雨の中の慾情のレビュー・感想・評価
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楽しい作品だが、
「パラサイト」のポン・ジュノ監督に師事していた片山監督らしく、暴力描写や性描写、すなわち人間描写に妥協がないところが好きだ。かつ、色んなテクニックを駆使した撮影・演出でしっかりエンターテイメントになっているところが片山作品の特徴かなと思います。
本作はとてもトリッキーな作りになっていて、これは脚本一体どうなっていたんだと思いましたが、やはりシナハンや現場でオリジナル展開をどんどん足していったようで正直シナリオとしてはまとまりのない作品だったかと思う笑
色んな作風や演出、アイディアがてんこ盛り。
ただし、そこは成田さんをはじめとする役者陣が大奮闘しているのでそれなりに観れてしまう。
死の直前に観る走馬灯のようでもあり、全てが夢でもあるというつくりは面白いし、雨や水道の水が夢の中ではとめどなく流れ出ているのも、欲情に歯止めが効かなくなった主人公の観る夢ということで筋が通っている気もするが、やはりそれに対する戦争パートが欲情を奪われた世界線(こっちが現実)という位置付けになっているように感じるので急にテーマの相性の悪さを感じた。夢と現実が上手く対比になっていなくチグハグな印象を受ける。戦争パート自体の映像はよかっただけ(片山監督による戦争映画が観たくなるほど)に、もったいなく感じた。
前半のあのバス停の映像の力、構図の力がすごかったので、やはり最後もあのバス停をベースに夢と現実の決着を描いて欲しかった。
「さがす」の西成区や本作の台湾の街並みなど古き良き日本の姿というか、一見バラックのような無秩序な街並みに美しさを見出してるところに、つげ義春漫画と片山監督作品との共通点を感じた。
個人的には中盤の西の国で嘘みたいな宮殿で暮らす森田剛演じる伊守の楽しそうな姿が印象に残っている笑
つむじ風
まるで誰かの夢を覗き込んでる感覚に陥る。
冴えない漫画家の義男が虚実妄想の世界に
入りねじ回る空間と独特の曖昧さが
じわじわくる。
愛、性欲、暴力、戦争、欲望、金欲が現実と夢の間にヒラヒラと紙のように舞い降りて、混沌と
いう侘しさをずっと引きずっていく。
中村映里子さんは綺麗。
レトロ感と怪しげな色気は似合っていた。
冒頭の雨のシーンが一番好き。
あの哀しさがモノクロだし。
まさかの田んぼの行為は少し笑ってしまったが…。
国家に従わなければならない考えと不均衡な現実が色々な欲を生んだ
そして愛は甘くないのとも伝えている。
つむじ風が余りにも異様で欲望より怖かった。
全く中身の無い意味不明の作品
色々
エロい、なんて馬鹿馬鹿しいと思っているうちに、不思議と哀愁みたいなものも感じるし、毒も含んでいるし、結構面白かったです。映像は綺麗です。
義男がもっとギラギラした男だったら嫌だったかも、成田凌さんで良かったです。森田剛さんも良い味出してました。
夢と分かってからが結構長いです。場面はどんどん変わっていき、とりとめのない夢を見つつ合間に現実が割って入りますが、あの、ペンを受け取るところも夢だよね、なんて考えながら観ていたらちょっとクラクラして疲れました。
小さい子供の頭に注射針を刺すところはショッキングで、R指定の映画に幼児を出すのは本人が自分の出演作を観られないんだから、あまり好ましくないなと思ってしまうのは、私の頭が固いでしょうか。(赤ちゃんならいいかな)
旧態依然の映画ファンには最高
夢のリアリティ
怠惰
「さがす」は中々に衝撃的な作品でのめり込んで鑑賞し、共同作品である「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」ではお口あんぐりなくらい謎すぎて片山監督の方向性が掴みづらかったんですが、今作を観てより分からなくなりました。
原作に一気に染まる方なのか、実はこういう作品をやりたかったのか、より片山監督に興味を抱くような作品になっていました。
序盤の衝動的な脱がしまくりからの男女の合体は生々しくもアクション的なところがあり、ここからどんだけ激しいことをしていくんだろう、どうやって話が展開されていくんだろうとワクワクしたんですが、性行為絡みのシーンで昂ったのはここが最初で最後だったかもしれません。
