雨の中の慾情のレビュー・感想・評価
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アート的?な奇妙かつファンタジーな変態映画
予告でわりと流れてて気になり見てみました。序盤の感じは予告で見ていて想定していた感じのものでサクサクと進んでいきます。設定的に時代背景や日本なのか海外なのかもよくわかりません。ま、でもその辺はこういう世界なんだなとすんなり受け入れて見ていけば気になりませんでした。後半になり、実は戦争で負傷した主人公の夢だったことがわかるのですがそこからが時系列がめちゃくちゃになり、見ながら見る側の解釈でうまく整理していかないとついていけなくなります。最終的にはあの戦時中の映像も主人公の妄想なのかな?と、思う感じに終わります。たぶん唯一の現実は最後のシーンだけなのかなと思いました。自分はそういう風に解釈しました。あとはすべてヨシオの妄想の世界を映し出した?感じなのかな。
もはやこの作品は私が思うにはストーリーがどうとかはもうどうでもよくてその時、その時に描かれる描写を見ていく、なんとなく美術的なアート作品を延々と見るようなそんな感覚で見ていきました。もう少し尺は90分くらいでもいいのかなと思いました。最後の方はもう早く終わんないかなと思ってしまったので。
内容的にだいぶ頭のおかしいバカバカしいところが結構あるのですがその辺がギャグやコントみたいにならずどこかシリアスな空気感を出してやれてるのはやはり演者の皆さんの間違いない演技力があってこそだと思います。
中西柚貴さんや中村映里子さんは初めて見た女優さんでしたが体を張っていて演技もとても良かったです。中西さんは最初、元BiSHのチッチなのかと思っちゃいました(笑)
出演者の方はどの方も間違いない演技力をお持ちの方なのでその辺りは評価されるべき点かなと思います。
ただ、内容が内容なだけに劇場で見ると人によっては金返せと言いたくなるかもしれませんので、どんな作品でも寛容的に捉えられる方でない場合はサブスクになってから見るでもいいと思います。
自分としては見て悪くなかったなと思います。
期待度○観賞後の満足度◎ もろ「ザ・昭和」の題名(つげ義春作品だから当然だか)だけれども、『海の沈黙』や『正体』で消化不良となった眼にはこれぞ「ザ・映画」。
①キーワード:“眠らないよ、眠ったら起きちゃうもの。”
②成田凌もだんだん大人の役者になってきたね。
③「夢」の中ではそれが「夢」だとは思っていなくてそれがリアルだと思っているよね。すんごく離れている町なのにちょった歩いていて其処に着いたり、突然目の前に川が出現してデカイ魚が泳いでいてもいつの間にかそれが普通と思ったり(しかも知らぬ間に足浸けてる)、知らぬ間に知らぬ筈の町に来てもいつの間にか何度も来ている町で向こうの角の先に何かあるか何故か分かっていたりこの道がどこに続くか分かっていたり、学生時代の友達が会社にいて同僚として一緒に働いても全く自然に思っていたり、好きだった人を突然思いもしないところで見かけたり、前に「夢」の中で訪ねたところをいつの間にか再訪していたり(道とか店とか事務所とかどこで電車を乗り換えたらよいかも日常生活みたいに知っている)、“あっ、今のは「夢」だった”。と起きたつもりが実はまだ別の「夢」の中だったり、何故かこれは「夢」だと分かっていてしかもこの先嫌なことが起こるのが何故か分かるので“起きなきゃ!”と必死の思いでその「夢」から覚めたり=起きたり、まだまだ数えきれなくあるけれど、まあ今ポーッと思い出せる自分「夢」の残像はこんなところです。
④そんな「夢」のあわいを次々と移り行く映像で綴っていく映画。現実は漫画家になりたかった兵隊の自分と戦地(?)で知り合った現地の女とのかりそめの情事だろうけれど、そんなことどうでもよいように思える不思議な映画体験である。
⑤でもボカシはそろそろ止めてほしいよな。
どれが夢やら現(うつつ)やら
今日は調子悪いだけ
つげ義春ワールド
長え😅
日台合作なのね…
福子の魅力が半減してしまう、脚本の欠陥とは
つげ義春先生の原作は未読です。ねじ式とか、他の作品は何作か拝見したと思いますが、あまりに良い意味で支離滅裂(笑)、そしてシュール過ぎる作風からか話の筋が全くというほど記憶に残っておりません。もしかしたら深層心理の奥のほうに刻まれてるのかもしれませんけど。
今作は冒頭の雨宿りのシーンから品の無い欲情映像全開でいったいどんなエロが展開されるのか大変興味が湧きましたが、そこからつげ義春テイストが徐々に発揮され不条理でありつつも映像が落ち着いていきます。
