美食家ダリのレストラン

劇場公開日:

美食家ダリのレストラン

解説

画家サルバドール・ダリの住むスペインの海辺の街を舞台に、若き天才シェフによる革命的なレストランの誕生を描いたドラマ。

1974年、フランコ政権末期のスペイン。大都市バルセロナの一流フレンチレストランを追われた料理人フェルナンドとその弟アルベルトは、友人フランソワの伝手で海辺の街カダケスにやってくる。彼らを迎え入れたのは魅力的な海洋生物学者ロラと、その父でレストラン「シュルレアル」を営むジュールズ。この街に住む画家ダリを崇拝するジュールズは、いつかダリにディナーを食べてもらうことを目標に、ありとあらゆる無謀な試みに挑戦し続けていた。そんな彼らの存在は、フェルナンドの料理の世界に唯一無二のインスピレーションをもたらしていく。

「プラットフォーム」のイバン・マサゲがフェルナンド、「シティーコップ 余命30日?!のヒーロー」のホセ・ガルシアがジュールズを演じた。監督・脚本は、ダリや伝説的レストラン「エル・ブジ」についてのドキュメンタリー映画を手がけた実績を持つダビッド・プジョル。

2023年製作/115分/G/スペイン
原題または英題:Esperando a Dali
配給:ファインフィルムズ、コムストック・グループ
劇場公開日:2024年8月16日

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映画レビュー

4.5ヨーロッパのエスプリが香り立つ食と人生の物語

2024年8月25日
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鑑賞方法:その他

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偶然、同じ季節に公開されるフレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー映画『至福のレストラン 三つ星トロワグロ』と同じくシェフと厨房が主な舞台になっているものの、こっちは事実とフィクションを上手に配合し、そこに独特のユーモアを振りかけてこれまた格別の味わいだ。

独裁政権が崩壊したバルセロナを脱出し、海辺の街にあるレストランで働くことになったシェフとその弟が出会うのは、当時"シュルレアリズム(超現実主義)の権化"として話題作を連打していた芸術家、サルバドール・ダリを崇拝するレストラン・オーナー。料理に命と人生を賭ける天才シェフと、ダリが好き過ぎて店の名前も"シュルレアル"にしてダリの来店を心待ちにしているオーナー。そこに、姿を現しそうでなかなか現さないダリのユーモアとミステリーが絡んで、映画は夢を追うこと、童心を持ち続けること、美味しい料理がもたらす人生の新たな可能性を描いて、心底心地よい気分にさせてくれる。こういうヨーロッパ映画(スペイン製作)を年に後数本は観たいものだ。

シェフは"世界一予約が取れない店"と言われるスペインの三つ星レストラン、"エル・フジ"のシェフ、フェラン・アドリアがモデルで、監督のダビッド・プジョルは"エル・フジ"のドキュメントとダリに関するドキュメントを手掛けたことがあるのだとか。蓄積した事実に上にこそ極上のドラマが生まれる。一流の料理には上質の素材が不可欠なのと同じだ。

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清藤秀人

3.0ピートタウンゼンド顔だ!

2024年9月25日
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トミー

3.0本作は、ダリの住む地中海沿岸の街のレストランが舞台。脚本・監督のダビッド・プジョルが、自身のドキュメンタリーで取り上げたことのある天才2人をフィクションの中で出会わせた、遊び心あふれる一作です。

2024年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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萌える

映画『美食家ダリのレストラン』作品レビュー

 “もしも、スペイン生まれのシュールレアリスムの巨匠サルバドール・ダリと美食家が集う聖地として名をはせた三ツ星レストラン「エル・ブリ」の料理長フェラン・アドリアという2人の天才が、同じ時代に活躍していたとしたら。
 本作は、ダリの住む地中海沿岸の街のレストランが舞台。脚本・監督のダビッド・プジョルが、自身のドキュメンタリーで取り上げたことのある天才2人をフィクションの中で出会わせた、遊び心あふれる一作です。

