雨の中の慾情のレビュー・感想・評価
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「超大作」の体をなした「猛毒映画」か
あながち関係ない話でもないのだが、映画「ルックバック」について、ちょっと触れる。 映画「ルックバック」は確かに興味深く観させていただいたが、やっぱりオレは原作の「間」や感じるアングラ感が好きで、音楽や声も本当に必要なく、静止した画に十分感じる躍動感を動く絵で表現するのは映画なので仕方ないとは思うものの、どんなに斬新であろうとも「ああ、そうするんだ」と冷めて観てしまった。 つげ義春。オレは映画「ねじ式」(’98)から入って、原作を眺めた程度だが、原作を見るまでは、映画は非常に面白く観させてもらったが、原作を読むと、映画のほうは、役者の演技、映像表現、録音そして音楽と、目いっぱいアングラ感が出ているものの、原作の一コマのパワーの前では、「ああ、ここをこういう風に映画はやりたかったのね」と冷めるわけだ。 こればっかりは漫画と映画の決定的な「文化の差」として映画を見る側としては、割引くしかない。この辺はオレが言わずとも、誰もが、そして映画関係者が一番感じることだろう。(そして原作者。) なので、原作とかどうとかは、これが最後でここでは触れないようにしたい。 「雨の中の慾情」 ・ ・ ・ それでは、どうしてわざわざ原作と映画について、前置きを置いたかというと、まさかこんな超大作にしてしまうなんて思ってもみなかったからだ。 すごい!! 「さがす」で一躍名を馳せた片山慎三監督のこれまでのキャリアが爆発。 オープニングの雨のシーンから撮影がすごい。そこからアングラの真逆を行くロケ撮、カメラワーク。時に大自然、夕日、海を大作感たっぷりに美しく撮り、戦場での1カット長回し、時にあえての手振れを起こす手持ち撮影、新旧合わせ技のトリック撮影、まさしく「総動員」。 大枠は「ねじ式」と同じく、いくつかのストーリーを足し合わせての構成だが、うまいのはちゃんとラストが収まるように、つまり「超大作」としての体をなすべく物語を完結させている点。 映画なので、集客はしなければならないため、戦場シーンを予告にいれたのは、ちょっとばかし驚きを殺してしまってはいるが、それでもそんなシーンがあんなところで、と鑑賞中でもインパクトは絶大。 ただ公式で「あの作品」を参考にしている、と監督が発言されたらしいが、それを言ってはダメ!!(主人公の顔のぐるんぐるんして逃亡するカットもこれのオマージュですかね) ということだから、というわけでもないだろうが、「ラブストーリー」ということで宣伝はされているが、必然的に「反戦映画」としての一面も持ち合わせている。天井のシミが「あれ」になって「始まる」のだから、絵描き志望の想像力か、童貞の想像力か、ともあれなんとも切ない。 ただしちょっと物議を醸しだす設定、描写もあるため、批判も多いとは思う。 だけど、激しい性描写も含め、「超大作」の体をなした「猛毒映画」というバランスが、オレはとっても心地よかった。 序盤は我慢しなさい。 追記 中盤、「アマポーラ」が流れることからも、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、個人的には、ジャコ・ヴァン・ドルマルの「ミスター・ノーバディ」('09)あたりの語り口の良さも感じていい気分で帰った。 追記2 同時に「ルート29」のことをちょっと思い出した。「詞」を「詞的」に映像表現することもそりゃあ、もう大変なことだ。ただ森井監督には次作はスコーンと観られるものをお願いしたいなと。 いずれにせよ、片山監督と森井監督には今後も大注目。
幸せへの執着
今年一のイミフ映画。 片山監督のクセが全面に出ている。いくら何でもとっちらかり過ぎて2時間強画面を見続けるのがやっと。にしても設定と構成に対して尺が長すぎるって笑 成田凌目的での鑑賞だったけど、「スマホを落としただけなのに」に引き続き理想の成田凌が見れたからこれは満足。目をかっぴらくだけで狂気を演じれるのズルいって笑 怖い超えて笑っちゃうもん。まともじゃない彼が大好き。どんどん映画出てくれ頼む。 まぁ、とにかく中身のない映画。 ストーリーとかも何もなくて、ただひたすら犯罪行為を繰り返したり、男女の交わりを繰り返したりして時間が経過していくだけ。しかも描写が土臭くて全然綺麗じゃない。狙ってるんだろうけど、せめてモザイクはやめて欲しい。