まるのレビュー・感想・評価
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飽きそうで飽きのこない。結果、かなり好きな作品。
予告編をみて、面白そうに作られてる予告編だなぁ、さすが予告編だなぁと思いつつ、このままの通りの感じだったらすこしいやだなとも思いながら観に行きました。
◆
実際はとても良い雰囲気でした。雑なシーンとかはなく、ずっとセンセーショナルな事が起き続ける描かれ方ではないちょいちょい日常にも戻してくれる感じが、リアルで良かった。ファンタジーや妄想・空想要素が出てきても、ちゃんとストーリーの筋や主人公沢田の心の中が見て取れるものだったので、ただのアートムービーになったりもしなくて、そこもこの作品のいいところ。
◆
キャラクター達。主人公の沢田、生活に対して力が入ってない感じだけど絵に対してはやっぱり熱い想いを持っててかなりいい。そしてさらに、沢田以外のキャラクター、魅力的な個性的な人がたくさん出てきます。少し変な人が多いんだけど、どのキャラクターのセリフも行動も、心にぐさぐさ差さる差さる。しかも、人間らしさもかわいらしさも、哀愁も持ち合わせてて…。隣に住むデビュー出来ない漫画家、ミャンマー出身のコンビニバイトの先輩、公園で出会う茶道の偉い先生、元職場の格差社会を訴える女の人、草間彌生ぽい髪型のギャラリーオーナー、おしゃれな胡散臭いスーツが似合い過ぎる有名アートディーラー、明らかに変だけどなんかいそうな古道具屋店主、他にも、とにかく沢山出て来る。ひとりひとりの役者さん、見た目から何から、その役の人物になり過ぎていて凄い…。綾野剛の横山良かったなぁぁ、久々に私の好きな綾野剛リストに追加入りました◎
てか、現代美術家と漫画家が住むアパートとか私も住みたい。超良い。あの2人のやり取り毎度好きだった。最後のあのオンラインでコラボの会話のくだりなんてもうかわいすぎる。ぐっと来すぎる。小林聡美もめっっちゃ良かったなぁ。森崎ウィン演じるコンビニの先輩もいとおしかった。ひとりひとり挙げるとキリが無いねん…。荻上監督、すごいなあ。
◆
やたらと評価されることになった主人公の描くまるもそうだけど、芸術って見る人によって物凄く価値があったり、1ミリも価値を感じなかったりするのが奥が深くて面白いね。オーナーやディーラーが沢田の描いた絵を見て、ほう…と感動するシーンは、芸術の奥深さとその逆の滑稽さが滲み出てて、いいシーンだけどどこかおかしくて、好きだったなあ。美術館に沢田のまるを見に来る人たちも、本気で絵が好きな人もいれば絵を見にきてる自分が好きな人(私もまさにそう)など絶対入り混じってて、それもまた面白かった。私は芸術家ぽいひともミーハーぽい人もどっちも好きなので。何か好きなものがある人が単純に好きだから。
◆
あと、そのやたらとフューチャーされるまるを描く沢田のシーンが何度も出て来るんだけど、それがめちゃくちゃ気持ち良い。とくに一番最初に動くアリの周りに壁を作るように描き出す沢田のまる。白いキャンバスに大きめのふででざざっ…と描くあの感じとあの音が、冗談抜きでずっと見てられるわ!だった。気持ち良い〜。人が絵描いてるのとかなんか作ってるのってずっと見てられるね。ASMRじゃないけど音も感じてたいね。久々にアルキメデス観て黒板に字書く音も聴きたくなった。
◆
エンドロールも相当しびれた。粋だよありゃあ…。剛の歌声よ…。絶対映画館で観るべき、聴くべき!
◆
良い映画が観れて、心があつくなりました。良い夜だった。
わからないならジタバタする!
