ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
全95件中、1~20件目を表示
哲学的なスポーツアニメはとても斬新だった
原作は鑑賞後に読んだ。
2時間にまとめるためとはいえ、ここまで大胆な高校生編の改変は勇気がいっただろうなと思う。
当たり前だけれど原作の方が流れがスムーズだし、映画だけだと物足りないと思ったところは原作だと細かく描かれていたので、映画と原作両方合わせて楽しむと良いと思う。
映画での大胆な改変は悪くはなく、映画の方がよりリアルさが増していた。ちょうど世界陸上のシーズンで連日日本陸上選手の活躍に胸が熱くなっていたところだったのも大きい。
ロトスコープの手法を使っていたことで、直近で世界陸上を見ている人たちにも、肝心の走りや走る前の動作などが嘘っぽくなく、リアルな陸上として楽しむことができた。
私はスポ根ものが大好きなので、題材的にも好みドンピシャだったけれど、この「ひゃくえむ。」は作者の特徴もあり、他のスポ根ものとは一角を画す。
それは、スポ根ものだけれどフィジカル面についてより、内面の真理を追求する哲学的な面が強いからだ。
キャラクターひとりひとりが放つ言葉は、様々な立場にいる私たちにも違った形で届く。
私も何度かグッと掴まれた言葉があった。
是非映画館でその言葉たちを受け取ってほしい。
最後のエンドロールで流れる髭男の「らしさ」もとてもよく、あまりの歌詞の良さに涙が出た。
またひとつ人生の応援歌が増えた。
もうひとつ言及したいのが、松坂桃李くんの声優も素晴らしさ!
滑舌がいいからとても聞きやすく、声も主人公にすごくあっていて、プロ声優の中で演技をされていても全く違和感がなかった。本当にすごい!
「ひゃくえむ。」は、100mのたった10秒に自分の人生をかける人たちの、成長や挫折、迷いや不安、奮起や勇気が作品を通して散りばめられていて、見終わった後に、自分も頑張ろうと思わせてくれる素敵な作品でした。
「100メートル走」という陸上競技を題材に繰り広げられる物語。特に“10秒の世界”に凝縮された人生観の変遷と、意欲的な作画は一見の価値アリ!
本作はアニメ化もされた「チ。 地球の運動について」で知られる漫画家・魚豊の連載デビュー作。「100メートル走」という陸上競技を題材に繰り広げられる物語です。
登場人物たちが人生をかけて臨んでいる「日本記録を持つようなトップランナー」を中心に描いているため、セリフが達観しているなど興味深く、物語として面白くなっています。
「100メートル走」は“10秒の世界”なので、凝縮された人生観となっていて、特に主人公の変遷が丁寧に描かれています。
最終的に到達する「正解」とは何なのか、そして、それを踏まえたラストシーンは必見レベルでしょう。
また、意欲的な作画も多くあって見応えがあります。
本作では、小学生時代、中学生時代。高校生時代、そこから10年後の社会人時代を描いているので、登場人物の名前はしっかり覚えておきましょう。
主人公の「トガシ」、トガシが小学生の時に出会う転校生の「小宮」。トガシと小宮が小学生時代に出会う中学生部門1位の「仁神(にがみ)」。15歳でインターハイ優勝し日本新記録を打ち立てた絶対王者「財津」。社会人時代のトガシの実業団チームにおけるエース「海棠」。この5人はキチンと覚えながら見るようにしてみてください。
「ルックバック」や「ピンポン THE ANIMATION」が好きな人には刺さりやすいと思われる一見の価値のある作品です。
実写よりも現実らしい描写と感情に心揺さぶられました
原作未読で鑑賞しました。
個人的に今年No.1です。
小学生の頃の足の速さの憧れに、ずっと向き合ってきた二人の物語。
余分な要素は一切なく、節目節目が繊細かつ儚く描かれているため、ダレることなく最後まで楽しめました。
音響と映像の緩急がしっかりと感情を補完していて、
10秒で残酷な事実を突きつける100m走というものが、全く陸上経験のない自分にも少し分かる内容になっていました。
最後に全力で走ったのはいつだったか、そんなことまで感じさせてくれる素晴らしい作品でした。
疾走感動の100分間
原作は未読だが、今年のマイベストTVアニメ「チ。」の魚豊先生の作品と知って、まず面白さは保証つきだと予想。直近で「川島明のそもそもの話」というラジオ番組に魚豊先生がゲストで出ておられ、本作のことも話しておられたのを聴いてさらに期待が膨らみ、観ないという選択肢はなくなった。
はたして、予想以上の出来で文句をつけるところがひとつも思いつかない。
良かったところが多すぎて上げるとキリがないが、いくつか記載。
①上映時間がこれ以上ないほど完璧。長すぎず、短かすぎず、場面の切り替わりのキレが良く、大袈裟でなくムダなシーンは1秒たりとも存在しない。30分刻みのシリーズ作品にしなかったのが英断。原作にどれだけ忠実なのか判断できないが、TVアニメでなく、続編を予感させるものでもなく、1本の映画として完成度が非常に高い。音楽も映像も素晴らしいので映画館で観るべき作品となっている。