慰安婦と性行為をするというのがメインで、色んな人との性行為だったり、町での出来事だったり、主人公の義男の漫画作りだったりがベースに進むんですが、戦争によって負った肉体と精神の傷が一直線であった物語に大量の分岐を招いた結果、性行為メインでは終わらない謎を生み出しまくっていました。
時々ふざけまくるシーンがあって、最初はノイズだなと思っていたのですが、時間軸が移動しまくりのカオスな作品なのもあって、それがコメディとして働くようになっていってからは笑ってみれるようになりました。
轢き逃げのシーンはグチャアと轢いていくスタイルの作品なのかなと思ったらポーンと田んぼの方に飛んでいきますし、合成バレバレの安っぽい感じなのが味を出していましたし、轢かれて電柱にバチコーンぶつかったはずなのに顔が傷一つないのもハチャメチャで笑っちゃいました。
性行為に及ぶ時はなぜか場面転換しまくるのでそこはどこやねんって場所でやってたり、牛たちの前で堂々と体を交えなさんなともなりました(牛たちはエンドロールに名前がありました)。
義男が戦争によって苦しんでいるということを加味しても目をかっ開いてブレブレの映像で走り回るというどこぞのスマホの成田くんを観ているようでこれまた笑ってしまいました。
大量にいる町の住人たちがワラワラしているのもカオスに拍車をかけていましたし、台湾人の子供がケツアナを広げる女だ〜って言ったシーンは思わず吹き出してしまいましたし、言語の壁だったり意思疎通だったりがここまでコメディになるとはと驚きもしました。
キャスト陣はもうそれはそれは体を張りまくっていて、成田くんと中村さんはやはり脱いでる時間の方が多いくらい交わっていて、それもまた強烈なシーンが多いのもあって大変だったろうなと思いました。
森田くんの唾を飲み込みながら喋るシーンがたまらなく好きでしたし、胡散臭いオジサンを演じさせたらこの人は強すぎる…と改めて思いました。
夢オチなところはガックリしていましたし、時系列シャッフルで分かりづらさに分かりづらさを上塗りしているような感じだったので乗れない部分もありましたが、なんか嫌いになれない憎めなさがある作品で、性行為以外は概ね笑って観れたりしたのでやっぱ変な映画って良いなと思いました。
鑑賞日 12/5
鑑賞時間 11:20〜13:45
座席 E-14
⭐︎3.2 / 5.0
不条理
つげ義春の不条理な世界がよく表現されていたと思う。理解しようとせずに、ただ受け入れる事。
そして、成田凌が意外とつげ義春キャラに見える。
後半はガラッと映画が変わったようになり、そこからの見応えがスゴい。「ジェイコブス・ラダー」を思い出した。
印象的なカットが多く、残る映画だったが、やはり、少し長いかなぁ。
#雨の中の慾情
最初のエロがピーク
2024年劇場鑑賞319本目。
土砂降りの雨の中、バス停で雨宿りしていると雷に異常に怖がる女性。「金属製の物外さないと危ないですよ」と男性。そのボタンも、そのブラも、と言われるがままに裸になっていく女性。なんで胸隠さないん?バス停にも金属が使われていたのでバス停から離れる事になるパンツ1枚の男女。田んぼでお尻突き出して転ぶ女性。いやもうこれはムラムラせずにいられないでしょ!って何のAV?(笑)
その後もボカシ入りのエロシーンが何度か出てきますが一番エロかったのはやっぱり冒頭のシーンですね。
エロのピークが最初だったので、後はいつの時代か、国も日本とは単純に言い切れない不思議な世界観で、後に色々展開があって筋は通るのですが、その種明かしが早いというか、いつ終わってもいい状態が三十分くらい(時計見たわけじゃないので体感ですが)続くので蛇足でした。
奇妙な映画体験がクセになりそう
主演と監督、原作者くらいだけ知ってる状態で鑑賞
中盤以降の展開は最初こそ戸惑いましたが、各世界観のディテールを見るとなんとなく整理できるため、自分の解釈があっているのなら、現実パートはごく一部。大半が夢や妄想のようなものとしても、そこで描かれているものはところどころで「現実パート」とも薄くリンクしているため、作品トータルとして見せたいものは伝わってきます。
戦中期の占領地のものと思われる日常描写や戦争描写も、台湾で撮影することでより味わい深いものになり、全体の幻想的なイメージをより高めてるのでしょう。
変な映画といえば変な映画ですが、提示された世界観はかなり好きで、機会があればまた見てみたい作品です。
役者の無駄使い
つげ物とは大分異なる