堂本剛さん出演のドラマフリークです。20年前、自分が学生だった頃好きでした。元カレ、夢のカリフォルニア、サマースノー、君といた未来のために。受け身な主人公を演じるのが非常に上手く、今でも好きな作品ばかりです。
今作では
人生はきっと何が起こるかわからないから。わからない状況に立たされたら、とにかくジタバタもがくしかないという教訓を学べました。最後EDに流れた街movie.verを聴けて良かったです。
以下、脚本中心に勉強のために記録残します。
どうしたら良くなるのか、を考えたいと思います。
脚本以前の問題で、娯楽としての作品評価は0点です。
具体的な問題点を1つ挙げます。途中の男性器を描写するシーンです。この映画の視聴者層をどこにみていますか?小学生や中学生相手なら、笑えるシーンになるかもれません。リアルな男性器を怪我をした右腕の包帯の上に描いて、病院で先生に見られるという描写は、成人した視聴者層は笑いません。ただただ下品です。
始まりから終わりまで、仏教の描写がありました。わたしは途中で席を立ちたかった。ただ苦行を耐え忍ぶ修行僧の気持ちで乗り切りました。堂本剛くんの街は映画館のサウンドめっちゃ良かったけれど、この気持ちを昇華できるわけがないです。
綾野くんのなんで絵を描くのかの問い掛けに対して、なんか主人公泣いて答えてた。答えが泣ける内容ではなく、このシーンも意味不明だったよ。もうプロットとか構成とか何でもいいんだね。脚本の勉強なんていらない。雰囲気で作るだけ。それでこういう映画出来るんだもんな。日本の映画って最近なんでこういう傾向なのかな。
それはそれとして、どうすれば良くなるか考えよう。
構成から
まず始まりは雰囲気で良い。主人公とりほちゃんの会話、受け答えまでは好き。
ここで主人公事故。
知らんおっさんと公園で話す。円周率の話
ここ1stターニングポイント
まる を書いてみる試み。
胡散臭い骨董品屋にまるを預ける。
世間で評価
ここだ。楽しみのシーンが描写不足なんだ。主人公が自分からSNS発信しないとダメだったんだ。受け身は良いけど、決断はしないとダメなんだ。それでバズって世界的に有名にならないといけなかった。すべて受け身だと視聴者が共感できないから、1stターニングポイントをここに持ってくれば良かったんだ。主人公と綾野くんはスマホ使えてる描写あるんだから、SNSで拡散されているだろう描写もあるんだから、主人公がスマホ使えていいんだよ。
まる 描いた後、SNSで発信したらバズってた。これで良い。骨董品屋いらん。時代にあっていない店は出す必要がない。
サブプロット入ったっけ?覚えてない
楽しみのシーン。
ここ弱かった。世間的に有名になったらもっと演出あったんじゃないか?まずもって主人公が1つまるを描いて100万円のシーンは必要ないとして。
主人公ならどうする?世間的に突然有名になったら。
いや、もう まる だけにまるっと構成変えた方が良いな。
メインプロット まる描いただけでSNSで世界的にバズった(ジャンルは難題に直面した平凡なやつ)
サブプロット 恋愛
せっかくだから吉岡りほちゃんを使おう。活動家だけではあんまりにも可哀想だ。堂本剛くんの結婚も相まって、連れ合いの年齢的にもしっくりくる。
綾野剛くんも含めた3人でのかけあい。りほちゃんがいてくれたおかけで2人の人生が進みはじめる。
りほちゃんが突然いなくなる理由(秘密)を作る
綾野くんの人となりを深掘りもいいのかも
テーマは それでも自分が描きたいものを描く
オープニング 始まりの仏教の文言シーンはいらない。只管、自分の描きたい絵を描くシーン。そこでテーマは提示されるものとする。
セットアップ 画廊での仕事シーン、りほちゃんとの掛け合いはそのまま。法隆寺は誰が作ったか、のシーンは後半の主人公の成長比較になるからとても良いシーン。ちなみに、ここでりほちゃんからテーマの提示にも関われる。
事故に遭う。
利き手を怪我して仕事をクビになる。吉田こうたろうさんは終始悪の存在としてあり。
りほちゃんとの掛け合いをここで強く持ってくる。SNSを交換する。主人公受け身でいい。
悩んでいる時 公園で謎の老人との掛け合い。ここで円周率、まるの存在。日常からまるの存在。
りほちゃんからどういうの作ってるのかSNSで連絡がある。
1stターニングポイント 主人公が自らの意思で行動
用紙に蟻を囲うようにまるを描いていくのをSNSへUP。
