オキナワより愛を込めて

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オキナワより愛を込めて

解説

2024年2月に沖縄出身の写真家として初の文部科学大臣賞、同年3月には国内有数の写真賞である土門拳賞も受賞した、沖縄を拠点として活動する写真家・石川真生を追ったドキュメンタリー。

1971年11月10日、米軍基地を残したまま日本復帰を取り決めた沖縄返還協定をめぐって、沖縄の世論は過熱。ストライキを起こした労働者と機動隊の衝突は警察官1名が亡くなる事件へと発展した。当時、この現場を間近で目撃していたのが10代の石川だった。同じ沖縄の人間同士の衝突を目撃した石川が抱いたある疑問が彼女を写真家の道に進ませた。1975年、コザ・照屋の黒人向けのバーで働き始めた石川は、そこで働く女性たちや、黒人たちとともに時間を過ごしながら、日記をつけるように写真を撮り続けた。

写真家としての石川真生のルーツをたどりながら、作品の背景となった歴史、政治、人種差別、それらを乗り越えるパワーを石川の写真とともに映し出していく。監督は、ニューヨークを拠点に、映像やパフォーマンス、写真、彫刻、インスタレーションなどさまざまな分野の創作活動をしている砂入博史。

2023年製作/101分/G/日本
配給:ムーリンプロダクション
劇場公開日:2024年8月31日

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early elephant film + 3E Ider (C) 2023

映画レビュー

生々しい直球の連続

2024年10月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 1970年代から沖縄の女性を撮り続けて来たカメラマン石川真生さんの作品と半生を追ったドキュメンタリーです。本作は過去・現在の沖縄の街、そして石川さんが撮影した写真の背景で彼女がひたすら語り続けるのですが、いやぁ、久々にエネルギーの迸りを感じる映画でした。

 石川さんの言葉はどれも生々しい直球の連続で、迷いがありません。ご自身も米兵向けのキャバレーで働きながら黒人米兵と同棲し、結局は男に妻子がある事が判明し彼はアメリカに帰って行きます。でも、そこに後悔は微塵も感じられません。自分は一生懸命愛したのだという確信があるからです。そして、また別の黒人米兵と暮らし始めます。そうしたご自身、更には同じように黒人米兵を愛する女性達を捉えたモノクロ写真はどれも熱く脂ぎっています。

 「やっぱり、写真はモノクロの美しさだよなぁ」

と再認識させられました。その時代の作品を石川さんは、

 「私がとっても大切に自慢している作品。誰にも文句は言わせない」

と断言します。そこまで言い切れる自信というのも凄いですよね。恐らく石川さんは自分の写真が「沖縄」という政治的な括りで論じられるのは嫌で、「愛の形」として観て欲しいのでしょう。

 そして、もう一つ驚いた事。プロカメラマンでもデジタル撮影が当たり前になった現在でも、石川さんはフィルム・カメラで撮影されているのです。自分のエネルギーが焼き付けられるのはフィルムだけと感じられているのかなと勝手に想像しました。

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