劇場公開日 2024年9月6日

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「丁寧な描写」映画検閲 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0丁寧な描写

2025年5月6日
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本作の最大の特徴は、妹が失踪した事をトラウマの様に抱える主人公に寄り添った丁寧な人物描写である。終盤に向かうに連れホラー的展開もきちんと用意されているが、中々前に進めない主人公の心情を上手く描いているため、非常に感情移入出来る構成になっているのである。仕事に打ち込むことで現実逃避の傾向もあったのか、検閲していた作品に失踪した妹に似た人物を発見したことから主人公の人生は大きく崩れることになるのだ。
実際に本作は映画検閲をテーマにした作品というだけであり、呪われた映画を観たことで呪いにかかると言うようなオカルトホラーではなく、妹を想うあまりに現実なのか妄想なのか分からない世界へと足を踏み入れてしまうという物語となっている。

よってジャンプスケア等の過剰な演出は控えめであり、どちらかというと雰囲気系と言っても過言では無いだろう。幽霊や悪魔、殺人鬼と言ったキャラクター要素のある存在は出て来ず、あくまでも心情をベースとしているため、ホラー映画としてだとパンチは弱い。それに全体を覆うスローテンポな物語進行が相まって「怖い」と感じる事なく終盤まで差し掛かっていた。やはりホラーを観ている観客をしっかりと驚かせる演出は必要なのだろう。だが、最後の最後で溜まった膿を吐き出すかの如く大暴れするシーンがある。このシーンがまぁまぁの血しぶきシーンの為、本作がR-15指定な理由が分からなかった人はそこでようやくその理由を知ることになりそうだ。

Mina
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