台湾ロケとのことですが昭和の戦中戦後を思わせる様な気怠い退廃的な空気が再現されており、音楽も古風かつロマンチックで作品世界に非常にマッチしていたと思います。
もともとつげ義春先生の漫画作品を言うほどエロいとか女性キャラが美くしいなどと思ったことはほとんどありませんでした。しかし、今作では福子を演じた中村映里子さんが綺麗な裸体を惜しげもなく披露しつつ妖艶かつ謎めいたキャラクターを全力で演じられており、エロ度と女性的魅力がかなりブーストされていた印象です。本当に素晴らしい役作りをされたと思います。ついついファンになってしまいました(笑)。
夢なのか現実なのか、はたまた欲望の妄想なのか分かりませんが、登場人物の設定やら場面設定やら時間軸などが目まぐるしく変化していく中で、常に主人公が惹きつけられる女性として福子が描かれます。福子に対する主人公のねじ曲がった愛情や欲情、嫉妬や執着、それらが静かに腹の底で黒くグツグツ煮えてる感じがしてとても良かったです。
ただ、前述の場面や人物の設定の変化があまりに頻繁で、映像に対しての集中力がその度にどんどん削がれるというなんとももったいない脚本の欠陥があったのも事実でした。
「え、またこれ?なんかしつこいし長いなあ」と正直思いつつ、福子の濡れ場だけはしっかり凝視してしまった自分が悲しいです・・・。
では。
総督府エレジー
朝鮮総督府時代から朝鮮戦争と台湾総督府の面影のあるロケ地で昭和エレジーを見事に彷彿させた。
台湾だからあの明るさと開放感があり、日本的な面影もあり韓国とも違う軽さがあり心地よかった。
ストーリーは、まるでクリストファー・ノーランのように、場面がピースパズルの様に時系列を超えて、夢と妄想を織り交ぜながら大日本帝国による激動に翻弄された敗戦者の儚いファンタジーに仕上がっているが、本当はエレジーだよね。
最高のロケ地とカメラアングル。
そして、義男を成田凌、福子を中村映里子、伊守を森田剛、尾弥次の竹中直人は実に見応えのある演技だった。
それにしても映里子さんの妖艶さには恐れ入りました。特にダンスが素敵でした。
惜しむらくは、映画の題名が日活ポルノのようで恥ずいです。
( ^ω^ )
雨の中の慾情
劇場公開日:2024年11月29日 132分
「さがす」「岬の兄妹」の片山慎三が監督・脚本を手がけ、漫画家・つげ義春の同名短編を独創性あふれるラブストーリーとして映画化。
ほぼ全編台湾でロケを敢行し、2人の男と1人の女の切なくも激しい性愛と情愛を描き出す。
貧しい北町に住む売れない漫画家の義男は、アパート経営のほかに怪しい商売をしている大家の尾弥次から、自称小説家の伊守とともに引っ越しの手伝いに駆り出される。
そこで離婚したばかりの福子と出会った義男は艶めかしい魅力をたたえた彼女にひかれるが、彼女にはすでに恋人がいる様子。伊守は自作の小説を掲載するため、裕福な南町で流行っているPR誌を真似て北町のPR誌を企画し、義男がその広告営業を手伝うことに。
やがて福子と伊守が義男の家に転がり込んできて、3人の奇妙な共同生活が始まる。
義男を成田凌、福子を中村映里子、伊守を森田剛が演じた。
「ドライブ・マイ・カー」の脚本家でドラマ「ガンニバル」でも片山監督と組んだ大江崇允が脚本協力。
2024年・第37回東京国際映画祭コンペティション部門出品。
雨の中の慾情
劇場公開日:2024年11月29日 132分
長い…
「夢」が効果を上げているようには思えない
冒頭の雷雨のシーンは、映画のタイトルそのもので印象深いのだが、やがて、これが、主人公が漫画を描く上での想像であったことが分かってくる。ただ、それと同時に、どうして出会う前の女性を想像することができたのかという違和感も残る。
その後は、いつの時代の、どの国を舞台にしているのかも定かではない、現実とも、妄想ともつかない不思議な物語が展開されるのだが、「つむじ風」のエピソードが描かれるに至り、これがファンタジーであることがはっきりする。
ところが、その矢先に、今まで観てきたものが、戦場で負傷した主人公が、病床で見た夢であったことが明らかになり、驚かされるとともに、夢だからこその辻褄の合わなさに納得もしてしまった。
ただ、そのまま「夢オチ」で終わるのかと思っていると、その後も、現実とも、妄想とも、回想ともつかない話が続いて、最後は、すべてが、主人公が戦死する直前に見た幻覚であったということが分かり、2度目の驚きを味わった。
結局、これは、異国の娼婦を、日本に連れて帰ると約束した兵士が、その約束を果たせないまま戦死してしまうという悲恋の物語だったという理解で良いのだろうか?
