもしれん)。 もう一回見て見逃したかも知れない優しい視線を拾い直したくなった。
此れ見がしなセンス
狙った構図での長回しに監督の拘りと部屋はもちろん料理にまで気遣ったセンス良くお洒落な雰囲気が満載、一定のトーンで進む物語に過剰なセリフによる説明を排除した不親切にも有難迷惑にも当て嵌まらないような、描きながらも描かない確信的な部分にモヤモヤしながら平凡に順調に生活する様を興味深く観れるか飽きが来てしまうか?? 集まる椅子が堪らない、自分も60年代〜70年代のヨーロッパの椅子を一脚所持で満足してる、町並みや部屋の外観から内装を含めたアンティークな二人の生活が羨ましくもある。
ゆっくりとゆっくりと流れるノルウェーの毎日
今年391本目(合計1,483本目/今月(2024年10月度)42本目)。 ※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。 ノルウェーを舞台とした、療養・両方明け(リハビリ等との併用を前提とした勤務も含む)の女性を主人公にした、小さな新聞社に勤める、その彼女のストーリー。 全般的にセリフが少なく、「映像で見せるタイプなのかな」といったところです。どなたか「インスタの写真の寄せ集めみたい」という趣旨で書かれていましたが、それがぴったりくるところです。セリフはまぁまぁ出るといえば出ますが、個々あまりつながりがないし、理解できなくても大丈夫ではと思えます(明示的に章立て形式ではないですが、いくつかテーマがあってそれごとにお話が分かれているというようにも思える)。 途中から彼女の元に舞い込んでくるニュースが、外国人移民とその移民の労働問題といったやや「重いテーマ」になるのですが(日本でいうと、行政書士と社労士の共管業務かな)、それも話題の一つで、ノルウェーにおいて「移民がありかなしか」みたいな問題提起の内容になっていません。 日本からノルウェーの文化がいくつか知られるのと同様、ノルウェーから日本文化もある程度知られているようで、柔道や日本ドラマ(ただし、著作権の関係か、映像は流れない。音声のみ)、五目並べ?囲碁?(この点後述)などいろいろ出てきます。多少は誇張した部分はあるのだろうと思いますが、上述したようにインスタの切り貼りのような「写真で見せる」タイプの、明示的に章立て形式はされないもののそのようなフシがあるこの映画で、日本文化が出てきたのはわかりやすかったかなといったところです。 そうした事情があるので、若干わかりにくい点はあるとしても、日本から遠く離れたノルウェーのゆっくりとした時間を映像として(というより、本映画では「写真として」見るといったほうが表現は良いかも)見る作品は、「ストーリー性には乏しいかもしれないが、癒し系映画としては」推せるといったところです。 採点は以下まで考慮していますがフルスコアです。 ------------------------------------------------------------- (減点0.2/五目並べか囲碁かをしているシーンについて) まず、五目並べでないことはぱっと見てわかります(当該シーンの右下ですでに「五」が完成しているため)。 では囲碁(日本ルールによる囲碁)かというと、多少知識があるとわかりますが、その可能性は低いです。なぜなら、盤面上の真ん中あたり(ルール上はこの位置(中心位置付近)を「天元」という)に石が何個もおかれているからです。囲碁のルールの性質上、自分の石(黒石か白石)を連結させることが有利になるので、周囲をすぐに囲まれるこの位置に序盤から打つ理由がほぼなく(このことは囲碁の一般的な動画でも初歩の段階でも説明される)、そう考えると囲碁の可能性もなく、じゃ何なんだろう…というのも気になります(中国式ルールの囲碁だとしても、上記に述べた「中心に序盤から打ちあう展開は通常存在しない」ため、やはりその可能性は低い)。 ただ、おそらくこの部分は深く監修がされなかったのであろう点であり(囲碁を本格的に扱う映画ならともかく、日本文化の一つとして出てくる囲碁(←厳密には中国発祥)が出ているだけであり、その不自然な点に関しては別に囲碁の監修などもされていないでしょうし(←「でしょうし」については、ノルウェー映画なので、エンディングロールがまるで読めないので確認もできない)、そこがどうであろうが、一応指摘はしますが(不思議なゲームやってるなぁ、くらいで、そんな論点突っ込むもアレか…)、採点幅はこんなところです。 なお、柔道をしているシーンもありますが、本格的に試合や練習といった部分もなく、柔道服を着てヨガ?をやっているような感じであり、ヨガが精神集中の一つによく取り入れられるように、ここも柔道かヨガかというのも本質論ではないような気がします(柔道という字幕は出るが、本格的に練習をしたり大会に出たりという展開にならないため)。 -------------------------------------------------------------