R15+に留めておきたいならカメラワークで見せないようにして欲しいし、全体をうつすならR18+にして本気でやって欲しい。この中途半端な感じがどうも気に食わず、同じく成田凌主演「窮鼠はチーズの夢を見る」が見たくなった。男同士のBLだったけど、あの生々しさは一周まわって綺麗で非常に上手い撮り方だった。 しかも全てにおいて肝心なシーンが短くて、どうも面白味に欠ける。特に、共同生活を始めるくだりがこの映画ではいちばん大事なはずなのにあっけなく終わってしまうし、そこからの展開も尾弥次が首を突っ込んでくる以外はほとんど動きがないもんだから、奇天烈なカットのおかげで飽きはしないけど、絶望的にワクワクがない。 そこからの現実と夢?の行き来の下りもなんかよく分からないし、ようやく映画っぽくなったと思ったら中身は相変わらずでお色気シーンが続くばかり。戦争の描写もあったけど、主人公の立ち位置が理解出来ず、一体誰に向けたなんの映画?って感じでどうもハマれなかった。 まあでもキャストは良かったし、全シーン台湾ロケというのもあって全体的な質感はなかなか引き込まれるものがあった。ただ、予告とイメージが違いすぎて、正直期待はずれ。色々やってるけど結局は枠内に収まったことしかやってないし、ぶっ飛び具合もあんまり。成田凌の怪演を見るだけのための映画。「さがす」みたいなオモロエンタメはなかなか作れないよねぇ。
片山慎三ワールドを堪能
つげ義春よりも片山慎三監督の世界観が色濃く出ている作品。難解なのは覚悟していたが上映時間が少し長かったかなと感じた。そしてよく成田凌がこの役を引き受けたなと感心するくらい難役だった。一般受けする作品ではないが片山監督作品は是非映画館で観て欲しい。
相変わらずいい表情するねー
のっけからぶっ飛ばしてくるわ(突き刺してできた穴…) まさにエログロナンセンス全く月並みでない作品やね。 多分ほとんど理解できてないんやろうな~そう観てる方も何がわかっていてわかってないのかが曖昧、その辺が着地点なんやろうな。すべてをわかろうとするなんて、人間の傲慢ですね(^^;
「何か」が足りない
シュールな世界を作りたかったんだろうけど、全てが偽物っぽくてノレなかった。 役者はみんないい演技してたけど。 中村映里子は魅力的だけど。 ------------------------------------------------------------- 片山慎三監督の作品は『さがす』も観ました。 うまく言語化できないけど、この監督の作品は他の映画にある「何か」が足りない気がします。 いい映画になるために必要な「何か」。 何なのかはわからないけど。(^^;
274 ガッチャーン、吹っ飛ぶ女 おお!ゴンズ様新記録!
2024年公開 一歩引いていても成田凌カッコええわ 中村映里子ってこんなに艶やかやった? 森田剛、俳優ぽかったよね。 竹中直人胡散臭くていいねえ。 出演者に演技オーラが光っているので 話の筋がぐちゃぐちゃなのは気にならず。 普通に考えると大東亜戦争遠方の国で 現地娼婦と仲良くなり日本に帰ろう という矢先に負傷。 夢の中でも貧乏生活。 が繰り返される。 夢の中ならもう少し華やかな夢を見たいが。 観衆にえ?いったいどういうこと? わからんやろ、それが狙いよ と監督が思っているなら巨匠気どりは やめてほしいけどね。 60点 初鑑賞 2024年12月13日 イオンシネマ桂川 配給 カルチュア・パブリッシャーズ
つげ義春漫画と映画の根本性の見事な止揚
つげ義春は現実とも夢ともつかない混沌世界を描いた作品を数多く執筆した。『ねじ式』や『ヨシボーの犯罪』、『コマツ岬の生活』、あるいは本作の原作『雨の中の慾情』もそれに当たる。 これらすべてに共通しているのは、現実と夢の間に、あるいは正気と狂気の間に決して境界線を引かないことだ。すべてはシームレスに繋がっている。さっきまで目医者を探していたはずの男は気がつけば機関車に乗っている。犯罪の証拠隠滅に街を奔走していた青年は山中に雰囲気のよい旅館を発見して小躍りする。 原因と結果が論理を媒介することなく結びついている彼の漫画世界は、ある意味で統合失調症的とも形容しうる危うさはあるものの、我々の論理的な思考体系に揺さぶりをかけてくれる。その揺さぶられる快感こそがつげ義春漫画の妙味だ。 以上を踏まえた上で本作についてチョロチョロ書いてみたい。 物語はとある村を舞台に、義男(成田凌)、福子(中村映里子)、伊守(森田剛)の3人の人間関係を描き出していく。義男は福子に想いを寄せるが、友人の伊守が福子とくっついてしまう。