私にふさわしいホテルのレビュー・感想・評価
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分かってはいたが、また期待しすぎてしまった。
箸が近い!
多くの方が書いているように、のん主演の文壇コメディであることに惹かれて観に行った。予告編にも使われている「文豪コール」、あれを観るだけでも価値がある。そして予想通り面白かった。キレの良いセリフが小気味よく放たれ、何度も笑ってしまった。
原作の柚木麻子氏のコメントに「加代子を演じても嫌われない俳優さんが日本にいるのかな?という懸念」という一文があったが、のんという逸材を得てその懸念は単なる杞憂に終わったことが喜ばしい。
野心も敵意もむき出しにして突っ走っていく加代子なのに、どこか愛らしいのは演じたのん自身の魅力によるところが大きいと思う。可愛いのに女っぽい媚びた雰囲気が無い。だからこそ「女にモテる」のかもしれない。
コメディが面白いかどうかは演技力によるところも大きいと思うが、のん・滝藤賢一・田中圭の主要3人ともそれぞれのキャラクターの持ち味を引き出していてとても良かった。
普段好青年っぽい役柄が多く、イメージも好青年な田中圭が腹黒い遠藤先輩を演じているのも意外に合っている。
そして何より加代子の箸の持ち方よ…!焼きそばに触っちゃうほど短く持った箸。加代子ならそんな感じに持ちそうである。箸が短いから皿も近い。何においても貪欲で前のめりなキャラクターが良く出ている。ちなみに他作品では普通に持っていたので、俳優の演技の引き出しにはいつも感嘆しかない。
映画を観終わってから旦那と色々話し合うのが常なのだが、話し合っていて気づいたことがある。
この映画、主要なキャストである男性2人は「女かくあるべし」な作家・東十条と、子どもたちにいつまでもサンタクロースを信じていて欲しい編集者・遠藤だ。2人とも自分の理想を誰か(特に女性)に投影しているという共通点がある。
劇中1番笑ったセリフも「パパに夢見させてあげないと」だったのだが、実際、2人とも理想を押しつけ、その理想通りに振る舞わせることを通して支配権を握った気になっているのかもしれないが、その実周りの女たちに巧妙にコントロールされているのだ。
賢く立ち回る女たちの中で、実は1番不器用苦労を重ねているのは加代子だったりして。でも本当なら加代子みたいに豪快にスポットライトの下に飛び出して行けたら1番気持ちいいだろう。
加代子と関わったが故に要らぬ心労に祟られる東十条だが、彼もどこか憎めないのは加代子に翻弄されつつも、加代子からパワーを受け取って彼本来の欲求である「物語を書く」という行為に帰結していくからだ。
いつの間にか「既定路線」に乗っかってしまっている、という感覚は文学の賞レースでなく、日常生活でも感じることがある。
そんな時、「私にふさわしいホテル」を観て自分を見つめ直すことが出来る気がする。
文壇の大御所ベテラン作家とデビュー作以降は鳴かず飛ばずの新人作家。妙な接点から始まる二人の作家の人生模様を、暖かくもコミカルに描いた人間ドラマです。
主演がのんということで、今年の初鑑賞はこの作品かな? と
思ってました。「山の上ホテル」にも興味があったので、それ
も後押しして鑑賞してきました。・_・☆
作家二人(新人作家♀とベテラン作家♂)+編集者♂一人。
中心となる登場人物は、3人と言って良いかも です。・_・
その3名とは
★新人作家♀ = のん こじらせ作家を好演。…怪演?
★ベテラン作家♂ = 滝藤賢一 出版界への影響力が大なヒト。
★編集者♂ = 田中圭 文芸誌の編集者。能力はあるが…
新人賞を取ったものの、そのデビュー作を散々にこき下ろされ
それ以来鳴かず飛ばずの若手女流小説家を演じたのが「のん」。
自分を貶した作家への「復讐心?」に燃える女。 …こわー @_@
人気作家の「缶詰」気分を味わうため、自腹で山の上ホテルに
泊まっていたところに、大学時代の先輩が乱入してきた。
ロビーでたまたま見かけたと言うのだが、山の上ホテルに来た本来
の訪問先は、スイートルームに宿泊中のベテラン作家♂。
創刊50周年を迎えた文芸誌に、50名の作家の小説を載せる企画
の目玉となる小説を執筆中だ …と口にする編集者♂。
どうやら原稿の締切りギリギリらしく、落とされたらマズい、とも。
それを聞き悪いコトを思いつく新人作家♀。 目がキラリ。
” 万が一原稿が落ちたら、代わりが必要ですよね ”
かくして、原稿執筆を邪魔してやれ大作戦が始まった。
ベテラン作家♂ は、無事に原稿を書き上げられるのか?