インスタグラムのような映画
オシャレなインスタグラムを、つなぎ合わせて作ったような感じで、どのカットもスタイリッシュでオシャレです。 ノルウェーの映画で、ノルウェーの町並みもオシャレに切り取ってます。 話的には、けっこう薄味で、やんわりメッセージを感じさせたりしますが、その辺は意識してるのか不明。 話を楽しむってより、オシャレさを楽しむ映画だと思います。 日本について言及したり、柔道着や浴衣を着て箸で食事するシーンや、日本語の映画かドラマを観てるシーンなど、日本好きの設定なのかな? 薄味だけど、オシャレだし悪くない。
癒された、癒されたい
ノルウェーの海辺の街 暮らす女二人と猫一匹 歌と椅子を贈り合い、 互いを癒し合う。 何だかあのラスト、 レズビアンの最終形態だと思ったよ 椅子に座る女二人、その背後で猫が動く それだけでいいじゃないのって 泣きそうになりました 静かなんだけどユーモアもあって、 時間が流れているのも分かる 異国の地で日本文化がたのしまれていると、 何だかうれしいね。つながった気持ちになるよ 誠実につくられた映画は 心に残り続けるんだと思うんだ vlogみたいに、毎週見たい もっと色々言いたいことはあるのに 言葉が出てこない、言葉は要らない? ヒューマン・ポジションがどういう位置づけなのか、 正直、わたしにはまだ分かることが出来ていない
回復途中の人間
2021年。アンダース・エンブレム監督。ノルウェーの港町で病気療養から復帰した女性記者と同居する彼女との静かな日々。記者として追いかける話題、椅子の修復をしている彼女との関係、坂道が多くアールヌーボーの美しい建築が多い街並み、などが描かれる。隣の部屋からのぞき込むような構図は開放的な空間が多い日本映画の影響だろう(柔道着や囲碁、見てる映画などからも日本映画へのオマージュは明らか)。 街並みや建物の構図のいちいちに物語上の要請とは異なるきめ細かい美意識を感じる。逆に物語は少々追いにくいけれども。お腹の傷と子どもは関係があるのか? 途中から難民問題が出てきて社会派ドラマの様相を呈していくが、あくまでも主眼は人間関係と映像の(絵画的な)構図にあるのだろう。だったら、より生活に身近な話題、あるいは街並みに由来した話題をエピソードにしたほうが意図がわかりやすいよなあと思てしまった。主人公と彼女との関係に対して、難民問題はあまりにも遠いので。でも静かで美しくてよい映画だった。
不幸な部分にも焦点を当てた作品
ノルウェーの最も美しい街に住むふたりの女性と猫のスローライフ🐈⬛ 言葉と風景がとても心地よく丁寧かつ静かに映し出されていました。後半、幸せの国の中にあるノルウェーの難民問題に追求していくアスタの心の居場所をそっと見守りながら終始穏やかな時間を過ごせました。
静かで穏やかな日常
自分の心の居場所を見出していく主人公のアスタ。 特にハプニングやドラマは一切起きない、とても静かなトーンの映画です。 同じ風景が何度か出てきて、行ったことないのに行ったことあるような不思議な感覚になりました。 監督が舞台となっているオーレスン出身という事なので、見せたい風景が沢山盛り込まれていたのかもしれません。 基本的に引いて固定して撮っているので、全シーンポストカードのようで目の保養になりました。飼っているにゃんこ可愛かった…!
何ごともないという幸せ
療養を明けの女性新聞記者の話。 仕事復帰の日の朝のまったりタイムから始まって、あらすじ紹介に記されたまんまの取材の様子と、ガールフレンドやネコとの様子をみせて行くけれど…固定された画角のスイッチングで繋いでいくし、何も無いシーンもたっぷりだし、セリフも少ないし、映像も内容も兎に角まったり、兎に角ぶつ切り。 急な日本贔屓も特に感じるものはなく、帯の位置高いなーぐらいw 心の居場所云々も、見つめ直したからと言ってという感じだし、終始冗長でショートで充分という印象。 ヒューマン・ポジションの低〜い自分には ネコがいなきゃ拷問に近い78分だった。
心と身体の傷を癒すのは
穏やかな日常と誰かを想うこと それは身近にいる人だったり、見知らぬ人だったり 誰かのために立ちあがろうとする時 そうやって少しずつ前に進んで行く 左前に着た柔道着で和食を作り、恋人と箸で不器用に食べる 小津のお茶漬けの味を見ながら、穏やかな表情で この会週一でやろうね。と
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