●ストーリー
 1974年、フランコ政権末期のスペイン。事情あってバルセロナを追われ、友人のつてを頼って海辺の町カダケスにやって来た腕利きのシェフのフェルナンド(イバン・マサゲ)と弟のアルベルト(ポル・ロペス)。
 そこでは友人フランソワと彼の恋人で魅力的な海洋生物学者のロラが出迎えます。ロラの口添えでふたりは、彼女の父親のジュールズが経営しているレストラン「シュルレアル」で働くことに。この町はダリが住む有名な観光地で、ジュールズは熱狂的なダリのファンでした。ジュールズは美食家で知られるダリをいつか客として迎えるという野望をかなえため、ありとあらゆる無謀な試みに奔走しながら、情熱を謳い続けるのです。
 しかし突然店のシェフがやめてしまい、料理が出せなくなってしまいます。そこでジュールズは、競争厳しいバルセロナのシェフとして腕をふるってきたフェルナンドの腕前を見込んで、急遽店の料理長に抜擢するのでした。
 フェルナンドは、初めはダリに無関心だったものの、徐々にその才能に感化されていきます。
 やがてそのカオスはフェルナンドの料理に新たな風をもたらし、革命的シェフの誕生を呼ぶことになります。
 果たして、ジュールズの悲願通り、ダリは「シュルレアル」を訪れるのだろうか…?

●解説
 ジュールズは商売敵の店に行くダリに何とか来店してもらおうと、ダリ夫人のもとに何度も押しかけます。料理の昧はそっちのけで、思いもよらぬ手段を弄する姿は笑いを通り越してドタバタの趣です。更に、うぶな弟の恋愛や、フェルナンドとロラと友人の三角関係まで勃発し、町の住人たちも巻き込んだカオスへと突入していくのです。
 こんな訳のわからぬ事態の中で「新しい料理」は生まれるのかと危惧してしまう展開となります。
 そんなカオスな展開にあっけに取られる瞬間もありつつ、「シュルレアル」には、「溶けた時計」や「卵」のオブジェ、「ロブスター電話」ら、ダリのアートを模したオブジェが溢れ、「エル・ブジ」て実際に提供されていた独創的なメニューの数々が登場します。目にもおいしそうな料理の数々を楽しむうちに、心が軽くなっていくこと請けあいです。 野心や嫉妬、固執などが時に大きく表に現れるものの、どの人物にも気の抜けたようなおかしさがあり、地中海の風と光に溶け込んで柔らかな物語を生み出しました。ダリは崇拝のアイコンに過ぎず、料理の美しさもさることながら、人を慈しむ心があふれ出す味付けとなっています。鑑賞後の爽快感も格別です。

●最後にひと言
 フェルナンドのモデルは、世界一と評されたレストラン「エル・ブジ」シェフのフェラン・アドリア。
 プジョル監督が店内でドキュメンタリーを撮影中、「ここにもしダリが来たら?」と夢想したのが発端だそうです。
 「2人は緻密に計算しながら自由に創造する。伝統に敬意を払いつつ革新を遂げる。そこが共通点。ダリの家とエル・ブジは割と近所で、時代的にズレていて接点はなかったけれど「美食家ダリがフェランの料理を」というアイデアはとてもそそるものがあった」とプジョル監督は語ります。
 ジュールズのモデルは、エル・ブジの共同経営者ジュリ・ソレール。「慎重で緻密なフェランと反対に、おおらかで人好きで夢を追いかける。こんな2人が一緒になれば強い推進力が生まれる。それを物語にも生かした」
 プジョル監督はダリのドキュメンタリーを3本撮った実績があります。本作でダリは、姿をはっきり見せないことで存在感を演出。加えてダリの特徴的な作品に似せたオブジェでレストラン「シュルレアル」を埋め尽くし、ロラが「自己中でぶっ飛んでいる」と嘆くジュールズのダリ愛を強調しています。
 ダリと同郷なのが私の誇りというプジョル監督。そんな監督がダリの絵でひかれるのは青い海と黒い岩のコントラストだそうです。やはり地中海の風景ですから。フェランの料理も皿の上のコントラストが美しいことが特徴で、劇中のフェルナンドの料理もそれにならって、鮮やかでした。

☆本作で食の監修とメニューを提供している「エル・ブリ」について
「分子ガストロノミー」で一世を風靡したスペインの3つ星レストラン>
2011年に多忙を理由に閉店しましたが、2022年4月に食専門の研究所として復活しました。
【参考】プジョル監督作品/映画『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』予告編

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流山の小地蔵

3.5ほっこり出来て良い作品だった。

2024年9月16日
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鑑賞方法:映画館

海辺の美しい景色も美味しそうな料理の数々もダリを絡めたお話もどれもほっこりできるまとまりだったんだけど…メインテーマが分散されたような…。オーナー目線で楽しむのか、改革のお尋ね者になった兄弟目線で見入るのか、微妙に分散されてしまったような。それでも映像は魅力的でした。

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peanuts