②映像が凄まじい。全速で走るシーンが全く違和感なくリアル。実写をアニメに仕立て直す技術や、中盤の雨のシーン、必死の形相や泣き顔が作画崩壊寸前の絶妙なヘタウマ感で表現される絵画的なタッチ。それも技術を見せつけるためではなく、徹底してストーリーと登場人物の心象描写にリンクしているので、悉くハマって心動かされる。
昨今のバトル系アニメやアイドル・ファンタジー系アニメとは全く別の、日本人らしい、古くて新しい(?)独自のアニメ表現に終始圧倒された。
③ランナーのキャラ設定が魅力的で、そのキャストも皆適役ぞろい。話題作りのためのタレントにわか声優ではなく、主役のふたりは本人がモデルみたいにイメージ通りで全く違和感がない。この作品唯一の違和感といえば、津田ケンの役柄が現役ランナーだったこと。あの渋さなら、絶対鬼コーチ役とかだと思っていたので。マイナス要因では全然ないけど驚きました。
また、逐一沁みるセリフが多く、自分のような60過ぎの年代にも響く名言揃い。20代の魚豊先生、本物の天才。最後の方はずっと涙がにじんだ状態でスクリーンを観ていて、エンドクレジット髭ダンの「らしさ」にとどめを刺された。大好きな作品です。
マジで本気で‼️❓不安や苦しみを考えて‼️❓過去でも未来でも無く今の十秒をひたすらに‼️❓
100mを誰よりも速く走れば、全部解決する
展開早すぎるけどよくまとまっている
2025年劇場鑑賞255本目。
エンドロール後映像無し。
原作未読。100m走の選手の話。ホントなんにも知らないで行ったので、松坂桃李と染谷将太だってエンドロール見ても気づきませんでした。字ちっちゃいねん。レビュー書く時映画ドットコムのキャスト紹介で初めて知りました。それくらい声優陣と違和感なかったってことです。
原作はもっと長いんだろうな、と思うくらいとんだな、という感じでした。3部制になっているのですが、2部から3部の間が特に語られていないキャラとの関係がいっぱいありそうだなと。でも変に続編作るんじゃなくて、この映画で完結させようという意思が感じられて潔いと思いました。
自分は運動好きじゃないので走る事への楽しさとか全く分かりませんし、なんなら冒頭の辛い現実から逃げるためにもっと辛い思いをするんだ、という言葉の方が納得できるくらいなのですが、それでも彼らが走る様々な理由にも納得できる話になっていました。気持ちだけでこんなに速く走れるわけねぇだろ、とは思いますが物語としては面白かったです。
途中の雨は降り過ぎだと思いますが(笑)
一言で言うと!観て良かった!超真面目な内容!
幸せ者たち
100メートル走と哲学対話
原作は未読。ノーマークの作品だったが、採点の高さを見て鑑賞。原作のファンが点数を引き上げているのではないかと思ったが違った。評価は本物だった。(逆に原作ファンは評価が厳しい)
あらゆるスポーツ競技の中で、最も短い競技時間であり、たった一人の勝者は、地位や名誉や報酬を得る。しかし、短い競技時間に人生の全てをかける競技者の思いや苦悩は、見ているものには分からない。その競技者の思いや生き様に視点を当てる作品。スポーツ漫画の多くは、主人公が競技と出会い、その魅力に触れ、続けていく中での悩みや苦労、挫折、支える人やライバルとの関わりの中で成長したり、勝利を得たりする姿が描かれる。しかし本作では、何のために走るのか、何のために勝利を求めるのか、走ることと生きることなど、哲学科的な対話が繰り返され、スポーツ漫画の領域を超えている。陸上競技をしている人はもちろんのこと、他の競技をしている人も、スポーツをしていない人にも見てほしい作品。
昨年の「ルックバック」も良かったが、本作は内容も、走りの動きや心情を表す映像も素晴らしく、今年度の最優秀アニメーション作品賞に推したい。
蛇足だが、小山ゆうの「スプリンター」という作品があった事を思い出した。
たかが10秒、されど10秒
陸上競技を題材に陸上の花形競技である100メートル走に挑む若者を描いたスポーツアニメ。親友でもありライバルでもある2人が10秒の世界に挑む情熱と心の葛藤が伝わってきて2人を応援したくなりました。成長した2人の決着はいかに…
2025-141
100mたった10秒の世界!
ちょうど東京で行われている世界陸上を連日テレビの前で応援していたので、映画を観る前から気持ちが昂っている状態。笑
どの競技もそうだが、常人では理解が及ばない記録を出す選手たちを見ていて、どういったメンタリティで試合に臨んでいるのか気になっていた。
この映画には様々な人物が登場する。圧倒的な天才、生まれる時代を間違えた天才、底が知れない怪物のような天才。。。
天才ばかりであるが、中でも主人公であるトガシの存在が唯一我々観客の視点に立っていて、共感を生み出し、トガシと共に天才たちと対峙する構図となっている。演じるのが松坂桃李なのが憎い。圧倒的安心感!