サブプロット 主人公の家に吉岡りほちゃんが来る 隣に住む綾野剛くんとの掛け合い
隣に住んでて、実は漫画家
わたしも絵を勉強していて 等
主人公の家へ
主人公のSNSの様子にりほちゃんが気づく。世界的にバズる。
お楽しみシーン
世界的に有名になる事で人生はどう変わるのか
ここは視聴者が想像して楽しめるシーンを入れたい
りほちゃんと主人公の恋愛模様
まる だけが評価される主人公の苦しみ
主人公が世間からチヤホヤされるシーンは昔アイドルだった堂本剛くんならではで良いと思う
それに対する綾野くんの嫉妬
ただ綾野くんも新たに漫画作品描いたりチャレンジを見せる
主人公とりほちゃんの恋愛模様がピークに
ミッドポイント
突然、りほちゃんが主人公の前から消える
りほちゃんの職場の悪(吉田こうたろうさん)を出すよね この方はここで活きてくる
すべてを失って
主人公の葛藤 死のイメージ
ここで公園で謎の老人との掛け合い
わからないならジタバタする
綾野くんとの掛け合い
自分が作りたいものを作る
主人公が まる から離れて、りほちゃんの存在に
改めて気づく
第2ターニングポイント
りほちゃんの居場所を知る
主人公 行動 ここで走るシーンとか入れればいいよ。音楽は恋のカマイタチって曲のサビ入れよう。
浜辺とかに向かうといいんじゃない。交通標識持たせて謎の老人出そう。底辺✖️高さ➗2だ。って言わそう。
「三角形と同じ。君が底辺で彼女が高さだ。君がどんなに有名になっても、彼女がどんなに悪い部分があったとしても、君と彼女を掛け合わせたものを、2人で背負っていけば大丈夫。」こんなセリフでいいだろ。
浜辺でりほちゃんと主人公の掛け合い。無音、波の音。
最初主人公の突然の登場に驚くけど、にこやかなりほちゃん。
主人公がプロポーズ。昔のオドオドした感じの演技でいいじゃん。僕の気持ちはまるだ。みたいな感じで指輪出せばいいんだよ。そこでいい感じのりほちゃんの顔を出して、一気にエンディングの街movie.ver。
エンディングでサブプロット回収 悪(吉田こうたろうさん)は報いを受ける
綾野くんが漫画を出版社に持ち込んで奮闘してる
最後に 部屋に最初描いた まる の絵
あとはペアリング
ドラマではいつも必ず堂本剛くん演じる主人公は、最後決断して行動していた。
堂本剛ファンなら、より刺さる
kinkiとしてデビュー前から期待されていた。
10代はドラマ等で忙殺され、ストレスが重なる。
光一は剛へのコンプレックス、歌唱やダンス。剛はメンタルや身体的病気。ジャニーズの枠組みを超えて、KinKi Kidsはアーティストとして成長してきた。
そんな時代があるからこそ、この映画で堂本剛を主演に迎えるための相応しいテーマだと思う。
荻上監督要素は若干薄めだとは思うが、エンディング含めて、剛映画になっていた。綾野剛もええ感じやし。
できは兎も角、単館向きなのがどう出るか、、。
イマイチ楽しくも面白くもない(堂本剛と荻上監督の相乗効果が薄い)
堂本剛さんが“まるまる“していて着膨れしてるのは、
何かのメッセージなのでしょうか?
堂本の頑固さが可愛いような、可愛くないような、
妙な気分になる。
《ストーリー》
美大を出て有名画家のアシスタントをしている沢田(堂本)。
何気に書いて古道具屋に持ち込んだ「○」の絵。
現代アートとして、値段が付き、沢田は謎のアーチストとして
有名になって行く。
望洋として欲もなく、その日その日をなんとなく生きていた沢田。
その“のほほん“とした主役を、
アクの強い“共演者たち“が風変わりに面白く、引き立てる。
荻上直子監督の人選が独特で、キャスティングは生きている。
現代アートの沢田の師匠で威張り放題・手柄は俺のおかげ・・の、
吉田剛太郎、
ギャラリーのオーナーで目利きの小林聡美、
(何気に嬉しくなる)
全く本人とは分からなかったのは片桐はいり。
(男性かと思った)
古道具屋の店主です。
隣室で壁をぶち破り悶々とする売れない漫画家、
綾野剛。
吉田鋼太郎のアシスタント仲間で、「搾取されてる‼️」
と、街頭演説したり個展を妨害する吉岡里帆。
腕を折ってお払い箱になり、コンビニ勤務の沢田の同僚、
森崎ウィン。めちゃ良いやつ。
これまたよく見ないと分からない早乙女太一。
などなど脇が達者で楽しいけれど、
主役が霞み気味。
良い話なんだけれど、なんか今ひとつパンチがない。
ぬるま湯の長湯もいいけれど、
サウナで水風呂浴びて、木の枝でバシバシ叩かれて、
気合い入れたら?