仮に、そうだとしても、それを描くのに、これほど込み入った展開と、執拗な「欲情」のシーンは必要だったのかという素朴な疑問が残った。
何よりも、現実と非現実の境界線が不明確な物語から、「悪夢」を見ているような感覚や、「迷宮」に入り込んだような効果があまり感じられなかったのは、残念としか言いようがない。
往年の日活なら85分で仕上げただろう。
夢現
不思議な苦痛を味わう
時系列もバラバラで、なんだなんだ?と意味がわからないままエロティシズムな幻想に付き合わされながらも、不思議と置いてけぼり感がない映画。台湾との合作と知ってなるほど、と腑に落ちました。日本とは違う世界観だからこそ幻想空間への誘いが自然だったような気がします。主人公の義男(成田凌)が戦争のさなかに片腕を失ったり、恐怖や苦痛で意識を失い狭間で見ている夢の中のお話、、だと思います(合ってる?)肉片が飛び散る現実を目の当たりにしながら、自己防御のために夢の中では恋愛だったり、エロだったり、ドラマティックな罪を何度も犯してしまう気持ちはわからんでもない。ちょっと二回観ようとは思えないけど(^^;成田凌さん含めて森田剛、竹中直人さんなど役者陣たちの濃厚で贅沢に選びぬかれた珍味な陳列シーンの数々を堪能できるのは、この映画ならではのような気がします。
個人の感想ですよ
三重構造の果てにあるのは、悲観的な自己否定と当時の絶望が入り混じっている
2024.11.29 一部字幕 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(132分、R15+)
原作はつげ義春の短編漫画「雨の中の慾情」を導入に「夏の思いで」「池袋百点会」「隣りの女」のエッセンスを加味している
売れない漫画家としがない小説家志望、訳あり未亡人を描いた恋愛映画
監督&脚本は片山慎三
物語の舞台は、とある国の寂れた町・北町(ロケ地は台湾+秋田県)
売れない漫画家の義男(成田凌)は、長屋住まいながらも家賃の支払いに困窮していた
彼は、大家の尾弥次(竹中直人)から紹介された訳あり仕事で生計を立てていて、親友の小説家志望の伊守(森田剛)ともに不景気な世の中を凌いでいた
ある日のこと、尾弥次の知り合いの孫・福子(中村映里子)の引っ越しを手伝うことになった二人は、ボロい車で郊外の邸宅へと向かった
呼びかけても反応がなく、義男が中に入って福子を探しに行くと、彼女は2階の一室にて、全裸のまま眠りについていた
その美しさに魅了された義男は、何を思ったか、そのへんに落ちていた紙に彼女の裸体を書き留める
目覚めた福子は、「さわらずに描くのね」と言い、二人の奇妙な出会いは幕を開けた
その後、福子は北町の喫茶店で働くようになり、義男も常連となっていく
だが、福子はいつの間にか伊守と付き合い始めるようになり、義男には絶望が募っていった
映画は、伊守の知り合いの編集者X(梁秩誠)から、栄えている南町の商店PR冊子の真似事をする様子が描かれ、悪どい営業マン・須山(足立智充)との関係も描かれていく
広告掲載を餌に前金を集めて冊子を作るという方法は、当初は断られ続けていたが、一軒の契約を取ったことから、少しずつ増え始めていく
だが、須山は知らない間に多くの契約を結んでいて、その金を持って逃げてしまった
伊守も身を隠すために福子と一緒に義男に家に潜り込むものの、伊守は「実は南町に妻がいる」と言い残して逃げてしまう
やがて、商店主たちは義男の居場所を突き止め、彼らは絶体絶命のピンチに陥るのである
と、映画はこの前半部分が実は義男の妄想だったという構成になっていて、ゆくゆく漫画になるプロットのようなものになっていた
現実の、彼は戦時下で手足を失った兵士であり、唯一まともに動くのが頭と利き腕だけだった
伊守は戦友であり、福子は娼館の女、尾弥次は軍医として存在し、義男は身近な人々を使って妄想を繰り返していた
その後も、虚実不明なシーンが展開され、一体どっちが本当のことなのかわからないように混濁していく
だが、彼が手足を負傷する経緯を思い出していくうちに、妄想の中身もやがて変化していくことになる
冒頭の濡れ場は「雨の中の慾情」の一幕であり、彼が福子に渡した漫画の一節なのだが、それが無惨にも無視されている状況を目にする
それでも、女性に対してエロい漫画を手渡すという意味不明な行動があって、彼自身は福子との関係をまともにしていこうと考えていないように見える
福子という女性が本当にいたのかも曖昧で、現実で起こっていることも一種の妄想になっていて、いわゆる三重構造になっているように思えた
いずれにせよ、エログロ満載のつげ義春の漫画の実写化なので、モザイクがガッツリ入るシーンもあれば、戦時下の戦闘シーンもかなりエグいものになっている
どこからが妄想かわからない世界観なのだが、不思議と見入ってしまう作品になっていて、テイストが合う人はOKだろうか
ただし、エピローグに向かうまでがちょっと長いので、もう少し削っても良かったのかなと思う
映画は、ほぼ台湾で撮影され、追加撮影を日本でしているが、この世界観に合う街並みが日本にはないことが理由だという
日本のどこかの町と言うよりは、満州などのように日本が進出してできた町と言う感じになっていて、それを体感するのは良いのかな、と感じた
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