「予告だけ見て期待外れのバイク映画」ザ・バイクライダーズ むせるさんの映画レビュー(感想・評価)
予告だけ見て期待外れのバイク映画
内容は1960年代後半アメリカ・シカゴに実在したバイク倶楽部写真集を元にしたドキュメンタリー映画。
過去に名作「イージー・ライダー」もあるが本家本元イギリスの「ロッカーズ」スタイルかな?と密かに期待したが...スピード&ドラッグ&SEXはない(本家はトライアンフやBSAなど当時世界最速だった)
残念ながら「ハーレー・ダビッドソン」にスピードを求めるのは酷というもの。
主演俳優も幼い顔の俳優ではなく、60年代当時の雰囲気を壊さないキャスト起用。
リーダーが「マッドマックス怒りのデスロード」のマックス役の人だった。
ライダージャケットも本物を元にレプリカ制作、当時の人々の風俗やファッションも見れて「バックトゥザフューチャー」みたいで面白い(作中のTV番組も一見の価値あり)
作中のセリフで...
「(世の中に)居場所がないから仲間をつくる」
「(世の中の)ルールを守れないのに自分達で(縛る)ルールを作り縛られている」
...などバイク乗りという人種を的確に表しているのに「東西問わず昔から変化がないんだな...」と苦笑い。
「イージーライダー」と違い、バッドエンドの結末ではなかったのは幸いだった。
倶楽部内で古参メンバーと新参メンバーの内部分裂、古参メンバーが倶楽部を抜けることを許さないリーダーの制裁は日本の暴走族となんら変わらないではないか?
リーダーが一度門前払いした新参メンバーに倒され、新参メンバーが勢力拡大~巨大化&ギャング化していく様は哀しいモノがある。
主人公やリーダーも喧嘩が強くなく冒頭で主人公が酒場で一般人にノされたり古参メンバーが他のバイク倶楽部との抗争で負け、かたき討ちすることなく逆に古参メンバーの足を打ち抜くリーダーらしからぬ思考&行動って?、とは思う。
因みに自分が20代の頃所属してたバイク倶楽部と同じく新参者が増え次第にリーダーにも手に負えなくなり他所でトラブルを起こした面子が加入、雰囲気が悪くなって人間関係が面倒になり人が去る。全く既視感ある映画だった。
「哲学」を持たない登場人物(主人公とリーダー)ばかりで「既婚者でナニをやってるんだ?」と突っ込みを入れたくなる(日本の厩舎会も同類だが)
まだ吉田聡の「湘南爆走族」「荒くれナイト」、東本昌平「キリン」の方がよっぽど哲学的なセリフを言うぞ。