新人作家♀は、見事に本懐(?)を遂げられるのか?
というお話。…かと思って観ていたのですが…。
それはこのお話の、冒頭のエピソードでした ・△・ あら
無事(?)原稿を落とすベテラン作家先生。 激怒。
代わりに新人作家♀原稿が掲載されることに。 やったネ
怒り心頭のベテラン作家。
” …この代わりの原稿の作者、邪魔したアイツだ! ”
その後も、名を変え作家家業にいそしむ「のん」。
単行本を出版する話がベテラン作家の横やりで潰されたり
候補に上がった文芸賞審査員にベテラン作家♂が居たりと
熱く、時にはコソクな手段でバトルが繰り広げられる訳で
何ともコミカルな雰囲気のストーリーでした。
のん観たさの鑑賞だったので、その点でまず満足したのですが
物語としてしっかりした作品だったので、なお満足です。・_・v
観て良かった。
※パンフレット売り切れで買えなかったコトだけ残念。むう。
◇
全体振り返ってみると、のんの面目躍如な作品。でしょうか。
くすっと笑ってしまう軽妙な会話が全体を通して散りばめられていま
すが、ベテラン作家と新人作家の関係性が次第に変化していく様子の
描写がなんとも言えぬ味わいで、良かったです。
一筋縄では行かないこじらせ女を演じたら、のんはやはり素晴らしい
そう改めて感じた作品です。
それにしても冒頭からラストまで、いったい何年経過したのでしょう?
◇あれこれ
■正体(…というか複数のPNの由来)
作中では、のんの名前が(ペンネーム)がころころ変わります。
中島加代子、相田大樹、白鳥氷、有森樹李… @△@;
(覚えきれませんでした。↑は、このサイトの紹介文より抜粋)
ペンネームの由来それぞれ何かあるのかな? と思案中。?-?
※白鳥氷は分かります。なんと氷の彫刻から…って あれ)
それにしても、デビュー直後から名前を変え続けるのって、
作者にとってデメリットにしかならないような気がします。
※どう考えても、名前を覚えてもらえないデス…
複数のPNを使い分けた現実の作家さんというと
栗本薫さん(あるときは中島梓さん)くらいしか思い浮かびませんが
他にもいるのでしょうか? はて
■ダサい装丁
のんが何度もこき下ろした「本の装丁」。もしかしたら
「カリスマ書店員(橋本愛)が装丁デザイン者」??
と、ハラハラしながら行方を見守ってしまいました。
装丁や表紙イラストで ” この作家はこれでしょ ”
というイメージが定着するケースもあると思うのですが、作家側から
「この人に依頼したい」という要望は出せないのかな? とも。。
…はっ もしや のんが自分でデザインしたのか? (自虐)
■虚構と現実
現実世界と非現実世界。
その境界の上をフラフラと歩いているような、一種の危うさを感じ
させるストーリー構成だったような気もしています。
あれだけ同じカオの女性が登場しても「他人です」と言われると
「そうなのかぁ?」と納得(?)する東十条先生。大物です。
ギリギリの範囲内で、現実世界の話に踏みとどまる、絶妙なバラ
ンス感覚を感じました。こういうのも、悪くないです。
■選ぶか選ばないか。それが問題だ
東十条センセイ。文芸賞の選考委員として誰の小説を推すのかな? と、
話の行方を見守ったのですが
「審査会の会場に現れない」
という選択肢でした。
それがありましたか…。なるほど。
ワザとか、もしくは創作意欲に火がついて、本気で審査会のコトを
忘れてしまったか。 うん。東十条先生。大物です。
■レッテル貼り
見つけた素材にレッテルを貼る。そのことの功罪にも触れていました。
” イノセントな才能 ”
” 君ならできる ”
” 絶対に書ける ”
そう言われれば言われるほど、期待に応えられない無力感を感じてし
まうタイプの人って、確かに居ると思います。
あの新人高校生作家が、いずれまた小説を書く日がくればいいなぁ。
■本は凶器(…狂気?)