“実力より時の運“みたいのも、ちょっとねー。
でもエンドロールの堂本剛の「街」
めちゃめちゃ沁みた。
16ミリフィルムの映像も味があったなぁー。
正直、評論的なことはしたことないし言語化も苦手なので一言で〝よくわ...
正直、評論的なことはしたことないし言語化も苦手なので一言で〝よくわからなかった〟で済ませるのがいいかもしれない。
最初から最後までずっと感じていたのは爆発するほどじゃないけどなんかモヤモヤするしイラつくし違うんだよ、という気持ち。
たぶん自分とは——というメインキャラの葛藤と、資本主義の大人の現実的な薄汚さを混ぜてひとつの話に落とし込んだのかなとは思うけど、それが制作側の意図したことかどうかも察することができない。
なんなんだこの映画…と思ってるうちに終わって、暗い画面で堂本剛のアカペラっぽい歌声が流れてきた時に鳥肌立った。案外とこの曲の歌詞が1番映画の代弁してるのかも。
【”様々な、円相”ひょんなことから、カリスマアーティストに祭り上げられた美大出の男が、別人格の独り歩きに困惑しつつも、飄々と生きる姿が印象的な作品。様々な解なき問いもナカナカな作品である。】
ー ”円相”・・宇宙全体、無、真理、悟りの象徴。禅において、書で描かれる墨絵で一筆で描かれる。-
■美大卒だが、現代美術家アキモト(吉田鋼太郎)のアシスタントをする沢田(堂本剛)は、ある日仕事帰りに右腕を骨折し、仕事を失う。
沢田は、部屋の中を歩く蟻に導かれるように、”諸行無常”と呟き乍ら、無心で書いた”まる”の絵を知り合いの古道具屋(片桐はいり)に持ち込み、小銭を稼ぐ。
その絵がいつの間にか、“円相”の絵として高い価値を持ち始め、”まる”の脇に書いた“さわだ”は、沢田とは別人格のように一人歩きをするのである。
◆感想
・私は、荻上直子監督の全作品を鑑賞しているほど、オリジナリティ溢れるその作品群が好きである。
故に、少し思った事をそのまま記載する。
・今作では”アシスタントが仕上げた絵は、それを指示だけして自ら筆を動かさないアーティストの作品と呼べるのか。”と言う冒頭、現代美術家アキモトにTVリポーターが問いかけるシーンが印象的であり、その後も解なき問いが次々に発せられる。
それを受け、同僚のアシスタントの女性(吉岡里帆)に”アキモト先生に搾取されているんですよ!”と詰め寄られるも、沢田は”法隆寺を作ったのは誰?”と聞き、”聖徳太子だけど、実際には昔の大工さん達が作ったんだよね。”と答えるシーンも印象的である。
・つまりはこの作品は、”芸術家の独創性って何?”という事から、”人間の価値って何?”というナカナカ答えが出しにくい問題をコミカルテイストで、サラリと描いているのである。
・又、沢田も最初は無心で書いた”まる”が評価されるも、その後画商(小林聡美)が求める“まる”を書いても、否定される。
そして、何を書いたら良いのか分からなくなっていくのである。
この辺りを堂本剛が飄々と演じている。
・面白かったのは、沢田が働き始めたコンビニのミャンマーから来た日本語のタドタドシイ同僚(森崎ウィン)の姿かな。
彼は、日本人から馬鹿にされても常に明るく振る舞っている。けれども、終盤、沢田に言うのである。”マエムキジャナカッタラ、ヤッテラレナイデショ。”と。そして、彼は仏教の言葉を呟くのである。
<今作は、沢田の隣人の漫画家志望の矢鱈と寿司を食べたがる男(綾野剛)、骨董屋の謎のおばちゃん(片桐はいり)なども含めサブキャラが良いのだが、沢田自身が飄々としており、表情が余りない為、エンターテインメント作品としてはインパクトが足りなかった作品と思ってしまったな。怒っちゃ嫌よ!