人間の営みの喜劇性
愛の映画でありながら、それに絡めて戦争を美化したり、悲劇一辺倒に描いていないのが新鮮で素晴らしかったです。
どんなに厳しい追い詰められた極限状態にあっても、
慾情に揺さぶられてしまう滑稽さ(喜劇)が同居しているのは、
リアルな人間像だと感じました。
美しい配色の画面、
切れ目なく舞台転換するカット、
時間軸も含めて夢と現実が頻繁に交錯する構成、
そしてなにより、たくさん出てくる戯画的、幻想的な表現が
映画の世界観と適合して、強く心を揺さぶられました。
ラブシーンも変な艶っぽさは少なく、
ときに戯画的で、本能にしたがう動物的な大らかな表現が印象的です。
全体に癖の強めな、少し不快感さもある濃厚な表現の中、
夢に溺れそうな状態で観ていましたが、
成田凌さんの一服の清涼剤のような爽やかさに悲しみ(雨)や純愛が現実であってほしいと強く思わされました。
映画表現の潜在力をまざまざと見せつけられた時間でした。
無理に何かをわかろうとする必要はない
つげ義春は60年代後半から70年代にかけ当時支持されていたので「ねじ式」「紅い花」「ゲンセンカン主人」等を貪るように読んでいた。その単行本やGAROは私の本棚からはとっくの昔に消えていた。「雨の中の慾情」は80年代の作品だと思うが記憶の片隅にあるのできっと読んでいたと思う。つげ作品=シュールリアリズムと位置付けられていたので、何処までが夢でどこまでが現実かがわからない作品も確かに多い。
この「雨の中の慾情」もつげ義春の夢をそのまま描いた作品であり、映画でもそのように描かれているが、それ以外は片山慎三監督の脚本で壮大な夢と現つの世界が繰り広げられる。
最初、日本にこんなところはないなぁと無国籍な街並み観ていたが、台湾でのオールロケと知ると納得した。確かに台湾には何処か懐かしい日本がある。
前半はのほほんとした雰囲気の異世界かと思いきや後半はいきなり戦火にまみれる泥々のシーンがインサートされ、と思ったら濡場の連続に、、。全部が夢なのか?戦争とラストシーンだけは現実なのか?訳はわからないが、解釈は観客に委ねているのだと思う。
商業映画としては無理がある作品だが、普通にシネコンで公開できて良かったと思います。
若い片山慎三監督。ポン・ジュノ監督の下であの「母なる証明」の助監督をした経験もあるとのこと。次回作も期待しています、。
台湾の風景と、つげ義春は相性が良い感じ
昔、台北に行ったときに、目医者の看板にずきゅんと心を射貫かれて、ネジ式っ!と興奮したことを思い出しました。
本作の台湾の街並み、田園風景全てよく、夢の中の雰囲気にはピッタリだと思いました。
私はつげ義春と同郷の葛飾出身。
今の葛飾は全く違いますが、子どもの頃(5歳以下)に見た景色は、マンガその物でした。
メッキ工場の廃液とか、ドブ川にガンガン流れているような、そんな景色。
あのニオイは今も思い出せます。
なので、この映画の中の台湾の街並みは、子どもの頃の葛飾に近いような気持ちにもなりました。(当時の立石の飲み屋街はお店にトイレがなくて、ヨシオが歩いていた商店街の路地のような薄暗い共同トイレだった記憶があります)
あと、テンションが上がったポイントとしては、ヨシオが入院していた病院の階段!
「ゴールデンカムイ」のドラマ版で、第七師団を率いる鶴見中尉がいた階段じゃないですか!
「ゴールデンカムイ」の時は、階段の踊り場の床が結構、汚れていて、ロケの時に汚しを入れたのかなと思っていましたが、「雨の中の欲情」でも同じような汚れ具合だったので、そういう場所なのね、と理解しました。
あの階段はどこなんだろう?行ってみたいなぁ。
台湾のロケ地巡りもしてみたい。
福子の乳首と、ブラのホックがちゃんと留まっていない感じは、女の私もエロさを感じました。
つげ
せっかくの成田凌がエロくない…
…のが最大の欠点かな。魅せ方が単調でワクワクできない。
雰囲気は良いのに惜しい。
タイムリープするというか
兵士成田凌が従軍慰安婦的な中村のお客で
重傷を負って生死をさ迷う成田凌の妄想の世界を描いたもの、と言うと全体的な納得がいく。
冒頭の雷のシーンは秀逸。
その伏線なのか何か車に轢かれて田んぼに飛んでくシーンがひつこいけど、なんだか意味不明。
何かが足りない映画でした。
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