雨の中の慾情のレビュー・感想・評価
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三重構造の果てにあるのは、悲観的な自己否定と当時の絶望が入り混じっている
2024.11.29 一部字幕 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(132分、R15+)
原作はつげ義春の短編漫画「雨の中の慾情」を導入に「夏の思いで」「池袋百点会」「隣りの女」のエッセンスを加味している
売れない漫画家としがない小説家志望、訳あり未亡人を描いた恋愛映画
監督&脚本は片山慎三
物語の舞台は、とある国の寂れた町・北町(ロケ地は台湾+秋田県)
売れない漫画家の義男(成田凌)は、長屋住まいながらも家賃の支払いに困窮していた
彼は、大家の尾弥次(竹中直人)から紹介された訳あり仕事で生計を立てていて、親友の小説家志望の伊守(森田剛)ともに不景気な世の中を凌いでいた
ある日のこと、尾弥次の知り合いの孫・福子(中村映里子)の引っ越しを手伝うことになった二人は、ボロい車で郊外の邸宅へと向かった
呼びかけても反応がなく、義男が中に入って福子を探しに行くと、彼女は2階の一室にて、全裸のまま眠りについていた
その美しさに魅了された義男は、何を思ったか、そのへんに落ちていた紙に彼女の裸体を書き留める
目覚めた福子は、「さわらずに描くのね」と言い、二人の奇妙な出会いは幕を開けた
その後、福子は北町の喫茶店で働くようになり、義男も常連となっていく
だが、福子はいつの間にか伊守と付き合い始めるようになり、義男には絶望が募っていった
映画は、伊守の知り合いの編集者X(梁秩誠)から、栄えている南町の商店PR冊子の真似事をする様子が描かれ、悪どい営業マン・須山(足立智充)との関係も描かれていく
広告掲載を餌に前金を集めて冊子を作るという方法は、当初は断られ続けていたが、一軒の契約を取ったことから、少しずつ増え始めていく
だが、須山は知らない間に多くの契約を結んでいて、その金を持って逃げてしまった
伊守も身を隠すために福子と一緒に義男に家に潜り込むものの、伊守は「実は南町に妻がいる」と言い残して逃げてしまう
やがて、商店主たちは義男の居場所を突き止め、彼らは絶体絶命のピンチに陥るのである
と、映画はこの前半部分が実は義男の妄想だったという構成になっていて、ゆくゆく漫画になるプロットのようなものになっていた
現実の、彼は戦時下で手足を失った兵士であり、唯一まともに動くのが頭と利き腕だけだった
伊守は戦友であり、福子は娼館の女、尾弥次は軍医として存在し、義男は身近な人々を使って妄想を繰り返していた
その後も、虚実不明なシーンが展開され、一体どっちが本当のことなのかわからないように混濁していく
だが、彼が手足を負傷する経緯を思い出していくうちに、妄想の中身もやがて変化していくことになる
冒頭の濡れ場は「雨の中の慾情」の一幕であり、彼が福子に渡した漫画の一節なのだが、それが無惨にも無視されている状況を目にする
それでも、女性に対してエロい漫画を手渡すという意味不明な行動があって、彼自身は福子との関係をまともにしていこうと考えていないように見える
福子という女性が本当にいたのかも曖昧で、現実で起こっていることも一種の妄想になっていて、いわゆる三重構造になっているように思えた
いずれにせよ、エログロ満載のつげ義春の漫画の実写化なので、モザイクがガッツリ入るシーンもあれば、戦時下の戦闘シーンもかなりエグいものになっている
どこからが妄想かわからない世界観なのだが、不思議と見入ってしまう作品になっていて、テイストが合う人はOKだろうか
ただし、エピローグに向かうまでがちょっと長いので、もう少し削っても良かったのかなと思う
映画は、ほぼ台湾で撮影され、追加撮影を日本でしているが、この世界観に合う街並みが日本にはないことが理由だという
