「生き続ける」室井慎次 生き続ける者 えんげいさんの映画レビュー(感想・評価)
生き続ける
前編が映画1本分としてのまとまりがなかったので、あまり期待せずに、でも、もしかしたら大どんでん返しとか、室井さんが意外な犯人を割り出すとか、そんなのを考えて観に行きました。
ところが、ストーリーの流れは前編から変わらず。犯人もあっさり捕まるので、アクションの要素もない。実は、中盤くらいに、真犯人が松下洸平とか矢本悠馬で、彼らが隠れた日向真奈美(小泉今日子)の信者だったとかと勘繰ったのですが、そんな意外性もなく。
がっかりしかけたのですけど、観ているうちに、「あ、これは作り手の、そしてこのシリーズを愛した人の、室井慎二へのレクイエムなんだ」と気づきました。
そう気づいてからは、全てが予定調和で進行してもあまり気にならなくなりました。どぎつい演出もなく、リクは帰って来て、父親が捕まるんだろうなと思ったら、そうなって、でも、予定通りで「ほっと」させられました。そして、吹雪の中、「風呂わかしておいてくれ」と言って、消えて行った室井さん観て、「もう、帰ってこないんだろうな」と。何一つ、驚かされることもない。
でも、ファイナルで死んだんじゃないかと言われていたすみれさんは、まだ生きている事も分かったし、室井さんの遺志は、警察幹部、近隣の大人、子供達に受け継がれていく。室井慎二は作品から退場するけどもその存在は皆の中に「生き続ける」。
で、最後の最後に、ファンの希望を繋ぐシーン。
多分、製作者達は、いかりや長介も本来はこんな送り出し方をしたかったのでしょう。室井慎二を送り出すのには、これだけの尺が必要だったのだと思います。
福本莉子、齋藤潤、前山くうが、前山こうがが新鮮な芝居をしていました。特に、前山くうが・前山こうがの双子を「あ、なるほど」と言う感じで使ってました。同一人物が同じ画面で出てくるのを、合成でなく双子を使うのはターミネーター2で使ってましたね。