逃げる万引き犯に向かって本を投げつけるのん
ハードカバーの本って、カドの部分が当たると痛そう…
さらに、本が当たって倒れた相手へのマウント&ラッシュ。おお
過剰防衛(?)で訴えられないと良いのですが… ・△・;
◇最後に
わざとらしい設定の場面で、芝居がかったセリフを口にする。
それでも白々しくならないタイプの役者がいると思います。
この作品の主役は「のん」ならばこそ、と感じました。
やはり「のん」は、希有な才能の女優さんです。・_・
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
山の上ホテルと衣装は良かったが
のんさんの魅力あふれる秀作だと思われました、気になっている人は是非‥
(完全ネタバレなので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、今作を大変面白く観ました。
特に、主人公・中島加代子(相田大樹/白鳥氷/有森樹李)を演じた、のんさんの魅力があふれる秀作になっていたと思われます。
今作の映画『私にふさわしいホテル』は、作品内容としては以下の3点の良さが個人的にはあったと思われます。
1.主人公・中島加代子の、文学(あるいは対立する大物作家・東十条宗典(滝藤賢一さん))に対する深いリスペクト
2.1のリスペクトありながら、あくまで主人公は自分だと、自分発信に変換するこだわり
3.(自身の具体的出自ではなく)表現された作品こそが重要だとの主張
まず、私的感じた作品の1点目の良さの具体的内容は以下だったと思われます。
主人公・中島加代子は、相田大樹の著者名で新人賞を取るのですが、大物作家・東十条宗典からその作品を酷評され、以降の作家生活に苦労し、東十条宗典への恨みを晴らすことを誓います。
しかし一方で、主人公・中島加代子は、大物作家・東十条宗典の作品を全て読んでいて、東十条宗典の好きな歌まで把握していて、根底には東十条宗典への、あるいは文学全般に対しての、≪リスペクト≫があります。
この、主人公・中島加代子の、その≪相手や場への多大なリスペクト≫が、1点目の作品の良さだったと思われます。
私的感じた作品の2点目の良さは以下です。
しかし、主人公・中島加代子は、相手や場への多大なリスペクトがありながら、決してその相手や場への【依存的な態度】は取りません。
主人公・中島加代子は、相手や場へのリスペクトを、あくまで[自分発信へと常に置き換え]、自分からの表現に転換して行きます。
この(1点目の、相手や場へのリスペクトとは真逆とも思える)、あくまで[自分発信へと常に変換する]主人公・中島加代子の表現のやり方が、2点目の良さだと思われました。
そして、私的感じた作品の3点目の良さが以下だと思われます。
主人公・中島加代子は、大物作家・東十条宗典と一時休戦をして、2人を蔑ろにする発言をしていた編集者・遠藤道雄(田中圭さん)に反撃するために、クリスマスの日にトナカイとサンタの扮装をそれぞれして、遠藤道雄の子供たちを騙して彼のホテルの部屋に乗り込もうとします。
その作戦は遠藤道雄の子供たちに嘘サンタだと見破られ失敗するのですが、その帰りの歩道橋の上で、大物作家・東十条宗典は、主人公・中島加代子の出自を聞き出そうとします。
しかし主人公・中島加代子は、大物作家・東十条宗典の作品の中の愛人の子供だと嘘のかわし方をしながら、<出自よりも作品の方が大事だ>、との趣旨の主張をします。
この場面での、主人公・中島加代子の、<出自よりも作品の方が大事だ>との主張は、私には優れていると感じられました。
なぜなら、どんな人もそれぞれの出自を持っていますが、いざ人々の関係性や社会の中に入って行くとそこで歪みが生じます。
そして、その人の(出自そのものではなく)出自と、関係性や社会とを、<橋渡しする歪み>の方が重要になると思われるのです。
つまり、1観客の私には、個人の出自と、関係性や社会とを、<橋渡しする歪み>こそが、<表現であり作品>であり、その<(出自と、関係性や社会を橋渡しする)表現や作品>の方が大切じゃないか!と主人公・中島加代子は主張していると、感じられたのです。
[2.自分発信の強さ]と、≪1.相手や場へのリスペクトの深さ≫は、それぞれ真逆ですが、両者が強く深くあればあるほど両者の歪みや矛盾は増大し、<3.両者を取り結ぶ表現>は強度と深度の要求を増して行くと思われます。
その(個人の出自と、関係性や社会とを)<橋渡しする歪み(矛盾)である表現(作品)>こそ重要なのだ!、という主人公・中島加代子の主張は、今作を通じて根底の一貫性があり、私達の普遍性にも通じていて、静かな感銘を受ける内容になっていたと思われました。
以上の私的感じた作品の3点の良さが、今作の映画『私にふさわしいホテル』を全体を通して優れた作品にしていると思われ、さらに、主人公・中島加代子を演じたのんさんの強さと深さと幅のある説得力ある演技によって具体化され、今作を秀作にしていると、僭越ながら思われました。
惜しまれるのは今作の時代背景が1980年代の話であった所で、仮に今作の設定が現在に置き換えられ、今の文学状況も踏まえた上での現在の私達をリアルに突き刺す内容になっていたとすれば、今作は(私的)傑作にもなり得たとは、一方で思われました。
しかしそれを差し引いても今作は、のんさんの魅力も爆発している素晴らしい秀作であったと、僭越ながら思われました。
のん
楽しい
A277 のんちゃんホンマにかわいい
2024年公開
のんちゃん7変化。どれも可愛い。
コメディとして突き抜けた演技をそつなくこなす。
オーバーアクションも嫌味なく
文豪コール大笑い
これほどレベルの高い女優さん他にいる?