けれども、作中で問いかけて来る様々な解無き問い【”芸術家の独創性って何?””人間の価値って何?”】は、よーく考えるとナカナカに奥深いモノだと思った作品である。>
まる
堂本剛27年ぶりの主演映画
まさに堂本剛のために書かれた作品だな、と、ともに他の俳優陣も全て念頭に置いて書かれたのかと思うくらい馴染んでいました。
生き方が不器用な でもそこら辺に当たり前に普通にいくらでもいる人々の生活
その暮らしが出来ていける世の中がずっと続くといいしこの映画をいいと思ってくれる人がたくさんいたらいいと思わせてくれる映画でした
人生における「成功」とは?
何気なく描いた「まる」が絶賛されて成功を収めるという話から、「世にも奇妙な物語」のようなシュールなファンタジーを期待したのだが、そうした不条理な面白さが一向に転がり出さない。
「まる」を100万円で買い取ると申し出たブローカーは、それっきり姿を見せないし、主人公が、たまたま画廊を訪れなければ、そのまま注目を浴びることもなかっただろうし、町中ですれ違う人に騒がれても、マスコミから「社会現象になっている」とか「ノーベル平和賞候補になっている」とかインタビューされても、取って付けたような薄っぺらい描写ばかりで、とても主人公が成功したようには感じられない。
主人公も、主人公で、「騙されてるのか?」とか「夢なのか?」といった反応をするでもなく、すんなりと事実を受け入れているのだが、この辺りは、「成功」の前後のギャップを、もっと大袈裟に描いても良かったのではないだろうか?
主人公が描いた「まる」にしても、主人公だけがその価値を理解できず、主人公以外の人間は、誰もが評価しているのかと思っていると、アパートの隣人の売れない漫画家は、それを「誰でも描ける単なる丸」と見抜いており、「まる」に価値を見い出す人間とそれ以外の人間に、どのような違いがあるのかもよく分からない。
やがて、主人公が新たに描いた「まる」を、ブローカーが買い取れないと言い出したところで、主人公が、最初に、無欲の状態で描いた「まる」だけが価値を認められ、それ以外の「まる」は無価値なのかと思っていると、主人公の新作の個展が成功して、そういう話でもないことが分かる。
だったら、有名画家に搾取されることにも、世間の役に立たない「20%の蟻」であることにも無頓着だった主人公が、世間に認められ、社会的な成功を得ることで、欲にまみれ、搾取する側へと転じていく物語なのかと思っていると、主人公は、自ら成功を手放すので、そういう話にもならなかった。
吉岡里帆演じる画家の同僚も、柄本明演じる茶道の先生も、森崎ウィン演じるコンビニ店員も、綾野剛演じる隣人の漫画家も、皆、共感性が高く、含蓄のある言葉を口にするのだが、どれも、この映画の主題であるとは思えないし、むしろ、風呂敷を広げ過ぎた感じすらする。
結局、観終わった後に思ったのは、人生の「成功」とは、裕福になることでも、社会的地位を得ることでもなく、「好きなことをして食べていけること」なのではないかということだった。
ままならないこと多し。
静かな怒りみたいなものを感じました。
怒る気力も消えてる感じ。
追い打ちをかけるように、仕事どころか日常生活で出番の多い利き手が使えなくなるの、本当にしんどいよね。でもまだ淡々としてる。
これはすごいなと思った。
気力はどこにあるのだろう。
対する綾野剛さんはまだ狂気の中に住んでいる。ちょっと壮絶でした。パンチあるわぁ。
森崎モーさんの最後のセリフはそれまでの演技とは裏腹でグッと来ました。
覚悟を決めて動き出してからは終焉に向かってる気配を感じた。
制作している時って幸せなんだよな〜と思ってみていたら最後に画廊でぶちかましてくれました。
きっとそうするだろうなと思ってたけど、結局彼はアーティストでした。
あ、床が傾いていると健康被害あるようです。物件選び大事。
\部屋から転がりはじめた○。
チャリでの仕事帰りよそ見運転で転倒し商売道具である右手を負傷した美術家のアシスタントとして働く沢田の話。
右手の負傷を機にアシスタント業をクビになり、自宅にある物と“キャンパスを歩く蟻を黒筆を使い○で囲った絵”を質屋ではなく古道具屋に売りに行ったことで…。
売った絵が美術関係者の目に止まり、独り歩きし始めた○の絵、SNSで拡散、美術家達から評価されてるなか状況を把握出来てない沢田と見せるけれど。
1枚の薄い壁から聞こえてくる隣人のウナリ声、綾野剛演じた横山がアクセント、そのウナリ声で沢田の睡眠と絵を描くための集中を邪魔し、沢田との2人のやり取りには笑えたし何でオチは寿司食わせろ!?とも思ったけれど歌手・堂本剛ではなく俳優・堂本剛が見れたことが嬉しい!
