「悪を解き放て!」映画検閲 なつさんの映画レビュー(感想・評価)
悪を解き放て!
検閲ってこんなにヘイト買う〜?
とか思ってたら当時は結構あったのね。
そこまでいくなら、映画配給会社とか監督んちに火をつければいいのに。
あんな狭くて暗い中、スプラッタとか観続けてると病みそう。娯楽としては楽しいけど仕事となると大変そう。
頭ザックリは良いけど目玉くり抜きはダメとかボーダーが分からない。女性が引きずられるのもちょっとね〜て。
そしてそれが日常会話になってるのすごい。
観てる人も2人だから意見を分け合ってるのかな。
そんな中、イーニッドは1本のビデオテープに出会う。
なんだか幼い頃行方不明になった妹に似ているような…
ビデオレンタルショップ(懐かしい…)に行き、無許可のビデオを脅しとる。
チラチラ映る死亡届と幼い2人の写真。
両親に、この子ニーナに似とる!!この目のところ見て!
そんなの言われてもお父さん困るよ。ただでさえ娘が検閲の仕事しててヘイト買ってるの知ってて気遣ってるのにこんな無許可ゴアホラーのパッケージ見せられて、ほら、ほら!って…
前にもこんなことがあって違っただろ? え?イーニッド初犯じゃないだと。
お前がそんなだから、死亡届を出したんだ…
たぶん長期にわたる捜索に区切りをつけたのはイーニッドの為でもあるのだ。
しかし、肝心なニーナとイーニッドの幼い頃の別れもしくはニーナの行方不明の経緯が良く分からない。
少女2人が森の小屋の目の前で行った事、斧を持っていたのは結局イーニッドが殺したのか?
そこからアリスへの固執。
良い子ちゃんのイーニッドはもういない。
事務所を漁り、住所を手に入れチョロインの様に夜にセクハラPの元へ行き、続編の主役はキミに決めた!みたいなポケモン発言を受け…まぁ殺すよね。そしてあまり悪びれない。
撮影現場に駆けつけて、あ、やはりヒロインなのね、姉役なのね。オドオドしながらも流れ流され80年代スラッシャーホラーヒロインは白いドレスが定番ですよな格好でライトが当たる場所へ。
もうこの辺りからイーニッドの現実と虚構のボーダーが崩れ始める。
監督と己の中にある恐れや悪を解き放てと促す。
カメラの中、アリスに会いたいと叫ぶ。
あの小屋にゆっくり入る。怪物男、彼女は彼を斧で倒す。ニーナを手に入れる為に。逃げるアリスを追いながら。
ニーナになって…お願いだから。お願いだから…
これはニーナ行方に関して彼女が強い負い目を感じているのだと強く印象付けられる。ずっと探していたのだ。嘘でもいいからニーナを取り戻したかった。自分の為に。
もうこれは作品。
全てが片付き、ニーナも微笑み手を繋ぎ我が家へ。
微笑む両親。
犯罪数ゼロ、就職率100%収監者ゼロ。
綺麗な街並み、空には平和な虹がかかる。
あの日パッケージを見ただけの幸せの創造。
彼女はいつかまた現実に戻る日がくるのか。
個人的にはあのビデオの幸せの作品の中だけでこの先生きていって欲しい。
時々入るザッピングが全てを包んでくれるような不思議な作品で雰囲気はとても好き。
撮影入りからのカメラの切り替えで現実と虚構が織り乱れていく様は良かったけど、ニーナの情報を化け物男の情報がもう少し欲しかった。
背筋を伸ばして肩を回すルーティンみたいなのいいね。