福子の媚態を目の当たりにしながらそれをものにできない不能感が逆説的に福子のコケティッシュさに拍車をかける、という官能物語がしばらく続く。 しかし中盤以降、それまでの世界に変調が訪れる。さっきまでラフなシャツ姿で漫画を描いていた義男は、気がつけば軍服を纏って戦争地帯を逃げ回っている。どうやら本作の舞台となる世界は「村」と「戦場」に大別できそうだ。しかしそのどちらが「現実」であり「夢」であるのかはなかなか明らかにされない。 というのも、それぞれの世界が互いに断絶しているわけではないからだ。互いが互いを参照し合い、どちらにも決定的な優位性は与えられない。このあたりはつげ義春っぽいなと思った。ワンショットの中で「村」「戦場」が切り替わるシーンはことさら強烈だった。 村の外れで轢き逃げされたはずの女を見かけ「大丈夫だったんですね」と声をかける義男、唐突に悲鳴を上げる女、カメラが右側にパンすると、逃げ惑う群衆とそれを追う日本兵たちが迫ってくる。さながらテオ・アンゲロプロスやエミール・クストリッツァのような叙事詩的ショットだった。 とはいえ2つの世界の混線ぶりの中に、次第に一筋の最も妥当な「現実」の可能性が浮上する。それは、義男は戦場で少女に射殺され、福子は娼婦のまま義男に再会することができないというものだ。つまり「戦場」が「現実」であり、「村」は「夢」であるということ。 原作であれば何もかもが宙ぶらりんのまま完結しているところだが、そこに敢えて明確な(それでいて内容を著しく毀損することのない)境界線を引くというオチのつけ方に、監督・片山慎三の作家性を見た。片山の代表作『岬の兄妹』が雄弁に語るように、彼の視線は常に突飛な空想の底を走る揺るぎなくどうしようもない現実を眼差している。 正直つげ義春作品なんだから宙ぶらりんのまま終幕してもらった方が原作ファンとしては嬉しかったのだが、それでは映画である意味がない。「現実」と「夢」に明確な境界線を引くという本作の結末は、本作が一個の映画として屹立するための必然性だったのだろうと思う。 思えば石井輝男『ねじ式』は一言一句原作通りに原作を再現しているにもかかわらず決定的に退屈な作品だった。やはり「この世界のどこかに実在しているもの」を撮って繋げるという映画芸術の性質上、現実をまったく無視することはできない。無理やりしようとすれば、それは嘘臭さとして表出してしまう。 本作は「つげ義春っぽさ」を最終的には放棄しているにもかかわらず、つげ義春の映画作品を観たという圧倒的な読後感が味わえる。それは、つげ義春漫画の性質と映画の根本性が見事に止揚された結果だと言える。年末に思わぬ傑作が観られてよかった。
思いがけない傑作
冒頭、「慾情」というタイトル通りのシーンで思わず「バッカじゃないの」と叫びかけましたが(ほめ言葉)、 それが展開するにつれてこんな映画になっていくとは! 実はエロスとタナトスの対比だったのです。だって本当は主人公は…… 妄想と空想と願望と現実とが渾然一体となり、IFでもありマルチバースでもありタイムループでもある、それが一つの悲しみに集約されていくラスト、本当に素晴らしかった。 片山監督にこんな映像と演出のセンスがあるとは思いませんでした。
予告編のほうがよかった?
うーん、YouTubeとかで見た予告編のほうがよかったような……。 この複雑な物語を組み立て仕上げていく監督の技量、それからキレのあるカットも散見され感心しましたが、映画作品として面白くなかった。退屈だと感じる時間も長かった。 予告編だけで十分だった……かも。 追記 劇場に観客は6人ほどいましたが、僕以外は全員女性でした♡ 報告おわり。
愛と幻想のねじ式
つげ義春が1981年に描いた短編エロ漫画のタイトルなのだが冒頭に繰り広げられるシュールコミカルなシーケンスがその漫画を執筆中の成田凌(義男=つげ義春)の妄想というだけででこれが原作というよりつげ義春的漫画家そのものを描いた愛と幻想のねじ式である。片山慎三監督と撮影の池田直矢のタッグは相変わらず強力で移動撮影が圧倒的に上手く、今回の台湾ロケが「つげ風ワールド」を見事に再現していて角を曲がると一気に戦場へと連れて行ってくれるダイナミズムがたまらない。クリストファー・ノーラン的な時系列行きつ戻りつの中に夢想の過去が混ざって来るので決してややこしくはないのだがややもすると真面目に筋を追う気持ちを失わせる危険な映画である。しかし132分は長すぎでうんざりの一歩手前。戦場との行ってこいをあと一回カットしてくれれば良かったのに。
成田凌推しの方は見るべし!
