「動物擬人化の際のデフォルメの大切さを知る」ライオン・キング ムファサ やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
動物擬人化の際のデフォルメの大切さを知る
「ライオン・キング」は、アニメ、今回みたいなリアルアニメ(実写?)、ついでに劇団四季も含めて未見・・・というか敢えて観ないようにしてました。理由は申し上げませんが「手塚治虫ファン」としたら当たり前の行動でしょう。
ただ今回、20年以上継続していた誓いを興味本位と気まぐれで破棄し(笑)、鑑賞に至った次第です。
念の為、鑑賞後に前作のあらすじはネットで確認いたしましたが、ムファサが動物王国を築く前の話しだったので、「レオはパンジャの子・・・じゃなくシンバはムファサの子(笑)」程度の予備知識で全く問題ありませんでした。
まず、良いところ。
擬人化され歌も普通に歌う動物達ですが、最近のデズニーで「え、わざと避けてないか?」みたいな要素である「同種族の男女の普通の恋愛」が、さらっとではありますが「ごく普通」に描かれていることですね。スカーとムファサの遺恨が恋愛がらみってのもドロドロして人間っぽくて良かったです。まあ、動物界にはポ◯コレの影響を反映させる必要が無いという判断でしょう。ポリ◯レでは興行収入露骨に落ちますしね。
そして、イマイチなところ。残念ながら沢山あります。
実写?の前作から言われてたことですけど、特に主要キャラのライオンをリアル化しすぎで特徴が分かりづらくなり没個性となった挙句、感情移入が出来ないこと。雌ライオンさんに至っては誰が誰だか(笑)!動物を擬人化する際のデフォルメって本当に大切だってことが良く分かりました。その点、ライオン・キング過去作(アニメや劇団四季、なんだったらジャングル大・・・)は個性がパッと見で分かる造形の工夫が成されてましたよね。
あとタカの心情の移り変わり、闇堕ち具合が急峻で理解に苦しむ点がありました。特に両親の仇(タカも無論、気づいているはず)が目の前に居るのに何故平然としていられるのでしょうか。成長過程においても、そこまで狡猾で肝が据わるべき特殊な経験を積んだ様には到底見えませんでした。
また、これを言っては始まらないのですが、新天地では全く野良ライオンでしかないムファサが何故、短期間・・・というか短時間にあれだけの信用を得たのか!?初見のムファサにそこまでのカリスマ性を見出すのは流石に無理。新参者が信用される様なサブストーリー(危機を予見する能力を発揮し動物達を先導し自然災害から救うとか)を挟まないと、シナリオ的にご都合主義と言われても仕方ないですかね。
今作でライオン・キングの世界観が広がるとか、キャラの深掘りが出来たか・・・といわれると、かなり失敗だったかもしれない、というのが正直な感想です。
では。
ライオンキング見ていないので、大人になったスカーのこと知りません。でも今回の映画の段階ですでに理不尽を感じました。命の恩人、仲良かった、兄弟が欲しかった!と嬉しそうに言うタカは本当に可愛い!ムファサは清濁あわせのむ器じゃない(まだ若く経験不足だろうが)と思いました!