劇場公開日 2024年12月27日

「今年の〆の映画として観たが・・・」私にふさわしいホテル 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0今年の〆の映画として観たが・・・

2024年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

稀代のヒロイン。俺はのんをそう思っている。未だ事務所退所問題の影響なのか、出演作が限られる彼女だが、ここ数年の限られた出演作で、スクリーンに釘付けにする吸引力、独特の魅力、他の女優は真似のできない唯一無二の存在感を感じて来た。

なので、この作品の記事を見てから、公開を心待ちにしていた。

【物語】
加代子(のん)は短編小説で出版社の新人賞を受賞し、プロの小説家として道が開けたと思ったのも束の間、その受賞作を大御所作家・東十条宗典に酷評され世間の期待は一気にしぼんでしまう。 その後何作書いても出版社に評価されず、1冊の本も出せずに3年が経過する。それでも書くことを諦めていない加代子は、ある日名だたる文豪に愛された「山の上ホテル」に自費で泊って執筆に勤しもうとしていた。

ところが、彼女の部屋に大学時代の先輩であり、大手出版社の編集者・遠藤がひょいとやって来る。彼はたまたま同じホテルのスイートルームに東十条を缶詰にして作品を書かせようとしていたのだった。 東十条は翌朝までに作品を書き上げないと遠藤が携わっている文芸雑誌の記念特集に穴をあけることになることを聞いた加代子は、東十条が穴を開ければ自分の作品をねじ込むチャンスだと悟る。 加代子は東十条への絶好の復讐の機会がやってきたと、彼の執筆の邪魔を画策する。

その日を起点に加代子と東十条の因縁はさらに深いものとなって行く。

【感想】
うう~ん・・・
まあ、結構笑えたし、面白かったのだが、期待が大きかっただけに、満足するところには至らなかった。

本作の目的はのん観賞に尽きるのだが、今回はちょっとのんが空回りしているように感じた。のんはいつも魅力的ヒロインを演じるのだけれど、決して正統派のヒロインではない。個性的と言うか、ユニークと言うか、ひらたく言えば変人のような役が多い。 そう、普通は変人としか思われないキャラをのんが演じると不思議なほど魅力的に見えてしまうのだ。 が、今回のキャラは少々度が過ぎたかも。“変わり者”の範疇を越えて、異常な振る舞いのレベルにまで行ってしまって、「コメディーだから」と言ってしまえばそれまでだが、演技的にも、やり過ぎというか、イタイ感じさえしてしまった。少なくとも本作では唯一無二感は無かった。

対象的に田中圭はもの凄く抑えた演技で、作品としてはそれでバランスが取れているとも言えるのだけれど、俺はのんの魅力を堪能するために映画館に行ったわけで、そういう意味で満足できなかった。

のん目当てではなく、大き過ぎる期待も持たずに、「ふらっと入った映画館で観た」という人なら楽しめるかな。

泣き虫オヤジ