予告からカオスで楽しみにしていた本作! 結論、想像より凄かったw そして久しぶりに、あの手のモザイク見ました。主役の成田凌は流石のスタイル、着流しのtシャツ・スラックス?だけで様になり本当に羨ましい! 竹中直人の胡散臭さは、もはや芸術w 中村映里子も、情婦を好演しており、とても楽しめました。(森田剛は…森田剛でした) ストーリーは、ある地点で冗談な事が起こります(私は、匂わせに気付きました) また、時間軸もどちらでも成立しそうな…と個人的に感じました。 正直、万人にはオススメしませんが、ディープな世界に入りたい方は入門で良いかと思いました。 是非、映画館でご鑑賞くださいませ。
雨の中の欲情
最初からエロ一瞬見る映画間違えたと思っただから男性が多いのか納得。 女性は自分含めておばさんのみ。 女性が車にひかれてミラーにあたり田んぼに落ちるのは面白いけど怖い。 戦争中現代コロコロ変わるから分かりにくいし夢の中はエロ満載エロないと作品として成り立たない? 森田剛アイドルだったんだよね? 普通におじさん映画出てるの初めて観た。 まだ前田敦子出てたコンビニ~の方が面白かった。
楽しい作品だが、
「パラサイト」のポン・ジュノ監督に師事していた片山監督らしく、暴力描写や性描写、すなわち人間描写に妥協がないところが好きだ。かつ、色んなテクニックを駆使した撮影・演出でしっかりエンターテイメントになっているところが片山作品の特徴かなと思います。 本作はとてもトリッキーな作りになっていて、これは脚本一体どうなっていたんだと思いましたが、やはりシナハンや現場でオリジナル展開をどんどん足していったようで正直シナリオとしてはまとまりのない作品だったかと思う笑 色んな作風や演出、アイディアがてんこ盛り。 ただし、そこは成田さんをはじめとする役者陣が大奮闘しているのでそれなりに観れてしまう。 死の直前に観る走馬灯のようでもあり、全てが夢でもあるというつくりは面白いし、雨や水道の水が夢の中ではとめどなく流れ出ているのも、欲情に歯止めが効かなくなった主人公の観る夢ということで筋が通っている気もするが、やはりそれに対する戦争パートが欲情を奪われた世界線(こっちが現実)という位置付けになっているように感じるので急にテーマの相性の悪さを感じた。夢と現実が上手く対比になっていなくチグハグな印象を受ける。戦争パート自体の映像はよかっただけ(片山監督による戦争映画が観たくなるほど)に、もったいなく感じた。 前半のあのバス停の映像の力、構図の力がすごかったので、やはり最後もあのバス停をベースに夢と現実の決着を描いて欲しかった。 「さがす」の西成区や本作の台湾の街並みなど古き良き日本の姿というか、一見バラックのような無秩序な街並みに美しさを見出してるところに、つげ義春漫画と片山監督作品との共通点を感じた。 個人的には中盤の西の国で嘘みたいな宮殿で暮らす森田剛演じる伊守の楽しそうな姿が印象に残っている笑
全く中身の無い意味不明の作品
成田はスマホ映画でお馴染みの変態役が多いのでそちらのエロ系も期待したが今の時代にモザイクなんて実際はやってないんだろうけどウケない そもそも時代や地域は表示されてないがいつの時代の設定なのか特に台湾とも明記されずあれは国民党軍で戦場はどこなんだか妄想の世界?
旧態依然の映画ファンには最高
エロ。 グロ。 反体制的。(反戦、反核、9条改正反対) 正義。 そのすべてが旧態依然の精神性がある。園子温的な映画がまさにそれである。 この映画も何かその雰囲気を醸し出している。監督の自発的な企画ではないから、もしかして最初は白石和彌監督とかにお願いしていたのかも?なんて考える映画。 古い。 片山監督のもっと違うの見たいな〜
夢のリアリティ
時空が跳んで人も入替るので戸惑うが、丁度「虚史のリズム」を読んでいるところだったので、すんなり入ってきた(あまり関係ないです) らんぼうが出たので神保町あたりかと思ったが、中国でした(これも関係ないです) 片腕は水木さんを思わせたが、つげさんの夢を拡げたのだろう 子供達の脳髄液を売ったり、日本軍の虐殺の悪夢から離れられない男の夢の中の欲情
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