彼が10代から20代の頃のドラマ作品はほぼ観てるし、個人的に熱かったのはエンドロールで流れた堂本剛君の“街”、当時「夢のカリフォルニア」のエンディング曲でもあった“街”、本作の為に録られたMOVIEverも最高だし、カラオケはもう10年以上行ってないけれど、行くと必ず歌うって位好きな曲で、男性歌手としても一番好きな堂本剛の歌、俳優姿と、まとめて観れて聴けて良かった!余談だけど「ホームドラマ」の主題歌“ORIGINAL COLOR”も凄く好きだったな~
ちょっとファンキーな雰囲気の吉岡里帆さん可愛かったし、エンドロールの“街”には泣かされた。
可もなく不可もなくといったところ。迷ったらおすすめ。
今年374本目(合計1,466本目/今月(2024年10月度)25本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
今週の作品群の中ではまぁ本命か準本命には来そうな作品です(競馬新聞ではない…)。
アシスタント業をクビになった主人公が、ある日、紙に○(まる)を書いたら、それがなぜかヒットして、謎のヒットと(クビになったあとに働いている)コンビニ店とのかけもちをうまくいきつつ、自宅のマンションのお隣さんともうまく付き合いながら、そもそも自分の「○」がなぜヒットしたのかを考えていくお話です。
作品として言えばそれ「だけ」であったりしますが(法律系資格持ちなので、この論点にはだいたい「表現の自由」の論点が来るものですが、なかった…)、そこに特段何かを求めるわけではなく主張のみを繰り返すデモ集団があらわれたり(ただし、これも「集会の自由」で憲法上保証はされます)といった、「やや無理やり」やればまぁ憲法枠かなぁというところもありますが(思想良心の自由、集会の自由ほか)、個人的にはそこまでの問題提起は感じませんでした。
そんな「○」ばかり書いて実質ぼろもうけ状態の主人公のところには当然「邪魔者」が来るわけであり、「そんな」○であっても「たかが」○であって、「なぜ」あなたの書いたものなのか証明できるのかなとと言われると案外答えに窮するのかな…といったところです(ただ、(民法や民訴法等の)立証責任論等の論点で見る映画では明らかにない)。
ストーリーとしてはこうした事情もあるので、色々と「邪魔」してくる人はいますが、最後には主人公含め大半の人々が(あのアルバイトのもう一人の方は、ミャンマーだったかマレーシアの方かな(言っていたような気はするが、どっちだっけ)?)ハッピーになれるという展開は、まぁ確かに「ひねり」がもう一つあっても良かったかなという気はしますが、こういうワンストーリーもの、「ネタ勝負」(ここでは、○を誰が書くか、ヒットするかという「ネタ」それだけでしかない)に出た点は強く買ったところです。
採点上特段気にする点まではないのでフルスコアにしています。
若者批判と薄い脚本
かもめ食堂のイメージと違い優しさは皆無。
かなり説教臭くなった。
自分の嫌なことをまとめただけの抽象的な作品だった。
以下の若者が登場するが全て馬鹿っぽく描かれている。
都市伝説を信じる若者
口だけの若者
世代収入格差のデモを行う若者
若者だけの環境活動家
主義主張はどうあれデモ活動を馬鹿にするようになってはおしまいだと思う。
堂本剛、他キャストの演技はピカイチだっただけに残念。こんな脚本じゃ堂本剛も2年出演を渋るわけだ。改修前はもっと酷かったのだろう。
ところで、本作は公式の試写会もなく、公開日の上映時間前になぜ満点高評価のレビューが何件もあるのか。内容も感動するようなものでもなく、しかも賛否両論なら分かるが満点高評価が既に数件あった。謎である。
ファンキーではないよ。(逆説的にファンキーなのか?)