日本のどこかの町と言うよりは、満州などのように日本が進出してできた町と言う感じになっていて、それを体感するのは良いのかな、と感じた
微妙!長いし、後半タイムループしすぎてよく分からん
後半入った辺りまではまずまず面白かったんだけどなー。レトロなんだけど昔すぎない感じがあって。
戦時中シーンに入ってからがおかしなことに。夢?ほんとは何?設定が飛ぶし繰り返すし、多分みんなラストあたりは終わってくれーって、飽きてたんじゃないかな。
あと、やたらエロいシーンが多かった(笑)
成田くんと中村さん、何度も脱いだかね?(笑)
やっぱり森田剛は見せなかった。
最後のペットシーンなんて思わず笑いそうになった。
君、誰?って。
しかも中村さんは、遠野なぎこに見えるし(笑)
微妙な不思議な映画でした。
めくるめくつげワールド
エロス、カオス、うおー、原作を読んだときと同じ感覚・・・だった気がするだけで、実際はどうなのかは怪しいです─というのも原作なんて覚えていないので─でも、わっけわかんね、けどいい・・・いいと思ったのは若かりし格好付けたような思いとかではなく、ホントに良かったんだなぁと、この映画を見てあらためて思った次第。 変な世界をインモラルにぐるぐる回るこの話なんて、まぁ嫌になる人も結構いるんだろうなぁと思いながら見てました、正直・・・何せ出だしからああですからねー。 決して楽しい内容でもないし、出てくる人はみんな嫌な感じだし、行いも色々問題あるし─。それでも、原作で感じる少し色あせた地味な感じとは違って、結構カラフルな印象の映画だった気がします、いい悪いは別として─。 何気に主演の成田凌がハマっていた気がしました。巡っていく世界の中でも、それぞれ役柄がしっかりと変化があって、混乱しそうになるところを、彼の演技で見やすくなっていたような─。他の脇の方々も、台詞回しとか雰囲気とか、見事に世界観に合わせたような感じで、同じように素晴らしかったのですが、その代表者が成田凌だったというところです。 原作を大胆に脚色しながら、原作の良さを失っていないような作品なのかもしれません、といっても、原作の記憶が希薄なので憶測にすぎませんが─。 率直に楽しく見ることができたました。
夢の中の月並みな幸福(しあわせ)
鏡と目。そして、誰かが始めた良からぬことに唆されて、主体性なく後乗り(戦争などでも言えることか?)。別れは、自分の中でその人を殺すこと。ならば、夢の中で逢えたら別れなくていい。性欲から始まった恋も、やがて愛に帰結するのだろうか?市井の人々からこぼれ落ちて、普通の生活ができない人がいること(=そこに一貫した作家主義を感じる)。あるいは、そういう時代が確かにあったこと。 地続きの奇妙ヘンテコさに、テーマなど掘り下げて考え始めると頭の中の理解が追っつかない。この作品で何を伝えたいのだろうか?衝撃のオープニングシーンから、正直全くもってオーディエンスフレンドリーな内容ではないので、観客ウケは悪そう。監督の作品はその否定しようのない力強さと鑑賞後に感情や理解の処理に困る作品ばかりの厄介なフィルモグラフィーで、本作もまた見終わった後にああでもないこうでもないと考えてしまうが、今までのそれとは毛色が違うことは確か。 監督だけの予定だった舞台挨拶にサプライズ成田凌!台湾ロケありきの企画だったとは。
何処までが夢?現実?
東京国際映画祭で拝見致しました。舞台挨拶などもあり朝10時に始まる回に行きました。朝10時じゃなくて夜観たかったなー。中村映理子さん演じる福子さん魅力的だなー。ケツの穴まで舐め回す女には笑いました。森田剛さんや竹中直人さんが個性的な役で、脇を固めています。成田凌さんや仲村映理子さん難しい訳ですよねー。1回じゃ良くわからないです。何処までが夢?現実?
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