アニメならではの演出が素晴らしかった。怪我した脚が自分では制御できないものになってしまう感覚や、レース前の緊張感など、画をもって説得力を生み出していた。特筆すべきは、雨の決勝のシーンで、レース前の長回しから、レース後の転換まで、ただただ圧倒された。
たった10秒で全てが決まってしまう世界に生きる人々の一端を垣間見ることができたように思う。
また、主題歌も良かった。映画世界を増幅する、目頭が熱くなる主題歌だった。
世界陸上は終わってしまったが、この映画とともにたくさんの感動を届けてくれた。
信じられないくらい世界は強かったが、この映画のせいで、いつか100mでメダルを掲げる日本人が出てくるのではないかと夢を見てしまう。
100mという短距離を舞台とした人間模様、人生の考察
好評価に騙された。今年ワースト級
予告編見て映画.comでも好評価で楽しみにしてたのですが、
先ほど見てきてがっかりしたのでレビューを書きます。
原作未読です。
【良かったところ】
・主人公トガシのキャラや描写、声もマッチしてて好感が持てた。
・シンプルでさわやかなストーリー、背景絵も清涼感あって落ち着く。
・エンディングのOfficial髭男dismの疾走感のある曲、
映画のエンドロールで聞けて少しスッキリしました。
【がっかりポイント】
・CG映像のレベル低すぎ…令和の時代にこのレベルですか?
隣のシアターでは鬼滅やチェンソーマン、予告編でも映像レベルの高いアニメ映画が
流れるのにひどすぎですね。背景から人物が浮いて見えてもはや笑えました。
・染谷さん、俳優としては大好きなのに小宮のセリフが棒読み過ぎて無理でした。
・映像ダメでもストーリー良ければと思ったのですが、
ラストのトガシ、小宮が話す場面で、
トガシのセリフはそれまでの展開から納得感あったけど
小宮のセリフは棒読みに加えて根拠となる描写が不十分で全く響かなかったです。
原作でも同じ展開あるならより深い描写があったのではないでしょうか?
公開4日目なので平日ながらシアターにもたくさん人がいたのですが、
見終わったあとの皆さんもテンションも低く、微妙な表情をされていたので
楽しめた人は少なかったのではないでしょうか?
今まで映画.comの評価で4以上ある映画は総じて楽しめていたので信頼していたのですが
今後はもう少し慎重に吟味しようと思います。
陸上はほとんど見たこともないですが、、、
チ。 ひゃくえむ。 句点のこだわり
いつもさっくり感想をXにあげてからこっちに捕捉しつつの感想をあげてるんすが、映画タイトルの「。」が抜けていること、というか、あることに気づいていなかったことに気づいて、「チ。」といい、原作者の魚豊さんは句点「。」にどんなこだわりがあるのか知りたいって思ったっす。
世界陸上が盛り上がったのでヒットしそう。原作が「チ。」の魚豊さん、監督が「音楽」の岩井澤さんで楽しみでもあったけど、いつものことですが原作は知らないわたし。競技の技術面に脚光が当たるのかと勝手に期待していたせいで、100mの技術面より心理面に対して理屈っぽい感じが合いませんでした。
話のなかの年月の飛び方も原作に忠実なら仕方ないのかもだけど疑問符。特にインターハイから実業団の契約にビクつくところまで飛ぶところ。小学校時代の感じは好きでしたが…。
理屈っぽいなんて書いてしまったけど、名台詞認定したくなるようなフレーズはいくつもあって、すぐ忘れちゃうのでメモしたい気持ちにはなりました。向上心のある特に若い人にはお勧めしたいと思いましたが、こちらは20年は停滞したままで現状維持にも汲々としているアラ環なので一晩寝たら細かいセリフはすっかり忘れていると思います、マル。
あ、主題歌は、髭男さんの最近のタイアップの中ではけっこう良かったと思います。髭男らしさを感じたっす。
走る意味とは答えとは(爆音推奨)
100m走。たったの10秒で全てが決まる世界。
なぜ彼らは走るのか。
その答えは、登場人物によって異なる。
その答えは、時や場面に応じて異なる。
その答えのどれもが正解で、そもそも正解なんてないのかもしれない。
でもたったひとつ、シンプルなルールはある。
物語が始まる主人公の小学生時代、そして社会人で迎えるラストで再度それが提示される。
10秒に満たないそのセリフに、終演間際の10秒に、この物語の全てが詰まっていた。
104分の上映時間だが、体感は10秒。
映画視聴後に走り出した方は私だけではないはず。
爆音上映で観たが、常時爆音だからこその100m10秒の静寂、そして響き渡る足音が心を揺さぶった。
音楽も最高でした。
〜1日経って〜
原作を見て来ました。
原作は心理描写が多く、言葉数も多い。
映画は良い意味で改変が多く、あの圧巻の視聴体験は削ぎ落とされたスピード感によるものだと感じた。
原作を見て、また映画を観たくなりました。
100mというシンプルな競技上、才能という壁にぶつかって何人もの人...
全95件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。