何気なく日常が延々と続いて行くんだよと語りかけてくる作品。
この手の作風にして贅沢すぎるキャストだと(笑)
ひとりひとりが作風にピッタリなのは間違いないんだけど。
◯って文章の最後に付けるって習って何気なく付けてるけど◯自体に深い意味があるってこれ観るまで?考えたことも無かった。
剛の芸術家的な感じは解るんだけどちょっと絞った方がより良かったかなと。
追い詰められてる綾野剛が細いだけにね。
スッキリするでもなくモヤモヤするでもなく何気なく時間が過ぎていく…
森崎ウインが良いアクセント。さすがです。
監督は自転車乗る時はキチンと前を向こうと警告している。(わりとマジ)
無欲に見える「まる」の残虐性も、仕掛け次第では「アート」に様変わりしてしまう
2024.10.18 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(117分、G)
偶然描いた「まる」が独り歩きして困惑する売れないアーティストを描いた社会派コメディ映画
監督&脚本は荻上直子
物語の舞台は、都内某所
現代美術家・秋元(吉田鋼太郎)のアシスタントを始めて4年になる沢田(堂本剛)は、自身のアイデアをパクられながらも地道に生きてきた
同僚の矢島(吉岡里帆)はそれを許せず、新人の田中(戸塚純貴)は早くも脱落を示唆していた
ある日、景色に見惚れて自転車事故を起こした沢田は、あっさりとクビになってしまう
特にやることがない沢田は家でぼうっとする時間が増え、隣人の売れない漫画家・横山(綾野剛)と絡むようになった
物語は、家に入り込んだ蟻の周りを墨で囲っていた沢田が、ふと思いついてそれを小道具屋(片桐はいり)のところに持ち込むところから動き出す
小道具屋は「大きすぎる」と言い、沢田はその作品を切って分割する
それは額縁に収まる大きさの「まる」を描いただけの作品になっていて、わずかなお金だけを得ることになった
その後、街角を歩いていた沢田は、ある画廊の前に「まる」が飾られているのを目撃する
画廊が閉まっていたために詳細を聞くことができなかったが、次に通りかかった時には、その「まる」はショーケースから消えていた
映画は、現代アートとは何かというテーマと、そのバズり方や仕掛け方について揶揄するような内容で、意外なほど濃いメッセージがあったりする
最終的に「普通の絵」をディーラー(早乙女太一)と画廊の店主・若草(小林聡美)に見せるものの、「価値がない」と断罪される
やむを得ずにその上から「まる」を描いて見せるものの、これ以上「まる」い囚われたくない沢田は、その作品を殴って穴を開けてしまう
だが、その行為は作品として有名になり、海外の美術館にも飾られるようになってしまうのである
「まる」は「円相」と呼ばれるもので、古くから描かれる芸術の一つである
それが現代的にアップデートされたものになっていて、誰にでも描けるのに、誰もが売れるわけではないという皮肉がある
アートは「誰が描いた」というのが重要で、「さわだ」というサインが作品の本体のようにも思える
だが、コンビニバイトの先輩・モー(森崎ウィン)は、彼のサインを貰わない
これが本作の重要なテーマになっているのではないだろうか
いずれにせよ、かなり画面が暗い作品で、見ていて疲れる内容だった
「まる」の中に何かを見るかは人それぞれで、その「まる」は無欲であればあるほどに価値があるようにも思える
だが、その「まる」のルーツは「蟻をもて遊ぶ残酷なもの」であり、その因果が沢田を苦しめているようにも思える
そう言った意味において、結構哲学的な作品ではあるが、世間がアートと称するものは、そのような本質とはかけ離れたプロモーションによる仕掛けに過ぎないので、その辺りを皮肉っているのかなと思った
芸術的な作品○
飽きないで観ていられる様変わりなストーリー。主演の剛君はもちろんだが、小林聡美がピッタリはまる。キャストが上手く選出されてるなーって感心してしまった。
最後のエンドロールをみて、堂本剛に綾野剛。呼び名は違うのに2人とも同じ字か。(笑)日本語って奥深いなって思った。
余談
吉岡里帆はなんでもやるな。毎回見た目の可愛さを全く武器にせず、好きなように色んな役をやっていて、他の美人女優とは路線が全く違う。もっと格上の役をあげたい。
祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり
自分の描いたまるから周りが変わっていくさまが面白い、欲や嫉み主観の押し付けや利用しようとする人。
さわだの動じない落ち着きが剛くんの雰囲気と合ってて荻上直子監督のキャスティング流石!と思った。
祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きありと唱えながら円相を描く、どんなに勢い盛んになろうともこの世のすべては変化するということがさわだの平穏な姿に映し出されてるのかなとか。エンドロールでのアカペラから始まる街に泣けてしまった。
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