原作がいいのか脚本が素晴らしいのか
セリフが生き生きしているが
これものんちゃんあってのものか?
のんちゃんに振り回される静の田中圭。
同じくヒステリックな滝藤賢一。
うまく絡んでいる。
音楽も静かながら個性を主張していて良き!
堤幸彦っていつも狙いがミエミエなのが
今一つですが、これまたのんちゃんのお陰で
失速ぎみ三谷幸喜風良作に。
それと干されていたのんちゃんの心の叫びが
よーく聞こえてきます。
なのに
なぜ2週間でおしまい?
80点(のんちゃんの可愛さにプラス10点)
鑑賞 2025年1月8日 イオンシネマ草津
パンフ購入¥900(小さいのにたけー)
配給 日活/KDDI
原作は読んでいません。のんさんを観たくて行った映画です。二つの時...
原作は読んでいません。のんさんを観たくて行った映画です。二つの時代(昭和40年代後半?と令和)での物語かと思いますが、50年違う両時代の主人公を老けメイクも無しでのんさんだけで通したり、出だしの風景では地下鉄丸の内線の車両は新型なのに、遠藤(田中 圭)との会話では学生運動数年後のようで時代混乱します。観る側の立場からもう少し丁寧に作ってもらえたらという印象を受けます。
のんさんは「新しい世界に飛び込んで、先輩に怒られ、愛され、育てられていく少し天然入った成長新米女子」と「何でそんな事をするの?という行動を行い、すぐにキレて騒動起こす女子」の二つの女子を演じることでは唯一無二の女優さん。しかし前者は三十代になって、新米女子はそろそろ微妙になってきており、今後は後者一本、正にこの映画の役どころにピッタリと期待していたのですが、敵役である東十条(滝藤 賢一)が原作はもっとひどかったのかもしれませんが、映画ではそれほど極悪人に見えず、「いいぞ、いいぞ、やっちゃえー」とはなれず、総じて主人公の悪騒ぎ・空騒ぎに映ってしまった感が否めません。
とはいえ、あいかわらず表情豊かで、色々な姿(ドレスや着物、髪型など)を見せてくれるのんさんを観るだけでもファンには価値ある映画でした。(七変化しているし、三谷幸喜監督の「スオミの話をしよう」みたい(笑))
中島をくいとめて
もちのろんです‼️❓倍返しじゃー‼️❓
いやはや、はちゃめちゃなのに面白い、いや、はちゃめちゃだから面白い、この演技はのんにしか出来ない、いや、のんに合わせた演出なんだろう、のんの演技が七変化、のんの衣装が姿が七変化、映画館が久々に笑いに包まれる、でも、ある種の緊張感、侍タイムスリツパーの時と同じような緊張感、立ち位置は違うが同種の匂い感じる、あゝ、アカデミー賞級の演技だ、素晴らしい、最高。
ところでのんに合わせる田中圭と滝藤の演技もすごい👍、不自然を自然に演じる姿がすごい、滝藤の家族もすごい、コメディなのに鬼気迫るのんに合わせるのがすごい、橋本愛もピンポイントに凄い、あゝ、笑えて腸捻転で、苦しくて、どうしてくれるんじゃー、ありがとうございました😭
のんにふさわしい役柄
大好きなのんちゃんが作家を演じる昭和文壇コメディー「私にふさわしいホテル」。舞台となった文豪御用達の御茶ノ水「山の上ホテル」は2024年2月で一時休館となり最後のロケとなったこの映画のエンドロールに館内各所の姿を留めた。所謂文壇大御所の意見に左右され新人賞を受賞しながらハブられ続ける主人公(中島加代子)に惜しまれる二十代を芸能界で干されてきたのんがあまりにもリアルにシンクロしてこれまでにない痛快はちゃめちゃリベンジ下剋上劇が生れた。原作者の柚木麻子が絶賛するように、主人公が1ミリの反省もなく自己中を貫き通し、担当編集者とも睨み合うだけで恋愛要素を全く排したことが素晴らしい。きらきら輝く瞳で暴れまくるのんを応援するのみ。
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