「家族とヒーローの存在が大事」春の香り 一発屋さんの映画レビュー(感想・評価)
家族とヒーローの存在が大事
よくある闘病ラブストーリーだと思ってたら違った。ハルカはタクミに病気のことを一切知らせず、タクミが介入することもない。てか、タクミは存在したのか?最初から最後まで全て妄想の可能性もありますよね。ハルカは家族にタクミの存在を知らせないし、寝言で「タクミ…シュークリーム」って言ってても"タクミ"を聞き取ってないんですよね。
タクミ、腕に傷があるのに普通に半袖着てるの気になった。まあ気にせずに半袖着る人もいるけどさすがに居酒屋バイトは隠してって言われますよ…(当事者)
姉の葛藤も、家族に病気の人がいるリアルを描いていてよかった。姉が親に「面倒臭いと思ったことない!?」って言って、親が何も言わなかったのもよかった。姉はまだしも親は子に生を与えた人として泣き言を言ってはいけないと思う。私なら確実に親に「じゃあなんで産んだの?産まなきゃ苦しまずに済んだのに!」って言ってしまうね。
ハルカが、腫瘍が原因で本人の意図ではない自傷行為をしてしまう場面。「ハルカがあんなこと…」みたいに両親に言われてたけど、一種の自衛本能なのかなとも思った(病気のこと詳しくないからなんとも言えないけど)「死にたくない」と死の恐怖に怯えながら死ぬより、「死にたい」って思いながら死ぬ方がマシだと思うし。誰にも共感してもらえないけど、もし私が不治の病にかかったら「死にたい」って思えるようになりたい。「生きたい」って思いながら死ぬことほど残酷なことってないと思う。
実話を基にした作品でハルカが実在するんだから、失禁シーンはいらないと思う。『1リットルの涙』でもあったけど、年頃の女の子がそういった場面を描かれるの本人が望んでると思う?伏線になってるわけでもないし必要性を感じない。作り手のエゴだと思う。
この映画で学んだことは、「物忘れがひどくなったら病院へ行こう」「物が二重に見えて掴めなくなったら病院へ行こう」ですね。脳の病気って本当に怖い。
キャスティングは素晴らしかった。主演の子は初めて見たけどオーディションで勝ち抜いたんですね。顔は飯豊まりえ系の美人なのに、"よくいる普通の女の子"感がよかった。佐藤新くんは、漫画好きな女の子が夢見るようなイケメンがそのまま三次元になったみたいな感じでよかった。
主題歌も和っぽい曲調で、柔らかくて春を感じさせる曲がマッチしていました。